不動産会社の集客に有効なデジタルマーケティング施策
不動産営業の集客手法には、以前からチラシやDM(ダイレクトメール)が用いられてきました。
しかし、パソコン・スマートフォンを使って顧客自らが簡単に情報を入手できるようになったことや市場競争の激化により、従来の手法だけでは集客が難しくなっていると感じている不動産会社さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産会社が顧客を獲得していくためには、新しい集客手法としてデジタルマーケティングを取り入れるのも手段の一つです。
本記事では、不動産業界におけるデジタルマーケティングの重要性を踏まえ、デジタルマーケティングの有効な施策やポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.不動産業界におけるデジタルマーケティングの重要性
- 1.1.①スマートフォンの普及による情報行動の変化
- 1.2.②人口減少による市場競争の激化
- 2.不動産会社のデジタルマーケティング施策
- 2.1.認知
- 2.1.1.Web広告
- 2.1.2.不動産ポータルサイト
- 2.2.見込み顧客の獲得~育成
- 2.2.1.コンテンツマーケティング
- 2.2.2.SNS運用
- 2.2.3.メールマーケティング
- 3.デジタルマーケティングを成功させるポイント
- 3.1.①適切なKPIの設定
- 3.2.②ターゲット層の明確化
- 3.3.③施策後のPDCA
- 4.まとめ
不動産業界におけるデジタルマーケティングの重要性
不動産業界でデジタルマーケティングの重要性が高まっている背景には、以下の2つが挙げられます。
①スマートフォンの普及による情報行動の変化
近年、スマートフォンの普及により、消費者自身がいつでもどこからでも容易に情報を入手できるようになりました。
(画像出典:総務省『令和2年通信利用動向調査の結果』)
総務省の『令和2年通信利用動向調査の結果』によると、2020年時点で世帯のスマートフォン保有率は86.8%に上りました。
なかでもインターネットを情報検索に活用する人の割合は76.4%に達します。また、商品・サービスの購入・取引にインターネットを活用する人の割合は55.7%と半数以上を占めています。
不動産業界においては物件に関する情報収集が手軽にできるようになったいま、デジタル媒体を活用したデジタルマーケティングが必要不可欠です。
(出典:総務省『令和2年通信利用動向調査の結果』)
②人口減少による市場競争の激化
人口減少もデジタルマーケティングが重要といわれる理由の一つです。
(画像出典:総務省『令和2年国勢調査 人口速報集計』)
2020年時点、日本の人口は1億2,622万7千人となっており、2015~2020年の間に86万8千人減少しています。なお、2050年には日本の人口は1億人を下回ると予測されています。
これに伴い、生活の基盤となる住宅ニーズが減少し、不動産業界の競争が激しくなることが考えられます。市場で生き残るためには、データ活用による多様なアプローチで競合他社との差別化を図ることが重要です。
(出典:総務省『令和2年国勢調査 人口速報集計』/『平成30年版 情報通信白書のポイント』)
不動産会社のデジタルマーケティング施策
不動産会社のデジタルマーケティング施策は、認知・獲得・育成の順で行います。ここからは、認知から育成までの流れについて具体的に解説します。
認知
デジタルマーケティングは顧客に認知してもらうことから始まります。ターゲットとなる市場に対して訴求して、自社の認知度を向上させるためにWeb広告や不動産ポータルサイトへの掲載を行います。
Web広告
Web広告とは、WebサイトやSNS上に掲載する広告です。広告の掲載時間・地域・媒体などを柔軟に選定できるため、ターゲットを絞った訴求ができます。
住宅ニーズが顕在化している顧客、まだ検討段階に至っていない潜在顧客の両方へのアプローチが可能です。
▼Web広告の種類
Web広告 |
特徴 |
不動産会社での活用例 |
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リスティング広告 |
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|
SNS広告 |
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ディスプレイ広告 |
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|
動画広告 |
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不動産ポータルサイト
不動産ポータルサイトとは、ユーザーが物件や不動産会社を検索できるWebサイトのことです。
ポータルサイトに登録することで、住宅購入・賃貸ニーズのある買主やユーザー、物件を売りたいオーナーに対してアプローチができます。ニーズが顕在化しているターゲットに訴求したい場合に有効です。
▼不動産ポータルサイトの活用例
- 自社が取扱う物件情報を掲載する
- 自社情報をエリア・業態を絞って掲載する
- 新築・中古・店舗など分野に特化したポータルサイトに掲載する
見込み顧客の獲得~育成
見込み顧客の獲得から育成のプロセスでは、自社のターゲットとなる見込み顧客に対して興味・関心を高めるための施策を行います。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを配信することで見込み顧客のニーズを育成して、ファン化、契約へとつなげるための施策です。
Web広告で認知したユーザーや検索結果を通じて接点を持ったユーザーに対して、以下のようなコンテンツを配信して興味・関心を育てます。
▼配信コンテンツ例
- 物件の最新情報
- 地域のイベント情報
- 物件、暮らしに関する豆知識
SNS運用
企業のSNSアカウントを作成してユーザーに対して情報発信を行う施策です。SNSを通して継続的なコミュニケーションを取ることで、ユーザーの購買意欲や自社への愛着を育て、ファン獲得・ブランディングにつなげることが目的です。
拡散性が高いため、自社を知らないユーザーとの接点を図り、見込み顧客の獲得につなげられます。
▼SNSの活用例
- タイムラインで自社物件の新着情報を配信
- Instagramのストーリー機能やリール機能で物件の動画を配信
- ユーザー参加型のキャンペーンを実施
メールマーケティング
メールマーケティングとは、WebサイトやSNSなどで接点を持った見込み顧客に対して、定期的にメールを配信する施策です。
一人ひとりの検討度合いに応じて配信内容・タイミングなどを決めることで、見込み顧客との信頼関係の構築、メール経由の問合せ・来店を促進できます。
▼メール配信のコンテンツ例
- 住宅に関する豆知識
- 新着物件情報
- 来店や問合せの特典
- 展示会やイベントの告知
デジタルマーケティングを成功させるポイント
デジタルマーケティングを成功させるためには、以下の3つのポイントを押さえることが大切です。
①適切なKPIの設定
施策の目標を数値化するためにはKPIの設定が欠かせません。KPIは企業が掲げる目標に対しての達成度合いを評価する指標です。施策に応じたKPIの設定により、目標に向けた筋道を立てやすくなります。
▼KPIの項目
広告・Webサイト |
|
---|---|
メルマガ |
|
SNS |
|
KPIを設定する際は、以下のように実現可能な数値にすることがポイントです。
▼KPIの設定例
- 広告経由のUU(ユニークユーザー)(※)を10%アップする
- Webサイトからの資料請求数を5%アップする
※UUとは、一定期間にWebサイトを訪れたユーザー数のこと。
②ターゲット層の明確化
ターゲットに訴求力のある媒体・コンテンツを検討するために、自社のターゲット層を明確化しておきましょう。ターゲットを設定する際は、3C分析が有効です。
▼3C分析
顧客分析 (Customer) |
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競合分析 (Competitor) |
|
自社分析 (Company) |
|
上記のように、3つの視点からターゲット層を明確化することで、ニーズや興味・関心を洗い出すことが可能です。
企業が伝えたい情報をユーザーに適切に伝達できるようになれば、アプローチの訴求効果を高めて効率的なマーケティング活動が可能になります。
③施策後のPDCA
施策の効果や問題点などを可視化するためには、検証・分析が欠かせません。Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のサイクルを回し改善していくことで、マーケティングの精度を高められます。
▼PDCAサイクルのステップ
- 設定したKPIの数値を計測して、達成状況を分析する
- 分析・評価の結果から、問題点や改善点を洗い出す
- 改善策を立てた後に実行に移して、再度データを計測して分析を行う
まとめ
不動産業界では、消費者自身の情報収集に関する行動の変化や人口の減少により、顧客の獲得競争が激しくなっています。
競合他社と差別化を図り、自社のターゲットに効果的に訴求するためには、さまざまな角度から顧客にアプローチできるデジタルマーケティングが有効です。
KPIの設定や施策後のPDCAサイクルを行いながら、デジタルマーケティング施策を実行してみてはいかがでしょうか。