【不動産売買仲介】営業力強化シリーズ~他社と差をつける営業の極意~
本コラムは不動産売買仲介営業の皆さまに向けた「個人と組織全体の営業力向上」をテーマ
にしたシリーズコラムの最終回です。本シリーズコラムを通して、個人の能力開発だけでなく、結束力の強い営業組織づくりの支援をできればと思います。
シリーズコラムの1回目はこちらからご覧いただけます。
【不動産売買仲介営業向け】営業力強化シリーズ~住宅購入検討者への理解を深める~
今回のコラムでは、他社と差をつける営業の極意について解説します。
目次[非表示]
- 1.物件力以外で注力すべき営業スキルと4つのポイント
- 1.1.▼ヒアリング
- 1.2.▼物件選びのポイント解説
- 1.3.▼将来のイメージ共有
- 1.4.▼契約の後押し
- 2.友好と権威を積み重ねるための3つのポイント
- 3.他社と差をつける営業の極意 まとめ
物件力以外で注力すべき営業スキルと4つのポイント
他社と差をつけるために注力すべき営業スキルを4つに分けて解説していきます。この4つのスキルを身につけることで、顧客が「契約」に前進しやすい対応ができるようになります。
それぞれのスキルの向上を漠然と目指すのではなく、組織全体で「何のためにやるのか」というテーマ設定をすることが重要です。本コラムでは「お客さまにとってよりよい住み替えを実現する」ことをテーマにして考えていきます。
▼ヒアリング
ヒアリングスキルは、顕在しているニーズだけではなく潜在的なニーズも含め、徹底的な顧客理解を深めるスキルのことを指します。またこのあとに続く3つの営業スキルは、いずれも「ヒアリング」をきちんとできていることが前提となるので、ぜひ注力していただければと思います。
ヒアリング・顧客理解が重要なことはわかっているけれどなかなか難しい、という方が多いと思います。「友好と権威を積み重ねるためのポイント」の章で、お伝えする内容をぜひ実践してみてください。
▼物件選びのポイント解説
物件選びのポイント解説は、お客さまの希望条件の整理と取捨選択のサポートをすることを指します。
大多数のお客さまが、さまざまな条件の物件を複数見ています。そのなかで価格帯・築年数・物件の性能・周辺環境など多岐にわたる希望条件を定性的・定量的に整理し、取捨選択のサポートをする必要があります。
このサポートを行う際に、きちんと顧客理解をしていないと、取捨選択のサポートを誤り成約から遠ざかってしまう可能性が高くなります。きちんと顧客理解をしたうえで、ご案内できると「以前自分が言っていたことを覚えてくれている」と感じられ、信頼の獲得にもつながります。
▼将来のイメージ共有
「物件選びのポイント解説」の後に将来のイメージ共有へと進みます。将来のイメージ共有とは、「お客さまの属性に合わせた情報提供」を行うことを指します。
例えば小さなお子様を持つファミリー層であれば、その周辺の学区や商業施設・公園・病院などの情報を伝え、実際に住んだ場合にどんな生活になるのかをイメージしていただくことがポイントです。
最近では、ホームステージングやバーチャルステージングなど、物件での生活イメージを湧かすツールは増えています。ですが、地域での生活イメージを湧かすツールはあまりありません。この部分を営業担当者がフォローすることがポイントです。
▼契約の後押し
契約の後押しとは「外部要因から契約に対する納得感を与える」ことを指します。
「いまが買い時です!」という漠然とした提案ではなく、例えば「そのときの世の中の状況や補助金制度などを活用すると、このスケジュールであればこの価格で購入できそうです」「その場合の月々の支払いはこのくらいになります」などと、提案を進めます。
世の中の動きと合わせて提案することで、お客さまの納得感につなげることができます。
LIFULL HOME'S 接客診断の結果でよくあるのが「契約を急かされているように感じた」というコメントです。せっかくヒアリング・物件選びのポイント解説・将来イメージの共有がきちんとできていても、お客さまの考えるスケジュール感とずれてしまうと契約につながりにくくなってしまいます。
徹底的な顧客理解を深めたうえで、提案し、自主的に決断していただくことが重要です。
友好と権威を積み重ねるための3つのポイント
こちらのコラムで解説した「友好と権威」について、覚えていますでしょうか。「友好」とは、お客さまとのコミュニケーション力、「権威」とは、お客さまへ提示できる不動産会社としての知見を指します。
よりよい住み替えを届けるためには、信頼関係を構築したうえでの契約が理想的です。「友好と権威」をきちんと積み重ねることが信頼関係の構築につながります。
ここでは「友好と権威」を積み重ねるための数あるポイントのうち3つを紹介します。
▼お客さまの自主性に委ねる
先ほど、LIFULL HOME’S 接客診断の結果で「契約の意思決定を急かされた」というコメントが多いとお伝えしました。これは十分なヒアリングや将来のイメージ共有ができていない状況といえるでしょう。
この状況を避けるためには、ヒアリングを徹底して行うことももちろんですが、お客さまに自主的に選んでいただくことが重要となります。
例えば、事前ヒアリングでいつ頃までに住み替えをしたい・売却をしたいという情報を持っていたとしても「いつ頃までに住み替えをしたい・売却をしたいと仰っていましたが、その場合はいつ頃までに●●をする必要がありますが、相違ないでしょうか?」などと、お客さま自身が選択する形で接客をしていくように心がけることをおすすめします。
不動産会社側が「いつ頃までに住み替えをしたい・売却をしたいと仰っていたので、その場合のスケジュールは●●なので、それに合わせて進めていきますね」というような接客をしてしまうと、一方的に押しつけられたような印象を与えてしまう可能性が高いです。
▼質問への回答を深掘りして潜在的ニーズを引き出す
お客さま自身が、潜在的ニーズに気づいていないケースも多いです。潜在的ニーズを引き出すためには、「お客さまの質問に対する答え=潜在的ニーズではない」という可能性も視野に入れて質問に対する回答を深掘りしていくことをおすすめします。
例えば質問に対する回答に対して「どうしてそういうお考えに至ったのですか?」などと、深掘りしていくことで、お客さま自身も対話をしながら自身のニーズを整理することができます。
お客さまの回答を深掘りしていくと、事前にヒアリングした内容と異なる回答が返ってくる場合も多くあると思います。そういった場合は、お客さまを責めるような言い回しではなく、よりお客さまの潜在的ニーズを知ることができてよかったという態度で接客をしましょう。
そうすることでお客さまにも「この営業担当者と会話をしたことで、自分の本当のニーズに気づくことができた」と感じてもらい、営業担当者としての信頼を得ることができます。
▼現在から未来へ向けてヒアリングする
「質問への回答を深掘りする」での解説とも類似しますが、接客をする際に、お客さまが自身のニーズを言語化しやすいヒアリングをすることも重要です。
そのために「現在から未来」という時間軸で質問をしていくことをおすすめします。例えば「将来どうなりたいですか?」と「今はどういう状態ですか?」の2つの質問だと、後者のほうが回答しやすいのではないでしょうか?
住まい探しで当てはめると「将来どういう家に住みたいですか? どういう暮らしをしたいですか?」ではなく「今の住まいに対しての不満や、もっとこうだったらいいのにというポイントはありますか?」という質問が現在の質問(=回答しやすい質問)となります。
ここから回答を深掘りしていくことで、潜在的な未来へのニーズをヒアリングしやすくなっていきます。
他社と差をつける営業の極意 まとめ
今回のコラムはいかがでしたでしょうか。他社と差をつける営業力を身につけるためには、お客さまの潜在的ニーズを引き出し、お客さまご自身に選択してもらうことが重要です。
特に下記は今からでも意識して実践できるポイントなので、ぜひ取り入れていただければと思います。
- お客さまの自主性に委ねる
- 質問への回答を深掘りして潜在的ニーズを引き出す
- 現在から未来へ向けてヒアリングする