<第二回>安定した入居者の獲得で稼働率アップだけではない施策を。家賃を下げない長期的な収益が見込める空室対策とは
前回は、「空室対策は時代に沿った市場の見極めが重要」というお話をさせていただきました。コストをかけずに物件を優良化し、さらに訴求する市場を見極めることで、安定したターゲット層へ施策を打つことができるようになります。
≫ 第1回を見る:<第一回>コストをかけずに空室を優良物件化。時代に沿った市場の見極めが稼働率アップのカギ
二回目の今回は、新たなマーケットへの訴求で稼働率アップを図るだけでなく、転居や退居を防いで物件価値を下げない、安定した家賃収入を得るための施策と考え方についてお話しさせていただきます。
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長期入居を見込んだ理想の「高齢者向け物件」で家賃収入の安定化
賃貸物件において、高齢者市場はどのように親和性を高めていけばよいのでしょうか。
現在、入居者入れ替えのたびに家賃の値下げで空室対策を行っている場合、稼働率は上がっても結局は物件の価値が下がり家賃収入が安定しないため、管理会社もオーナー様も「入居者の短期での転居」は悩みの種ではないでしょうか。
物件の賃料が下がれば「設備の不足」や「築年数」を懸念され、若年層にはなかなか選んでもらえません。もちろん家賃の安い物件を探してはいるものの、希望の設備がなかったり、あまりにも築年数が古い物件は選択肢から外れる可能性が高くなります。
もし一旦入居しても、短期間で転居されてしまっては、さらなる家賃の値下げを検討しなければならなくなります。転居の可能性が高い20代から50代までの層を狙っていては「築年数の経過に伴う転居時の家賃の値下げ対策」は免れないと考えるほうがよいでしょう。
最初から長期入居を希望し、通勤がないため駅からの距離にもこだわりがなく、独立洗面台やユニットバス、築年数等の希望も少ない高齢者層に入居してもらえれば、「フルリフォーム、リノベーションのコスト」や「転居による家賃の値下げ」がなくなり、継続的に安定した家賃収入を見込めるのです。
そのための施策として、物件に「見守りサービス」を付加し、長期入居を希望する高齢者に「安心して住める物件」を訴求することで稼働率アップが見込めるようになります。
高齢者への賃貸物件提供に対する管理会社側の懸念点
築年数の古い物件でも居住中の高齢者の方に継続して入居いただくことで、家賃の設定金額そのままに住居を提供することが可能になりますが、多くの賃貸オーナー様が高齢者の入居にあたって「孤独死」による瑕疵物件化のリスクを懸念していると思います。
孤独死が発生すると、遺体が長期間放置されていたことによる清掃や処理の問題、さらには「事故物件」「瑕疵物件」と見なされ、家賃の引き下げをせざるをえないなど、物理的にも金銭的にも大きなデメリットを生み出してしまうことになります。
瑕疵物件の「瑕疵」は「物理的」「心理的」「法的」「環境的」の4つに分類され、孤独死は自然死にあたるため正確には瑕疵物件には当たりませんが、特殊清掃が実施されるような場合は「心理的瑕疵物件」と認められることが多いといわれています。
また、65歳未満の現役世代の孤独死も全体の52%あるなど(※出典:日本少額短期保険協会「第6回孤独死現状レポート」(2021年6月))孤独死が高齢者だけの問題ではないことも事実です。そのため最近では、一人暮らしの入居者が突然病気になって、そのまま亡くなった場合の家賃損失や原状回復費用の補償を対象とした高額な孤独死保険に入るオーナー様も増えています。
「瑕疵物件化」してからの対応は、
- 家財などの残置物処理費用
- 特殊清掃などを含む原状回復費用
- 新規入居者募集時の家賃減額
があるため、どうしても負担が高額になりがちです。
しかし「体調が悪い」「一人暮らしで連絡する人がいない」「家族が離れて暮らしている」などの場合でも安否確認を早期に行う「見守りサービスの導入」で、物件の瑕疵化を抑止することが可能になります。
見守りサービスは主にカメラやアプリを使ったものが一般的ですが、管理会社向けに開発された見守りサービスを導入すれば、管理画面で入居者の体調を一括管理できるなど、管理会社側の作業負担も少なく、いざという時でも安心です。
入居者に「長期的な安心」を付加価値として提供することで長期入居を見込むことができ、空室期間を作らないことで物件の価値も下げずに、安定した家賃収入を得られます。
「第二回 安定した入居者の獲得で稼働率アップだけではない施策を。家賃を下げない長期的な収益が見込める空室対策とは」まとめ
今回は、継続して入居いただくことで家賃の設定金額そのままに住居を提供し、安定した家賃収入を得ることができる施策についてお話しさせていただきました。コストをかけずに稼働率アップを目指す。市場選定だけではなく「長期入居」を狙った施策で、空室対策のみならず安定した家賃収入を得ることができます。
次回はさらに詳しく、理想の物件と長期入居につながる入居者選定についてお話しさせていただきたいと思います。
≫ お役立ち資料『空室率30%時代に向けた訴求すべきマーケット』