バーチャルステージングで物件イメージ&反響率アップ!【セミナーレポート】
LIFULL HOME'S Businessは、不動産会社の方向けにセミナーを開催しております。7月11日に、「バーチャルステージングで物件イメージ&反響率アップ!」と題したセミナーを開催しました。セミナーでは、不動産業界で注目度が高まっているホームステージングの効果と、ホームステージングを手軽に再現できるバーチャルステージングの活用法について解説しました。セミナーから一部をご紹介します。
【登壇者】
株式会社カラーアンドデコ 営業マネジャー 長野萌生
目次[非表示]
- 1.ホームステージングとは?
- 2.ホームステージングの効果と実施状況
- 2.1.ホームステージングの効果
- 2.2.ホームステージングの実施状況
- 2.3.ホームステージングの課題
- 2.4.デコレーションアイテムの活用
- 3.バーチャルホームステージングとは?
- 4.バーチャルホームステージングの活用法
- 4.1.バーチャルホームステージングを活用する際の注意点
- 4.2.CG画像のもとになる写真撮影のポイント
- 4.3.具体的な活用例
- 5.まとめ:バーチャルステージングを活用しよう!
ホームステージングとは?
ホームステージングとは、空室物件にインテリアを用いて空間の演出を行う不動産仲介業の手法です。1972年に米国の不動産仲介業者ハーブ・シュワルツにより提唱され、インターネットの普及とともに爆発的に広がりました。
株式会社カラーアンドデコ営業マネジャーの長野萌生氏は、「空室物件にインテリアを設え空間演出を行うことで、暮らし方や入居後のイメージを提案できます。想定よりも早期ないし高値での売却が期待でき、売却価格が5%アップしたという報告もあるほどです」と言います。
ホームステージングのイメージ
ホームステージングの効果と実施状況
長野氏は、ホームステージングの効果に関する次のようなデータを紹介しました。
ホームステージングの効果
一般社団法人日本ホームステージング協会の「ホームステージング白書2022」によると、ホームステージングを実施した不動産会社の80%以上が、売買・賃貸ともに効果が「非常にあった」または「多少はあった」と回答しています。また、成約までの期間が「大幅に短くなった」または「少し短くなった」との回答が約80%にのぼっています。成約までの平均期間は、売買ではすべて「1年以内」、うち4割が「1ヶ月以内」に成約。賃貸でもすべて「1年以内」、うち7割近くが「1ヶ月以内」に成約しています。
反響率が向上したことを示すデータもあります。LIFULL HOME'S掲載の売買物件50件以上の店舗(東京都内)を対象に「ホームステージングを実施した際の反響率」を検証したところ、同エリア内における反響率は、ステージング無しの場合と比べて15%増、同店舗内における反響率は114%増という大幅な反響率アップが見られました。
ホームステージングの効果
ホームステージングの実施状況
「ホームステージング白書2022」によると、多くの不動産会社が売買・賃貸ともに「リビングダイニング」「キッチン」のホームステージングを重要視しています。また、売買では「洗面所」「浴室」、賃貸では「寝室」「洗面所」の重要度も高いようです。
では、不動産会社はどのような物件にホームステージングを実施しているのでしょうか。売買では39%が「売却困難な物件」、25%が「長期売却ができない物件」に、賃貸では45%が「入居しにくい部屋」、26%が「長期空室の部屋」に実施していると回答しています。一方で、「全物件に実施している」と答えた不動産会社は売買で16%、賃貸で18%でした。
「苦戦物件に対してはホームステージングが活用されている一方で、全物件への活用は売買・賃貸ともに10%台にとどまっています」(長野氏)
ホームステージングの課題
長野氏は、全物件にホームステージングが活用されにくい理由として「実施費用が高額」「物件を傷つける恐れ」「搬入・搬出管理の煩雑さ」を挙げます。
賃貸物件では、10~30万円を負担してホームステージングを実施している不動産会社が60%超。「かなりのコストをかけてホームステージングを実施しています」と、長野氏。また、搬入・搬出時に壁や床を傷つけると修繕費用が発生してしまう上、成約時には家具を移設する手間も生じます。
このようなホームステージングの課題を解決し、なるべく費用と手間をかけずに印象をアップさせる方法として長野氏は、デコレーションアイテムの活用とバーチャルホームステージングの活用を提案します。
デコレーションアイテムの活用
大がかりなホームステージングに代えて、簡易なアイテムを使い部屋の印象をアップさせる「デコレーションアイテムの活用」のポイントは2つあります。
1つ目は、洗面所、浴室、キッチンなどの水回りを、各場所での時間の過ごし方にふさわしいアイテムでデコレーションすることです。「トレイを用いてアイテムをまとめたり、観葉植物を織り交ぜたりすることで、清潔感のあるおしゃれな空間を演出できます」と、長野氏。
2つ目は、三角形を意識して物を配置することです。まずはスタイルを決め、置く場所にふさわしい物を集めます。次に、背の高いアイテムを頂点に三角形を成すイメージで物を並べます。最後に、使い勝手を考慮しながら物の位置をアレンジします。このとき、正面だけでなく上から見ても三角形を成すよう前後の位置を整えると良いでしょう。
このように、デコレーションアイテムを活用して部屋の印象アップを図れます。とはいえ、アイテムの購入や配置にも手間がかかります。「そんなときは、バーチャルステージングがおすすめです」と、長野氏。
デコレーションアイテムの活用
バーチャルホームステージングとは?
バーチャルホームステージングとは、空室の写真をもとにCG技術で室内を演出するサービスです。画像1枚につき費用相場は約5,000円~10,000円。CG画像なので家具の搬入・搬出は不要です。
「手間をかけずにローコストで空間を演出できる上、部屋に『住んだ後』のイメージが湧きやすい。暮らし方やサイズ感が伝わりやすく、広告や自社WebサイトのPV数、問合せ数、契約率もアップします」(長野氏)
バーチャルホームステージングのサービスを利用している不動産会社の拠点数の推移を見ると、2022年までは1,000拠点以下でしたが、2023年には2,000拠点に迫り、2024年には3,000件に迫る勢いで増加しています。
長野氏は、同社のサービスを利用して売買物件の反響率が341%となった会社の例、賃貸物件の反響率が414%となった会社の例を挙げ、「ステージングによる反響率改善を保証するデータではありませんが、見映えを良くすることで反響率が高まった例がいくつかあります」と紹介しました。
バーチャルホームステージングで手間をかけずにローコストで空間を演出
バーチャルホームステージングの活用法
続いて、バーチャルホームステージングを活用する際の注意点、CG画像のもとになる写真撮影のポイント、そして具体的な活用例を紹介しました。
バーチャルホームステージングを活用する際の注意点
景品表示法上の不当表示や優良誤認の可能性を踏まえて正しく活用しなければ、バーチャルホームステージングを利用する不動産会社がペナルティを受けるおそれがあります。長野氏は、活用する際の注意点を4つ指摘します。
・ CG画像で配置された家具が実際に配置できないものであれば当該画像は利用不可。間取り図添付の上、制作会社に要確認。
・ 修繕予定のない汚損のあるクロスや床を隠したり綺麗にしたりした画像は利用不可。
・ 家具が付帯しないにも関わらず付帯するかのような誤解を与えないよう、要注意。コメント欄などに「家具は付帯しない」旨を明記する。
・ サービスルームやロフトなどは建築基準法上「居室」ではない。居室として表現されている画像は利用不可。
ペナルティを受けるリスクを最小化するには、CG写真だけでなく現況写真も掲載しておくとよいでしょう。
バーチャルステージングを利用する場合は、写真撮影のポイントを抑えることでより物件の魅力が伝わります
CG画像のもとになる写真撮影のポイント
CG画像の仕上がりは、もとになる空室写真の品質に左右されます。長野氏は、写真撮影のポイントとして次の5点を挙げます。
・ 水平・垂直に撮影する:上から見下ろした俯瞰気味の写真や下から見上げたあおり気味の写真は、垂直ラインがゆがみ不安定な印象を与える。
・ 部屋の隅から撮影する:正方形に近い部屋は、全体を見渡せる角から対角線の先へ斜めに撮影する。部屋全体が写るよう極力引きで撮影する。
・ カメラの高さを意識する:床から150cmを目安に、天井と床の位置を意識して撮影する。
・ 開口部を意識して撮影する:光や外の景色が入ると雰囲気が明るく開放的になる。ただし、白飛びに注意。
・ 広角撮影は控える:広角撮影の部屋のサイズに合わせてCGで家具を配置すると、部屋に合わせて家具も伸びてアンバランスな見た目になる。広角撮影をする場合はiPhone0.75までを目安に。
具体的な活用例
バーチャルホームステージングの主な用途は、エンドユーザー向けのポータルサイトや自社Webサイトでの広告用です。しかし長野氏は「広告以外にも活用しましょう」と提案します。
例えば、ラミネートしたバーチャルホームステージング画像を現地に設置しておけば、現地案内での営業資料として活用できます。
また、物件オーナー向けのPR素材としても有効活用できます。例えば、管理獲得・媒介取得時にキャンペーンとして実施したり、他社との差別化のために自社Webサイトや提案資料に組み込んで取り組みをアピールしたりすると良いでしょう。
3Dホームステージング、3Dホームステージングの例
まとめ:バーチャルステージングを活用しよう!
物件にインテリアを設えて空間を演出するホームステージングは、内見時に好印象を与えやすい手法である一方、費用や手間がかかり、対象物件が限られます。そこで、バーチャルホームステージングを活用するという方法もあります。景品表示法の理解と写真撮影のコツを押さえた上でバーチャルホームステージングを活用すれば、ホームステージングと同等の効果を手軽に再現できます。すべてのタイプの物件に実施でき、異なる複数のスタイルも選択できます。幅広い物件でさまざまなスタイルを展開できるバーチャルステージングを、ぜひ活用してみてください。