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ごみ屋敷の3割が再発の可能性、半数以上で火災発生の懸念あり。「ごみ屋敷」対策に関する調査結果

ごみ屋敷の3割が再発の可能性、半数以上で火災発生の懸念あり。「ごみ屋敷」対策に関する調査結果

近隣にあることにより、住宅が売却しにくかったり、住み替えがしにくかったりなど、資産価値に影響を与える可能性がある「ごみ屋敷」ですが、その実態はあまり知られていません。総務省は、ごみ屋敷の実態や、自治体の対応状況、課題などを明らかにすることを目的に調査を実施しました。
本記事では、2024年8月28日に公表された「ごみ屋敷」対策に関する調査結果から、一部を紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.ごみ屋敷の実態は?
    1. 1.1.181事例のうち約7割が一戸建て、約6割が持ち家
    2. 1.2.約8割の事例で周辺へ悪影響
  2. 2.複数の部署の連携が解消へ向かう傾向も
    1. 2.1.居住者が抱える課題
    2. 2.2.環境・福祉の連携が鍵か
  3. 3.ごみ屋敷条例を制定している市区町村は5.8%

ごみ屋敷の実態は?

調査は人口10万人以上の市・特別区から30市区を選定し、2022年10月~2024年8月まで実施されました。調査対象市区のすべてで、ごみ屋敷の発生事案があり、最も長いもので39年間未解消のままの事案もありました。調査対象市区において把握された事案数は、のべ2,339事案(複数部署による重複を含む)で、このうち、未解消の事案数は39%に当たる913事案でした。

181事例のうち約7割が一戸建て、約6割が持ち家

さらに発生事案のうち181事例が選定され、実地調査が行われました。どういった住居でごみ屋敷は発生しているのでしょうか。調査した181事例の内訳を見ると、一戸建て住宅が126事例と約7割、集合住宅が55事例と約3割。持家は104事例と約6割、民間賃貸住宅は約3割でした。一戸建て、集合住宅ともに、敷地外まで堆積した事例は2割以上見られました。

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調査対象事例における家屋の形態及び物品の堆積場所の状況

(出典:総務省「ごみ屋敷」対策に関する調査結果報告書 令和6年8月

約8割の事例で周辺へ悪影響

事例のうち、堆積物によって生じている支障は、「火災発生のおそれ」が103事例(56.9%)、「悪臭の発生」が94事例(51.9%)、「害虫などの発生」86事例(47.5%)などとなっており、なにかしらの支障が約8割の事例で発生していました。

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総務省「ごみ屋敷」対策に関する調査結果報告書 令和6年8月より、「全181事例における堆積物による支障の内容」

なお、ごみ屋敷の事例集を確認すると、集合住宅で堆積物が家屋内のみにとどまり、影響が「屋内での悪臭」のみのケースも一部見られます。家族や生活保護の担当者などの相談から現地確認につながっている状況から、集合住宅内には、顕在化せずに進行してるごみ屋敷も存在する可能性が考えられます。

複数の部署の連携が解消へ向かう傾向も

調査対象事例のうち、未解消の要因としては「市区の対応・支援について居住者から理解を得られない」が約8割と最も多く、居住者自身が堆積物をごみと認識していない場合、所有者の財産権の兼ね合いなどの問題もあり、自治体が積極的に介入しづらいという課題がうかがえます。

居住者が抱える課題

調査対象の181事例のうち、堆積者本人や同居家族が「健康面・経済面両方の課題」を抱える割合は37%、「健康面の課題のみ」が31.5%と、約7割が何かしらの課題(要介護、認知症、精神疾患、生活困窮等など)を抱えており、福祉的・経済的、双方の支援が必要であると考えられます。

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総務省「ごみ屋敷」対策に関する調査結果より、調査対象事例における居住者の抱える課題

環境・福祉の連携が鍵か

堆積物を行政によるサポートにより排出したとしても、3割が再発の可能性があるとみられており、長期的に福祉的な見守りが必要であることがうかがえます。調査対象となった181事例のうち、151事例において、複数部署での対応がされており、複数部署で対応した場合の解消率は36.4%と、単独部署で対応した場合の解消率26.1%よりも高い傾向にあります。自治体の環境保全担当や消防署、福祉支援担当などが連携することが解消の鍵となるのかもしれません。

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総務省「ごみ屋敷」対策に関する調査結果より、対応部署(単独部署・複数部署別)と解消・未解消の状況

ごみ屋敷条例を制定している市区町村は5.8%

2013 年1月1日、足立区は、いわゆるごみ屋敷条例(足立区生活環境の保全に関する条例)を公布。全国で初めてごみ屋敷に特化した条令を制定したことで注目されました。2023年3月の環境省によるごみ屋敷に関する調査報告書によれば、ごみ屋敷条例を制定しているのは101市区町村と5.8%にとどまります。自治体においては専門のノウハウもなく、また専門とする職員を置くことも難しいという状況があるのかもしれません。
 
環境省は本調査を受け、環境省や消防庁、厚生労働省などが連携し、支援方策や取り組み事例などの情報をパッケージとして示すことを提言しています。
 
ごみ屋敷を把握する経緯は、周辺住民などからの情報提供が約半数を占めており、すでに情報提供があった時点で堆積物が深刻な状況になっていることがうかがえます。発見が遅くなることにより長期化する恐れがあることから、見守りや声がけ、もし管理物件で懸念される事象を見かけた場合は、早期の自治体との連携が必要となるでしょう。
 
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Business 編集部
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