不動産集客をSNSで行うメリットは? デメリットや注意点も解説
不動産業界においても、SNSを活用すれば効率よく集客することができます。店頭広告やインターネット広告よりも多くの顧客にアプローチできる可能性があり、SNSを活用するメリットといえるでしょう。
ただし、単にSNSの運用を始めるだけでは不十分です。効果的な活用方法や注意点を理解してからでないと、思うような効果を得られないでしょう。
今回は、不動産業界でSNSを活用するメリットや注意点、具体的なツールを解説します。
目次[非表示]
- 1.不動産集客でSNSを活用するメリット
- 1.1.宣伝コストを抑えられる
- 1.2.画像や動画で視覚的に訴求できる
- 1.3.潜在的な顧客と直接やりとりができる
- 2.不動産集客でSNSを活用するデメリット・注意点
- 2.1.炎上に注意する必要がある
- 2.2.継続して投稿する必要がある
- 2.3.SNS運用に詳しい人材を確保・育成する必要がある
- 3.おすすめのSNSと特徴
- 4.SNS運用時に遵守すべきポイント
- 5.まとめ
不動産集客でSNSを活用するメリット
昨今は、さまざまなSNSを用いて情報発信や顧客の獲得を目指す企業が増えています。まずは、不動産業界においてSNSを用いるメリットを見ていきましょう。
ソーシャルメディア利用者数が伸びており効率よく情報発信できる
総務省の資料によると、ソーシャルメディアの利用者数は右肩上がりで伸びています。2022年は1億200万人だったところ、2027年には1億1,300万人に増加すると予測されています。
SNSは、多くの人にとって手軽に情報収集ができる便利なツールです。より多くの人に自社が取り扱っている物件情報を伝えるために、SNSは有効活用すべきツールといえるでしょう。
また、SNSでは全世界に向けて情報発信を行えます。特定のエリアに限らず、潜在的な顧客に幅広くアプローチできる点もSNSの強みです。
さらに、フォロワーが情報を拡散すれば、より多くの人の目に触れることになります。つまり、多くのフォロワーを獲得すれば、その分集客力を高めることができるのです。
日本のソーシャルメディア利用者数の推移及び予測
(出典:総務省 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の動向)
宣伝コストを抑えられる
SNSのアカウント登録や情報発信自体は無料で行えるため、宣伝コストがかかりません。コストをかけずに営業活動を行える経済的なメリットは、多くの企業にとって魅力的ではないでしょうか。
一部有料となる機能はありますが、基本的な機能を用いて情報発信する分には、回数制限などもなく無料で利用できます。また、アカウントにログインしてテキストや画像・動画を投稿するだけでよいため、誰でも簡単に取り扱うことが可能です。
画像や動画で視覚的に訴求できる
SNSは画像や動画の投稿に対応しているため、よりリアルな住環境の情報を提供できます。画像や動画を用いれば、文章だけの場合よりも魅力が伝わりやすくなり、潜在的な買主や借主に対して効果的な訴求が可能です。
たとえば、360°のパノラマ写真や動画を活用すれば、顧客は実際に物件を内見したような没入感を得られます。さらに、動画に物件の詳細を説明する音声を吹き込めば、物件の魅力がより伝わりやすくなるでしょう。
潜在的な顧客と直接やりとりができる
SNSには、相手のアカウントと直接メッセージをやり取りできる機能があります(ダイレクトメッセージ機能)。SNS上でダイレクトメッセージを用いてやり取りをしたり、必要に応じてLINEアカウントに誘導したりすれば、顧客の確保につながりやすくなるでしょう。
新着物件の情報をすぐに発信し、関心を持った顧客とスムーズにやり取りができれば、成約につながる可能性が高まります。
顧客からの質問やコメントに直接応答することに加え、より詳細かつパーソナライズされた回答をすることで、信頼関係を構築しやすくなるでしょう。
SNSの利用者数は増加傾向にあり、うまく活用することができれば多くのユーザーとの接点をつくることができます
不動産集客でSNSを活用するデメリット・注意点
不動産集客でSNSを活用するメリットは多くありますが、知っておくべきデメリットや注意点もあります。
SNSの活用が逆効果にならないように、以下で解説する内容を押さえておきましょう。
炎上に注意する必要がある
SNSへの投稿が炎上してしまうと、企業の信頼が損なわれ、ブランドに傷がついてしまうため注意が必要です。
炎上とは、「ウェブ上の特定の対象に対して批判が殺到し、収まりがつかなさそうな状態」「特定の話題に関する議論の盛り上がり方が尋常ではなく、多くのブログや掲示板などでバッシングが行われる」状態を指します。
(出典:総務省「ネット上での炎上を巡る議論」)
SNS上には不特定多数の人がいるため、どのような投稿が炎上につながるかわかりません。発信側に特定の人を差別する意図がなかったとしても、受け手側が差別と認識すると炎上につながる恐れがあります。
インターネット上の情報は長く残り続けるため、影響が長期化してしまう可能性もあります。炎上からの信頼の回復には長い時間がかかるため、軽率な投稿は控えるべきでしょう。
継続して投稿する必要がある
SNSで多くのフォロワーを獲得するには、継続的な投稿が必要です。定期的な投稿を行わないと、企業のブランドイメージや情報発信力を強化できないため、SNS運営には手間がかかる点を押さえておきましょう。
SNSのプラットフォームの中には、定期的に投稿するアカウントやフォロワーが多いアカウントの投稿を優先的に表示するアルゴリズムを採用しているものもあります。SNS上で頻繁に露出させるために投稿を続けるうち、投稿内容のネタ探しに苦労するようになる可能性も考えられるでしょう。
SNS運用に詳しい人材を確保・育成する必要がある
SNS運用では、ただ情報発信するだけでなく、セキュリティ意識やSNS上のモラルなどのリテラシーが求められます。そのため、効果的なSNS集客を行うためには、SNSに詳しい人材確保や人材育成が欠かせません。
また、SNSプラットフォームの特性やアルゴリズムを理解し、それらに合わせた戦略を立てる知識が必要です。投稿内容の質も担保する必要があるため、特に初めてSNS運用を行う場合には適任者を見つけるのに苦労する可能性が考えられるでしょう。
さらに、投稿への反応や効果を分析したうえで、SNS運用の戦略を検討する能力も求められます。不動産業界の専門知識だけでなく、SNS運用やデータ分析に関する能力が必要になる点を押さえておきましょう。
SNS運用は投稿内容の準備、継続的な投稿、分析など長期的に人的リソースが発生します。運用を開始する際は必要な人員の確保が必要となります
おすすめのSNSと特徴
ここではユーザーが多い主なSNSとそれぞれの特徴をまとめました。
SNSの種類 |
特徴 |
---|---|
X(旧Twitter) |
・短文投稿がメイン ・一つの投稿が爆発的に拡散されると一気にフォロワーを獲得することも可 |
・10代~30代のユーザーが多い |
|
LINE |
・全年代において利用率が高い |
TikTok |
・数十秒の短時間動画に特化している |
YouTube |
・10代~40代のユーザーが多い |
各SNSは特徴が異なるため、想定している投稿内容やどのような方法で潜在顧客にアプローチしたいのかによって、活用するSNSを決めるとよいでしょう。
なお、利用するSNSを一つに絞る必要はありません。複数のSNSアカウントを開設してそれぞれで情報発信を行えば、それぞれのSNSを利用する人にアプローチすることができるでしょう。
SNS運用時に遵守すべきポイント
SNSで情報発信を行うと効率よく顧客にアプローチできる一方で、おとり広告やステルスマーケティングに該当しないように気を付ける必要があります。
おとり広告とは、商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず、購入できるかのように表示することです。たとえば、既に成約した不動産をSNSに投稿し、実際にはほかの物件の紹介につなげるような投稿がおとり広告に該当します。
おとり広告は景品表示法違反であり、消費者庁長官から措置命令を受けることがあるため注意しましょう。
一方のステルスマーケティングとは、実際には広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことです。2023(令和5)年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反とされ、こちらも違反すると消費者庁長官から措置命令を受けることがあります。
ステルスマーケティングの規制には、消費者が「企業の広告ではなく第三者の感想である」と投稿内容について誤認し、自主的かつ合理的に商品・サービスを選べなくなる事態を防ぐ目的があります。
そのため、あらかじめ事業者による発信で広告であることを明確にしておけば、ステルスマーケティングには該当しません。ただし、インフルエンサーをはじめとする第三者に自社の広告を依頼する際には、景品表示法との兼ね合いを考える必要があります。
消費者庁のガイドブックには不動産のおとり広告に関する表示についての記載もあります。詳細は消費者庁作成のガイドブックを参照ください
(出典:消費者庁 景品表示法とステルスマーケティング~事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック)
まとめ
不動産集客の手段としてSNSを活用すれば、効率よく情報発信でき、多くの潜在的な顧客にアプローチが可能です。また、画像や動画で視覚的にわかりやすく訴求できることや、宣伝にかかるコストを抑えられるメリットも期待できるでしょう。
X(旧Twitter)やLINEなど、さまざまなSNSがありますが、特徴はそれぞれ異なります。SNS運用のノウハウを持つ従業員の確保や育成を進めつつ、自社に合った方法でSNSを有効活用しましょう。