【不動産業界のトレンド】VR内覧のメリットと導入時の注意点を解説
これまでの不動産営業では、物件の内覧を実施する際に、顧客に現地まで足を運んでもらい、営業担当者が立ち会いながら説明を行うことが一般的でした。
しかし近年、VRという新たな技術が普及し始めたことによって、自宅にいながら内覧ができる“VR内覧”というサービスが注目されています。
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の影響で非接触型の営業活動が推進される今、VR内覧は新しい顧客接点の場としても活用が期待されています。
この記事では、VR内覧について、不動産会社と顧客側のメリットやVR内覧導入時の注意点とともに解説します。
目次[非表示]
- 1.VRとは
- 2.VR内覧の導入メリット
- 2.1.顧客側のメリット
- 2.2.不動産会社側のメリット
- 3.VR内覧を導入する際の注意点
- 3.1.VR機材に初期費用がかかる
- 3.2.VR映像で確認できない部分がある
- 4.まとめ
VRとは
VRとは、現実世界を遮断して、CGによってVirtual Reality(バーチャル・リアリティ:仮想現実)や仮想世界を体験する技術です。
VRで仮想世界を体験する際は、視界全面を覆うヘッドマウントディスプレイ(以下、VRゴーグル)を使用します。
画像引用元:総務省『総務省 ICTスキル総合習得教材』
消費者向けのエンターテインメント分野をはじめ、旅行の疑似体験や訓練・教育など幅広い分野で活用されています。
▼VRの活用シーン
- 水害発生時の水没車両や津波の体験訓練
- 観光地での疑似体験
- 設備点検の作業手順のナビゲーション
- 採用活動でのオフィス見学
- 物件やモデルルームの内覧サービス
不動産業界においても、VRを使ったさまざまなサービスが登場しています。なかでもVR内覧は、実際に物件を見ているような体験ができます。そのため、場所や時間を問わずに、顧客にモデルルームへの来場を疑似体験してもらえます。
(出典:総務省『令和3年版 情報通信白書のポイント』『1-3:位置情報の活用とxR』『デジタルで支える暮らしと経済』/経済産業省 近畿経済産業局『「VR・AR 等の先進的コンテンツを活用した取組実態及び知的財産権活用に関する調査」報告書』/国土交通省 九州地方整備局『DXを活用した防災訓練の実施~5G、クラウド、AI、VRを用いた防災対応の革新~』)
VR内覧の導入メリット
VR内覧は、顧客と不動産会社の双方にメリットがあります。ここでは、両者の視点から見たメリットについて解説します。
顧客側のメリット
顧客側のメリットには、主に以下の3つが挙げられます。
- 自宅にいながら好きな時間に内覧ができる
- 移動時間・交通費を削減できる
- 退去前・リフォーム前の物件でも内覧できる
VR内覧を利用すると、スマートフォンやパソコンを使って、自宅にいながら、もしくは屋外にいても、好きな時間に内覧ができるというメリットがあります。
現地まで足を運ぶ必要がないため、移動にかかる時間・交通費を削減できるほか、遠方に住んでいる方でも物件を目の前で見ているかのように確認することが可能です。
また、事前に作成したVR映像を閲覧するため、現入居者の退去前やリフォーム前など、部屋に入れない状況でも内覧できるというメリットもあります。このように、場所や時間の制限がなく、物件探しをスムーズに進められることから、顧客の負担を軽減しながら内覧を実施できます。
不動産会社側のメリット
VR内覧の実施は、顧客側のメリットだけにとどまりません。不動産会社側の主なメリットは次の3つです。
- 業務効率の向上
- 物件案内数の向上
- 集客力の向上
VR内覧の場合、鍵の受け取りや、事務所から物件までの移動にかかる時間を短縮して、業務効率を向上できるというメリットがあります。
物件まで移動する必要がないため、短時間でより多くの物件を見てもらうことが可能です。より気軽でスピーディな物件の内覧が可能になることで、顧客ターゲットが広がり、集客力の向上、ひいては成約数の向上も期待できます。
さらに、非対面・非接触で内覧できることから、with コロナ時代の内覧方法として、安全性・信頼性をアピールするのにも役立ちます。
VR内覧を導入する際の注意点
VR内覧を導入する際の注意点として、初期費用がかかること、実際の物件との見え方の違いについて配慮が必要なことが挙げられます。
VR機材に初期費用がかかる
VR内覧に使用するVR映像を自社で制作する場合、VR映像撮影用のカメラや映像制作ツールなどの購入に一定の費用がかかります。
VR内覧に必要な機材には以下が挙げられます。
▼VR内覧に必要な機材
- VR映像撮影用のカメラ
- VR映像制作ツールや編集用のパソコン など
また、自社を訪れた顧客にVR内覧を体験してもらう場合は、不動産会社の事務所にもVRゴーグルを用意しておきます。
なお、VR映像の制作や撮影を外部に依頼する場合には、外注費用が発生します。VR内覧の活用範囲や、自社でVR映像を制作する際のリソース、コストと照らし合わせたうえで検討することが重要です。
VR映像で確認できない部分がある
VR内覧では、事前に撮影した写真や映像を基にVR映像を制作するため、物件内部の細かな情報が伝わりづらいことがあります。
特に、中古物件やリフォーム前の物件は、実際の物件と異なる印象を与えてしまう可能性があるため、注意が必要です。顧客とのトラブルを防ぐためには、事前に間取り図や写真を提供したり、重要事項について補足説明を行ったりする配慮が欠かせません。
事前に情報提供・補足説明が必要なポイントには、以下が挙げられます。
▼VR内覧で情報提供・補足説明が必要なポイント
- 物件のキズや汚れなどの劣化状況
- 日当たりや周辺の音(学校や工場などの有無、交通状況など)
- 周辺環境(隣家との距離、窓からの景色、駐車場、前面道路の幅など)
また、補足説明によって顧客の不安を十分に解消できていないと判断した場合には、現地での内覧を提案することも大切です。
まとめ
この記事では、不動産会社で活用できるVR内覧について、以下の内容を解説しました。
- VRとは何か
- VR内覧の導入メリット
- VR内覧を導入する際の注意点
VR内覧は、VRゴーグルやスマートフォンを通じて映像を見ることで、実際に物件を内覧しているかのような体験ができる新たな方法です。
移動時間・交通費の削減や集客力の向上など、顧客と不動産会社の両方にメリットがあります。
物件資料を用いた情報提供や口頭説明に加えて、希望者に対しては現地での内覧を行うといった対応も検討しながら、VR内覧を導入してみてはいかがでしょうか。
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