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“買って住みたい街2024”から見る購入者の居住地選択の傾向と対策

“買って住みたい街2024”から見る購入者の居住地選択の傾向と対策

LIFULL HOME’S総研の中山です。
今回は「みんなが探した!買って住みたい街2024」の概要を確認しながらコロナ後のユーザー意向の変化について確認します。

LIFULL HOME’Sのランキングは、アンケート調査=人気ランキングではなく、年間にユーザーから寄せられた問合せ数を最寄り駅単位でランキング化したもので、実際に住宅購入を検討している人が注目している街のランキングです

目次[非表示]

  1. 1.首都圏:東京の“衛星都市”がそろって上位進出。コロナ後も郊外人気が続く
  2. 2.近畿圏:郊外化の兆し、中部圏:価格高騰で郊外化、九州圏:対照的な一極集中

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首都圏:東京の“衛星都市”がそろって上位進出。コロナ後も郊外人気が続く

首都圏では「勝どき」が2020年から5年連続の1位を獲得、コロナ後も強さを示しました。
また「南砂町」が7位(前回20位)に浮上、「五反田」が10位(同67位)、「浅草」も17位まで順位を戻しており(同114位)、隣接する「両国」も20位へと急浮上しています(同128位)。いずれも駅周辺での大規模な物件開発が話題となっており、コロナ後の“都心回帰”を印象づけています。

一方、前回2位の「横浜」は9位に、4位だった「茅ケ崎」は8位へと順位を下げたものの、2位「平塚」(同3位)、3位「大宮」(同8位)、4位「八王子」(同9位)と駅勢圏=駅周辺の繁華性が高いエリアが広い“衛星都市”が上位に進出し、“二極化”の傾向も顕著です。

しかし、今回の首都圏のポイントは、5位に浮上した「八街」(前回7位)、11位の「千葉」(同10位)、12位の「東松山」(同30位)、16位の「大網」(同27位)など、首都圏郊外&準郊外の街が上位に進出していることです。

2020年以降続いたコロナ禍とそれに伴うテレワークの実施によって、首都圏での居住ニーズは徐々に郊外化し始めましたが、2023年春以降、本格的にコロナ後の社会に移行しても“都心回帰”という揺り戻しの動きは弱く、都心から1時間以上かかる準郊外エリアが上位を維持しているのです。

円安の進行は建築資材を海外に頼る住宅産業を直撃し、“建設業&運輸業の2024年問題”が取り沙汰されるなかで人件費の高騰も続いていることから住宅価格の高騰も継続しており、一時的な避難措置と考えられていた居住ニーズの郊外化は、完全に定着したものとみることができます。

折しも異次元の少子化対策の実施で子育て世帯のテレワークが強く推奨され、東京圏外への転居に最大100万円の補助金も支給されており、居住ニーズの郊外化を後押ししています。

近畿圏:郊外化の兆し、中部圏:価格高騰で郊外化、九州圏:対照的な一極集中

「姫路」が2年連続の1位に輝いたのは、コロナ後に回復したインバウンド効果が挙げられます。姫路城をはじめとした観光資源に再び注目が高まり、姫路市を中心とした“播磨圏”が勢いを取り戻したことで居住ニーズも顕在化しています。

近畿圏でも首都圏同様に“コロナ禍以降の郊外化”および“二極化”が徐々に明確になってきており、市街地中心部での物件価格の高騰によって、居住ニーズは大阪市中心部のタワーマンション群に集中すると同時に、近畿圏郊外エリアにも拡散し始めています。

ベスト30には大阪市、神戸市、京都市の各中心部の駅が多数登場しており、コンスタントなマンション開発によって資産性も利便性も享受したいと考えるユーザーから高い支持を得ていますが、5位の「石山」や9位の「大久保」など郊外のベッドタウンも上位に躍進しており、物件価格の高騰が近畿圏でも顕著になっていることが浮き彫りになっています。

中部圏は、2020年に6位だった「岐阜」が初の1位に輝きました。前回まで3年連続して1位だった「名古屋」は駅周辺のマンション開発が一段落して3位に後退しています。

中部圏での覇権争いはここ数年「名古屋」vs.「岐阜」の構図で、「岐阜」人気の背景には「名古屋」まで快速で20分と、極めてアクセス良好なベッドタウンであるにもかかわらず、名古屋市内よりも物価や物件価格が安価で生活しやすいというコストパフォーマンスおよびタイムパフォーマンスのよさが挙げられます。

また、名古屋市内でも「名古屋」周辺と名古屋東側エリアの昔ながらの住宅地に人気が“二極化”する傾向が出てきています。中部圏でも核家族化が進行し、一戸建てからマンションへという流れが定着していることから、今後は大規模マンションやタワーマンションの開発で活性化したエリアがランキングの上位へと年ごとに入れ替わる、首都圏同様のマーケットに変化する可能性があります。

九州圏(福岡県)は、「博多」が2年連続の1位となりました。「博多」は福岡市営地下鉄七隈線の延伸工事が完了し、駅前の整備が進んだことで、周辺でのマンション開発が加速、「博多」を最寄りとするマンションが急増して問合せ数が増えています。

今回ベスト10には福岡市営地下鉄空港線の駅が4駅、西鉄天神大牟田線の駅が4駅ランクインしているのに対し、福岡市営地下鉄七隈線の駅も3駅(それぞれ重複含む)ランクインしており、「博多」への“延伸効果”が早速発揮されています。

九州圏は他圏域とは大きく異なり、福岡市中心部および南側の住宅地への居住ニーズ一極集中という状況が続いていて、むしろ集中度合いが高まっている印象です。エリアがコンパクトにまとまっていることで職住エリアが近接・混在している福岡市の特性がよく表れています。

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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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