【完全ガイド】賃貸集合給湯省エネ2024事業(賃貸オーナー向け補助金)
賃貸集合給湯省エネ2024事業(以下、本事業)では、賃貸マンションやアパートなどの給湯器を省エネ性能の高いものに交換する工事に対して補助金を交付しています。給湯器の交換によって給湯にかかる電気代やガス代を抑えられるようになれば、入居者募集の際のアピールポイントになるのではないでしょうか。
この記事では本事業の補助金を受けるための要件や、手続きの流れなどを解説します。物件のオーナーに補助金を活用した給湯器の入れ替え工事を提案し、空室対策に役立ててください。
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賃貸集合給湯省エネ2024事業とは
賃貸集合給湯省エネ2024事業は、賃貸集合住宅に備わる給湯器の省エネ化を支援する政策です。家庭のエネルギー消費の中で大きな割合を占める給湯器を省エネ性能の高いものに入れ替えることで、温室効果ガス削減に貢献することを目的としています。
補助金対象の要件
ここでは、補助の対象となる方や住宅、期間などについて紹介します。物件オーナーに給湯器の入れ替えを提案する際に詳しく説明できるよう、しっかり理解しておくようにしましょう。
補助対象となる方
補助対象となる方は、以下の①から③の要件を満たす必要があります。
①賃貸集合住宅の所有者など
補助対象となる方は、賃貸集合住宅のオーナーか、そのオーナーから管理委託を受けている管理法人などです。建物全体の所有者だけでなく、その住宅内の一部を所有する区分所有者も含まれます。ただし、販売目的で所有する買取再販事業者は対象とはなりません。
②賃貸集合給湯省エネ事業者と契約を締結
補助対象となる方は賃貸集合給湯省エネ事業者(施工業者)と、以下のいずれかの契約を結ぶ必要があります。
●リフォーム工事により補助対象機器に交換する場合:工事請負契約
●リースにより補助対象機器に交換する場合:リース(賃貸借)契約
③工事の規模
工事に関しては、集合住宅1棟当たり2戸以上で、既存の給湯器を補助対象の省エネ型給湯器に交換する必要があります。ただし、住戸数が10戸未満など、定められた要件を満たす場合は交換を行う住戸が1戸でも補助対象となります。
補助対象となる住宅
補助対象となるのは、1棟に2戸以上の賃貸住戸を持つ既存の賃貸集合住宅です。また建築から1年以上が経過している、あるいはいずれかの住戸で人が居住した実績があることも要件になります。
●補助対象にならない建物例
以下に該当する建物は補助対象にならないため注意しましょう。
- 交付申請時点で住宅に区分されていない建物(倉庫など)
- 特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設
- 民泊施設(住宅宿泊事業法による届出、または国の特区民泊の認定を受けて運営するもの)
- 主に旅館業法の許可により運営する施設(ウィークリーマンションを含む)
対象となる期間
着工日(補助対象給湯器の1台目の工事に着手した日)が2023年11月2日から遅くとも2024年12月31日までの工事が補助対象になります。ただし、工事請負契約やリース契約以前に工事に着手した場合は補助対象にならないため注意しましょう。
対象となる機器
補助対象になる機器は、定められた省エネ性能の要件を満たした、“潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)”か“潜熱回収型石油給湯器(エコフィール)”のいずれかです。また同事業の事務局が補助対象機器として登録した製品に限られます。
●補助対象にならない給湯器例
以下に該当する給湯器は補助対象とならないため注意しましょう。
- 中古品またはメーカーの保証の対象外である機器
- 交換前の給湯器が持つすべての機能を有していない機器
- 交換前の給湯器より能力(号数)が小さい機器
- 店舗併用住宅などに設置するもので主に店舗などで利用する機器
- 賃貸集合住宅の所有者などが自ら購入した機器
- 売価などが補助額を下回る工事
補助額と上限
本事業における補助額は、給湯器の追い焚き機能の有無によって以下のように定められています。また、補助対象は1住戸につき1台までという上限が設けられています。
設置する給湯器 |
追い焚き機能 |
補助額 |
---|---|---|
エコジョーズ |
なし |
5万円/台 |
あり |
7万円/台 |
補助対象のリースについて
本事業では、リースの給湯器も補助対象になります。ただし、給湯器の法定耐用年数である6年以上のリース期間が設定されている必要がある点には注意が必要です。また、分割販売やレンタルは補助対象となりません。
給湯器のリース事業者が他社からリースによって調達した補助対象の給湯器をオーナーなどに再リースする、転リースも補助対象です.。
手続きの流れ
補助金の給付を受けるための手続きの流れは以下のとおりです。行うべき手続きをしっかり把握し、遅れや漏れがないように注意しましょう。
①施工業者による統括アカウントと担当者アカウントの取得
②賃貸集合給湯省エネ事業者に登録
③リフォーム工事請負契約やリース契約の締結
④共同事業実施規約(兼自認書)の締結
⑤対象機器の設置工事着手(③以降)
⑥交付申請の予約(任意)
※遅くとも2024年11月30日まで
⑦工事の完了
⑧補助金の交付申請
※遅くとも2024年12月31日まで
⑨交付決定
⑩実績報告(兼、請求)/補助金額の確定・交付
⑪補助金の還元
各手続きの詳細は、以下の運営機関に直接ご確認ください。
交付申請の予約を活用しよう
前述した手続きの流れの中で注目したいのが、⑥交付申請の予約です。工事着手後にこの予約を行うことで、補助金の予定額を一定期間確保できます。
これにより交付申請前に予算に達して事業が終了してしまい、補助金の交付が受けられなくなる事態を防ぐことができるのです。予約の申請は任意ですが、積極的に活用することをおすすめします。
子育てエコホーム支援事業との併用は?
省エネ性能の高い設備の設置に対し補助金を交付する“子育てエコホーム支援事業”と、本事業の補助金は併用が可能です。
1つの建物に複数の給湯器を導入し、各給湯器がいずれかの事業の対象要件を満たしている場合に、一方の事業の補助金の交付を受けられます。同一の給湯器に対して、両事業から補助金の交付を受けることはできませんので、注意してください。
賃貸集合給湯省エネ2024事業についてのまとめ
賃貸集合給湯省エネ2024事業は、賃貸集合住宅に設置されている既存の給湯器を省エネ性能の高いものに入れ替える工事を支援するものです。所有者や住宅、給湯器の種類など、それぞれの要件を満たすと補助金を受けて工事を行うことができます。
本事業を活用することで、オーナーの工事費負担を抑えながら、省エネ性能の高い物件へと改修できます。給湯器の交換時期が近づいている物件があれば、ぜひオーナーへ提案してみましょう。
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