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“借りて住みたい街2024”から見る賃貸ユーザーの注目エリアと移動人口の相関

“借りて住みたい街2024”から見る賃貸ユーザーの注目エリアと移動人口の相関

LIFULL HOME’S総研の中山です。
今回は「みんなが探した!借りて住みたい街2024」の概要を確認しながらコロナ後の賃貸ユーザーの意向の変化について考えます。

LIFULL HOME’Sのランキングは、アンケート調査=人気ランキングではなく、ユーザーから寄せられた問合せ数を最寄り駅単位でランキング化したもので、実際に物件を借りることを検討している人が注目している街のランキングですから、賃貸ユーザーのリアルな動きを反映したものとお考えください。

目次[非表示]

  1. 1.首都圏:コロナ後も「本厚木」が連続1位! コロナ明けで都心近郊に賃貸ニーズ戻る
  2. 2.近畿圏:北大阪人気維持、中部圏:「岐阜」一強変わらず、九州圏:博多一極集中続く

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首都圏:コロナ後も「本厚木」が連続1位! コロナ明けで都心近郊に賃貸ニーズ戻る

コロナ禍で3年連続1位だった「本厚木」が今回も1位となり、4年連続トップに輝きました。本格的にコロナ後の社会に移行しても、消費者物価の高騰および人材確保や子育て支援の側面が強調され始めたテレワークの継続によって、首都圏における郊外エリアでの賃貸ニーズが依然高いことを示しています。

この傾向は3位の「八王子」、4位「大宮」、6位「柏」も同様で、都心方面へのアクセスが良好であること、駅勢圏=駅周辺の繁華性が高いエリアが広く生活利便性もよいこと、都心周辺と比較して賃料水準が安価であることなどの条件が整っている点が共通しています。

また、今回2位の「葛西」は都内でありながら比較的賃料水準が安価なエリアとして知られており、初めて都内に居住するユーザーからのニーズが高く、またインバウンドの需要も高いエリアです。コロナ禍を経て交通利便性や繁華性よりも、相応に便利で賃料水準が安価なコスパ良好エリアであることが都内での人気の要因となっています。

ただし、今回のランキングではコロナ後を見据えた動きも明らかになり始めており、東京市部では「吉祥寺」と並んで人気の高い5位の「三鷹」、前回同様7位で東京にも横浜にも交通利便性が良好な「川崎」、9位の「町田」、14位の「西川口」などの準近郊エリアが上位を維持しています。

都内に所在する駅はベスト30のうち12駅に上っており、多くは前回よりも順位を上げていることから、首都圏での賃貸ニーズはコロナ禍での移転先である郊外方面もしくは比較的利便性の高い準近郊で定着するとともに、専ら単身者層が都心方面へと回帰する動きも明確になっています。首都圏における賃貸ニーズは、コロナ後に二極化し始めています。

近畿圏:北大阪人気維持、中部圏:「岐阜」一強変わらず、九州圏:博多一極集中続く

近畿圏「借りて住みたい街」ランキングは対象地域を2府4県に拡大しました。今回は、2年連続1位だった「江坂」を「出町柳」が逆転、初めて1位に輝きました。3位は前回6位の「新大阪」、前回2位の「三ノ宮」は4位に後退しました。ただし「江坂」と「新大阪」はほぼ同じエリアで、近畿圏で最も賃貸ニーズが高いのは北大阪エリアという状況です。

「出町柳」は京都大学の吉田キャンパスの最寄り駅で、古くから学生の街として知られています。京阪本線の起点・終点であり、大阪中心部の「淀屋橋」「中之島」にもダイレクトにアクセスが可能で、多くの賃貸ユーザーに支持されています。

また、5位に「南草津」がランクインしたことも注目されます。京都のベッドタウンとしても大阪への通勤圏としても多くのユーザーから評価されており、新たな人気エリアに成長しています。

中部圏では「岐阜」が6年連続1位と一強状態、2位も4年連続して「豊橋」、3位は前回4位の「新栄町」で、前回3位の「岡崎」が4位と順位が入れ替わりました。中部圏は名古屋周辺の“衛星都市”の人気が高い状況が続いています。

「岐阜」は「名古屋」まで約20分、当初はタイパのよいベッドタウンとして人気が高まりましたが、近年では物価高騰に伴ってコスパのよさでも人気です。「豊橋」および「岡崎」も賃料水準が安価なこと、また駅勢圏=駅周辺の繁華性が高いエリアが広くて生活利便施設が整っていることなどの要因によって、上位にランクされ続けています。

3位の「新栄町」は、中心市街地である「栄」および「久屋大通」に極めて近い割に住宅活用が多いエリアで、職住近接型の典型的な成功例として根強い人気と賃貸ニーズを維持しています。

中部圏では全体的に順位に大きな変動がなく、賃貸ニーズがある程度固定化していることがうかがわれます。

九州圏(福岡県)は「博多」が7年連続の1位を獲得しました。2位は3年連続で「西鉄平尾」、3位は「高宮」が1ランク浮上しています。「博多」は、事業の集積性と交通利便性が西日本でも群を抜いて高く、また九州に本支社を置く企業の多くは「博多」周辺にオフィスを構えていて、就業者向けの賃貸物件のニーズが常に高いことも強みです。

また「西鉄平尾」「薬院」など西鉄天神大牟田線の各駅も上位に多数ランクインしており、これは福岡から大牟田方面へ南下するエリアの賃料水準が福岡市中心部よりも安価であること、バスでも福岡市中心部にアクセスが可能なことなど、コスパとタイパに優れていることによるものです。

福岡市営地下鉄空港線の各駅も「博多」を筆頭に「姪浜」「西新」など多数上位にランクインしており、多くの賃貸ユーザーから支持されています。2023年3月から「博多」乗り入れが開始された地下鉄七隈線沿線も今後注目です。

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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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