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住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業(令和6年度)|補助額や登録基準を解説

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業(令和6年度)|補助額や登録基準を解説

日本では、高齢者や障がい者、子育て世帯など、住まいの確保に対して配慮が必要な人口が今後も増加する見通しである一方、本来その受け皿となるはずの公営住宅については大幅な増加を見込めない状況です。


このような状況である一方、民間賃貸住宅の空家、空室は増加傾向が見込まれることから、2017年10月にそれらを活用するための住宅セーフティネット制度が始まりました。空家を抱えるオーナーにとっても、この制度を活用することで、専用ホームページを用いて不動産関係団体を含めた広い範囲に物件を周知することが可能です。


セーフティネット住宅に登録するためには一定の要件を満たす必要がありますが、そのための改修工事費用の支援を受けることもできます。この記事では、住宅セーフティネット制度の創設に併せて緊急的な供給促進を図るために実施されている「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業」について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業の概要
  2. 2.住宅確保要配慮者とは
  3. 3.住宅確保要配慮者専用賃貸住宅の登録基準
    1. 3.1.建物ならびに部屋の規模
    2. 3.2.設備
    3. 3.3.建物構造
    4. 3.4.賃貸契約の条件など
  4. 4.補助の対象となる改修工事
  5. 5.補助率・補助限度額
    1. 5.1.応募締切り(令和6年度)
  6. 6.まとめ

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業の概要

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業は、住宅の確保に関して配慮が必要な人(住宅確保要配慮者)に向けた住宅に改修するための費用を補助する事業です。

具体的には、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)第8条に規定する、住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅への改良工事を補助します。

セーフティネット登録住宅は、全国で約84万8,000戸となっており、最も登録戸数が多い都道府県は愛知県(約6万6,000戸)となっています(2023年5月31日時点)。

住宅確保要配慮者とは

この制度における住宅確保要配慮者は、以下のような人を指します。

  • 低所得者(月収15.8万円以下)
  • 被災者(発災後3年以内)
  • 高齢者
  • 障がい者
  • 子ども(高校生相当まで)を養育している人
  • 住宅確保に特に配慮を要するものとして国土交通省令で定める人
    (外国人や都道府県等が地域の実情に応じて定める人など)

セーフティネット住宅として登録された物件を調べたい場合は、「セーフティネット住宅情報提供システム」で探すことができます。

参照:国土交通省「セーフティネット登録住宅の都道府県別登録戸数(R5.3.31時点)
​​​​​​​参照:国土交通省「住宅確保要配慮者の範囲」
参照:e-GOV法令検索「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律]

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅の登録基準

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅として登録するためには、一定の基準を満たす必要があります。

必要な基準は一般住宅とシェアハウス(一人だけの専用居室と、ひとり親世帯向けがある)でそれぞれ異なるため、ここでは一般住宅と専用居室のシェアハウスの主な基準について解説します。

建物ならびに部屋の規模


各住戸もしくは住宅全体の面積
一般住宅
  • 各住戸の床面積が25m2以上
  • 台所・収納・浴室・シャワー室が共同利用の場合、18m2以上
シェアハウス

(専用居室)

住宅全体の面積

15m2×A+10m2以上
(※Aは入居可能者数で2人以上)

専用居室の面積

9m2以上

※シェアハウスの入居可能者数には、当該住宅に住む賃貸人も含めます

ただし、地方公共団体によっては面積基準をさらに緩和している場合があります。

設備

一般住宅

各住戸が台所、便所、収納、浴室またはシャワー室を備えること
※台所、収納、浴室、シャワー室は、共同利用の場合、各住戸に備える必要はない

シェアハウス

(専用居室)

専用居室の設備

共用部分に、居間・食堂・台所、便所・洗面、洗濯室(場)、浴室またはシャワー室を設ける(ただし、専用部分に備えつけられている場合を除く)

専用居室の設備設置数

便所、洗面、洗濯室、浴室またはシャワー室は、入居可能者数の合計数を5で除した数を設ける(小数点以下を切り上げ)

建物構造

建物の構造については、以下の条件を満たす必要があります。

  • 消防法・建築基準法に違反しないものである
  • 耐震性があること(新耐震基準に適合していること)

旧耐震基準(1981年5月31日以前に着工)の建物でも、耐震性能を満たしている場合や、登録前に耐震改修工事ができない特別の事情があり、登録後に耐震改修工事を実施する予定であれば登録できる場合があります。

賃貸契約の条件など

賃貸借契約上の条件では、以下の点を満たす必要があります。

  • 入居を不当に制限しないこと(差別的、入居対象者が著しく少数な場合は不可)
  • 家賃が近傍同種の住宅との均衡を失しないこと
  • 国の基本方針、地方自治体の供給促進計画に照らし適切なものであること

その他、補助金を受けるためには、管理要件として、「専用住宅としての管理期間が10年以上であること」「セーフティネット専用住宅として登録を受けていること」 などが必要です。

なお、集合住宅などについては、住戸単位でのセーフティネット住宅への登録が可能です。

参照:一般財団法人 住宅保証支援機構「【別紙1】登録基準」

補助の対象となる改修工事

補助の対象となる改修工事は以下のとおりです。

 1.バリアフリー改修工事(外構部分も含む)
 2.耐震改修工事
 3.共同住宅に用途変更するための改修工事
 4.間取り変更工事
 5.子育て世帯対応改修工事(子育て支援施設の併設を含む)
 6.防火・消火対策工事
 7.交流スペースを設置する工事
 8.省エネルギー改修工事(開口部の断熱改修等)
 9.安否確認のための設備の改修工事
 10.防音・遮音工事
 11.居住のために最低限必要な改修(発災時に被災者向け住居に活用できるものとして自治体に事前登録等されたものに限る)
 12.    専門家によるインスペクションにより構造、防水等について最低限必要と認められた工事(従前賃貸住宅は除く) 
 13.    居住支援協議会等が必要と認める改修工事 など

バリアフリー改修工事には、手すりの設置や段差解消、浴室やトイレの改良など、工事内容に応じた規定が設けられています。

バリアフリー改修(イメージ)

参照:国土交通省「セーフティネット住宅の改修費支援」
参照:一般財団法人 住宅保証機構「【別紙4】バリアフリー改修促進工事内容(詳細)」

補助率・補助限度額

セーフティネット住宅にするための改修工事に対しては、国による補助のほか、地方公共団体を通じた補助を併せて受けられます。

補助の対象となる工事費の補助率は1/3、また、補助限度額は1戸当たり50万円を原則として、実施する工事内容によって加算されます。

補助率

国:1/3
※地方公共団体を通じた補助の場合、国:1/3、地方公共団体1/3

補助限度額

(原則)

国の補助限度額:50万円/戸

補助額が加算

される工事

上記1~7の工事※を実施する場合
※前掲の補助対象となる改修工事を参照

50万円/戸 加算

1.の工事でエレベーターを設置する場合

15万円/戸 加算

1.の工事で車いす使用者に必要な空間を確保するための便所や浴室等の改修工事を行う場合

100万円/戸 加算

5.の工事に2、4または8を実施する場合

それぞれの工事の補助限度額の合計額
(上限200万円/戸)

参照:国土交通省「スマートウェルネス住宅等推進事業補助金交付要綱」16P

応募締切り(令和6年度)

令和6年度 住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業の応募締め切りは令和7年2月14日(金)です。応募方法などは国土交通省のページを参照ください。


まとめ

令和6年度の住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業について解説しました。この記事では改修工事の補助金についてピックアップしましたが、ほかにも改修費の融資制度や、地方公共団体を通じての家賃や家賃債務保証料の補助制度もあります。

この事業は住宅の確保が難しい人向けの住まいを供給することを目的としていますが、同時に、空室を抱えるオーナーにとっても入居率の向上、空室対策として活用できる制度といえるでしょう。

補助対象となる工事を実施する場合は計画段階や着工前、インスペクション(建物調査)を実施する場合はその委託契約前に、補助金の交付事務局に交付申請を行い、補助金の交付決定を受ける必要があります。ぜひ参考にしてください。

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吉満 博
吉満 博
不動産コンサルタント・ライター。株式会社あつみ事務所 代表取締役。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性を踏まえ、長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供する。また、購入・住み替え前のライフプランニングから、資金計画や住宅ローン、保険の見直しなど、お金に関するセカンドオピニオンを提供。不動産・住宅ライターとして、不動産メディアを中心に、これまでの建築設計、不動産売買の経験を踏まえた記事執筆をおこなう。

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