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定期借家契約とは? 利用するメリット・デメリットを解説

定期借家契約とは? 利用するメリット・デメリットを解説​​​​​​​
賃貸借契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つが存在します。この2種類の契約は条件などが異なるため、内容をきちんと理解しておかないと後にトラブルに発展する恐れがあります。

本記事では、定期借家契約の概要と、利用するメリット・デメリット、定期借家契約を活用する際の注意点を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.定期借家契約とは?
    1. 1.1.普通借家契約と定期借家契約の違い
    2. 1.2.定期借家契約の利用率は低い
  2. 2.定期借家契約のメリット
    1. 2.1.オーナー側のメリット
    2. 2.2.入居者側のメリット
  3. 3.定期借家契約のデメリット
    1. 3.1.オーナー側のデメリット
    2. 3.2.入居者側のデメリット
  4. 4.定期借家契約の注意点
    1. 4.1.書面で契約する必要がある
    2. 4.2.更新する際は再契約が必要
  5. 5.定期借家契約がおすすめの人
  6. 6.定期借家契約を正しく活用しよう

定期借家契約とは?

「定期借家契約」とは、期間が満了すると同時に契約が終了する賃貸借契約です。原則として更新することはなく、終了後は再契約を締結しない限り、入居者は退去する必要があります。

定期借家契約が導入された目的としては、貸し手の保護があります。従来の「普通借家契約」では、トラブルを起こす入居者であっても契約の更新を拒否することが困難であり、オーナーが自由に物件を管理することが難しい状況でした。また、退去してもらう場合には立退料が必要になるケースもあり、経済的な負担が大きくなってしまうこともあります。

そこで、オーナー側が安心して物件を貸せるよう定期借家契約が設けられました。

普通借家契約と定期借家契約の違い

普通借家契約と定期借家契約の大きな違いは、契約期間満了後の更新が可能かどうかです。普通借家契約では、期間満了となっても入居者が希望すれば契約は更新されます。一方の定期借家契約においては、期間が満了すると契約は終了し、原則として更新は行われません。再度契約を交わすことは可能ですが、オーナー側はこれを拒否することもできます。

また、契約期間についても、普通借家契約は1年以上の期間を定める必要がありますが、定期借家契約は自由に設定できます。

たとえば、転勤で半年間自宅に住めなくなったため、その期間だけ定期借家契約で賃貸に出すことも可能です。

その他の違いについては以下の表にまとめました。

(国土交通省 大家さんのための定期建物賃貸借契約を参考に筆者作成)

定期借家契約の利用率は低い

ここまで解説したとおり、定期借家契約は比較的オーナー側に寄り添った契約といえるでしょう。ただし、定期借家契約の利用率は非常に低いのが現状です。

国土交通省が実施した住宅市場動向調査 2022年度によると、賃貸借契約のうち94.8%が普通借家契約で、定期借家契約に関してはわずか2.1%にとどまっています。

その理由としては、主に次の2つが挙げられます。

  • 定期借家契約が認知されていない
  • 普通借家契約よりも客付けが難しい

多くの入居者およびオーナーが定期借家契約の存在自体を知らないか、その詳細を十分に理解していないため、契約方法の選択肢に入ることが少ないのです。実際に、同調査によると、定期借家契約の存在について認知していない人は61.3%にのぼります。

(出典:国土交通省 住宅市場動向調査

また、定期借家契約は契約終了時に退去が必要であるという特性上、長期的に安定して住み続けたい入居者には魅力的に映らないことが多いのです。そのため、普通借家契約に比べて客付けが難しくなってしまう点も、利用率が低い要因の1つといえます。

定期借家契約のメリット

ここからは、定期借家契約のメリットについて見ていきます。定期借家契約はオーナー側にも入居者側にもメリットがあり、うまく利用することで互いに有益な関係を築くことが可能です。それぞれのメリットをきちんと理解しておきましょう。

オーナー側のメリット

オーナー側のメリットは主に2つあります。

  • 期間限定で賃貸に出せる
  • 立退料が不要

定期借家契約では契約期間を自由に設定でき、なおかつ契約期間終了後は再契約をしなければ物件を明け渡してもらえます。

また、立退料が不要という点も大きなメリットです。普通借家契約では入居者が契約更新を希望する場合、オーナーが退去を求めるには多額の立退料を支払わなければならないケースもあります。その点、定期借家契約では、立退料を支払わずに物件から退去してもらえます。

(出典:国土交通省 大家さんのための定期建物賃貸借契約 主な活用事例

入居者側のメリット

定期借家契約には、オーナー側だけでなく入居者側にもメリットはあります。

入居者側のメリットは主に次の2つです。

  • 家賃や初期費用が安い
  • 品質の良い物件に住める可能性がある

定期借家契約は期間が定められているため、入居者は敬遠しがちです。そこで、オーナー側は入居してもらいやすくなるように、家賃や初期費用(敷金・礼金など)を安く設定するケースも少なくありません。

また、定期借家契約では、オーナーが自宅として使用していた一戸建てや分譲マンションを借りられるケースがあります。これは、オーナーが一時的な転勤などで自宅を離れる必要がある場合に多く見られ、通常の賃貸物件よりも間取りや内装設備の品質が高いことが多いと考えられます。

定期借家契約のデメリット

それでは、定期借家契約にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。互いのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

オーナー側のデメリット

オーナー側のデメリットとして、貸し出す家賃が相場よりも安くなりやすいことです。定期借家契約は、入居者側からすると一定期間後に出ていかなくてはならないため、契約期間に関して普通借家契約よりも不利な契約であるといえます。そのため、オーナー側は家賃を相場よりも安くして客付けしなければ、入居者を確保することが難しくなるのです。

入居者側のデメリット

一方の入居者側のデメリットは次の2つです。

  • 再契約できない可能性がある
  • 再契約後に家賃が上がる可能性がある

繰り返しになりますが、定期借家契約は、期間が定められているため、期間満了後には契約が終了するか、引き続き住み続けたい場合は再度契約を締結する必要があります。しかし、オーナー側の事情によって再契約できないケースも少なくありません。

また、もし再契約が可能であっても、市場の状況や物件の評価の変化に応じて家賃が上がる可能性もあります。

定期借家契約の注意点

定期借家契約を契約する際は、以下の点に十分注意したうえで行う必要があります。

書面で契約する必要がある

定期借家契約は、契約の際に書面の作成が必要です。また、オーナー側が入居者に対して、「契約の更新がなく、期間の満了により契約が終了すること」を契約書とは別の書面で説明することも必要です。

これらの説明がなかった場合には普通借家契約として扱われてしまうため、定期借家契約書を作成する際は必要事項を忘れずに記載しましょう。

更新する際は再契約が必要

定期借家契約では、期間満了後、契約が一度終了します。その後、再契約を希望する場合は、オーナー側と入居者側が新たな条件で改めて契約を締結する必要があるのです。

そのため、仮に再契約が可能であったとしても、市場の変動によっては契約期間や家賃、その他の条件が変更される可能性があります。

定期借家契約がおすすめの人

オーナー側と入居者側、それぞれどのような人に定期借家契約がおすすめなのかを見ていきましょう。

オーナー側の場合は、「一定期間だけ貸したい人」におすすめです。
たとえば、次のようなケースが当てはまります。

  • 転勤の間だけ貸したい
  • 建て替えの予定に合わせて貸したい
  • セカンドハウスをオフシーズンの間だけ貸したい

このように、一定期間後の用途が決まっている場合は定期借家契約の利用が便利です。

一方の入居者側の場合は、「一定期間だけ借りたい人」や「家賃や初期費用を安く抑えたい人」におすすめです。

特に引越しの多い人などは、短期間の生活ニーズを満たしつつ、相場よりも低い家賃で家を借りられるため、費用面での負担も軽減できるでしょう。

(出典:国土交通省 大家さんのための定期建物賃貸借契約 最近の活用事例

定期借家契約を正しく活用しよう

「定期借家契約」とは、期間が満了すると同時に契約が終了する賃貸借契約です。

オーナー側からすると期間限定で賃貸に出せることや、立退料の必要がないことが定期借家契約のメリットです。

一方の入居者側は、家賃や初期費用を抑えられたり、品質の良い物件に住めたりといったメリットを得られるでしょう。

このように、定期借家契約はうまく活用することで、互いにメリットを得られる契約です。所有している物件を賃貸に出す予定の方は、定期借家契約を活用できそうか検討してみてください。

出典:国土交通省 大家さんのための定期建物賃貸借契約
https://www.mlit.go.jp/common/001334934.pdf

国土交通省 住宅市場動向調査
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001610299.pdf


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辻本 剛士
辻本 剛士
神戸で活動中の独立型FP。大学卒業後、医薬品・医療機器会社に就職し、在職中にFP1級、CFP、宅地建物取引士に独学で合格。会社を退職後、未経験から神戸で数少ない独立型FPとして起業。現在は相談業務、執筆業務を中心に活動している。

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