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消滅可能性自治体は全国に744自治体。人口減対策が急務

消滅可能性自治体は全国に744自治体。人口減対策が急務
本記事では、消滅可能性都市に関する分析レポートの内容をわかりやすく解説します。消滅可能性都市の定義やその動向をチェックしてみましょう。

目次[非表示]

  1. 1.注目を集めた消滅可能性都市
  2. 2.そもそも消滅可能性都市とは
    1. 2.1.100年後も存続? 「自立持続可能性自治体」
    2. 2.2.人口を吸い寄せる「ブラックホール型自治体」
  3. 3.最新の消滅可能性都市の動向は?
    1. 3.1.消滅可能性自治体は全国に744自治体
    2. 3.2.5万人未満は注意。人口規模別の傾向
    3. 3.3.東北の割合が最も多い。地域ブロック別の傾向
  4. 4.地域特性を踏まえた対策が急務

注目を集めた消滅可能性都市

2024年4月24日、民間の有識者グループである人口戦略会議が『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』を公表しました。レポートでは、将来的に消滅する可能性のある自治体について言及しており、ニュース等でも大きく報道されました。

744自治体は、全体の4割にあたることから、自分の町が消滅する4割に入るのだろうかと、関心を寄せた人も多いのではないでしょうか。

そもそも消滅可能性都市とは

そもそも、消滅可能性都市とは、どのような定義なのでしょうか。

人口戦略会議の分析レポートにおいては、『若年女性人口が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」としている』と説明しています。この考え方は、2014年に日本創成会議が発表した「消滅可能性都市」リストの分析手法を踏襲したものです。

2014年の分析においては、「若年女性人口が減少しつづける限り、出生数は低下しつづけ、総人口の減少に歯止めがかからない。人口減少のスピードを考えると、若年女性人口が2010年から2040年までの30年間で50%以上のスピードで急減する地域では、70年後には2割に、100年後には1割程度にまで減っていくことになる。このような地域は、最終的には消滅する可能性が高いのではないか」という結論が導かれました。

「消滅可能性都市」という言葉だけを聞くと、現実味のない印象を受けるかもしれません。しかし、30年で半減した若年女性人口が、100年後には1割程度になり、最終的に消滅する可能性があるということを知ると、急に現実味を帯びてくるのではないでしょうか。

人口戦略会議は、2023年に公表された「日本の地域別将来推計人口(令和 5 年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)に基づき、人口から見た地方自治体の「持続可能性」を分析しました

100年後も存続? 「自立持続可能性自治体」

分析レポートの中では、「消滅可能性自治体」だけではなく、「自立持続可能性自治体」や「ブラックホール型自治体」という名称でほかの特徴を持つ自治体を類型化をしています。この類型化には、人口の変化を出生数と死亡数から算出する「封鎖人口」と、流出と流入から算出する「移動仮定」の2つの基準が用いられています。

100年後も存続する可能性が高い自治体として、全国で65の自治体が「自立持続可能性自治体」に位置づけられました。これは、封鎖人口・移動仮定ともに、若年女性人口の減少率が20%未満の自治体です。100年後にも若年女性が5割近く残っていると考えられるため、自立して持続できる自治体として分類されました。

人口を吸い寄せる「ブラックホール型自治体」

一方で、封鎖人口においては若年女性人口が50%以上減少するものの、他地域からの人口流入が多く、移動仮定における若年女性人口の減少率が20%未満の自治体も存在します。

このような自治体は、自治体内での出生率は低い一方で、流入が多い特徴を捉え「ブラックホール型自治体」と表現されました。全国に25ある「ブラックホール型自治体」は、関東に21、そのうち東京都に17と、そのほとんどが首都圏に集中しています。

最新の消滅可能性都市の動向は?

今回の分析レポートでは、消滅可能性都市について具体的にどのような動向が見られたのでしょうか。全体の傾向と、人口規模別、ブロック別に確認してみましょう。

消滅可能性自治体は全国に744自治体

2024年の分析レポートにおいて、「消滅可能性自治体」とされたのは全国で744自治体でした。自治体数の数え方が異なるため単純に比較はできないものの、10年前の896自治体に比べると若干の改善が見られる結果です。

さらに、「消滅可能性自治体」であることは10年前と変わりないものの、若年女性人口減少率が改善した自治体が362、反対に悪化した自治体は283でした。この数字からも、若干の改善がうかがえます。

しかしながら、分析レポートでは、少子化基調はまったく変わっておらず、日本人女性の将来的な出生率仮定値は低下傾向が見られることから、楽観視できる状況にはないとしています。

5万人未満は注意。人口規模別の傾向

「消滅可能性自治体」と人口規模の関係はどのようになっているのでしょうか。

全体の傾向として、人口規模が5万人未満の自治体で「消滅可能性自治体」の割合が増加し、さらに1万人未満の自治体の6割超が「消滅可能性自治体」に該当しています。

ただし人口規模が大きいからといって、必ずしも「自立持続可能性自治体」になるわけではありません。人口50万人以上の自治体の2割が、封鎖人口の減少傾向が強い「ブラックホール型自治体」に該当しており、出生率の改善が課題となっています。

東北の割合が最も多い。地域ブロック別の傾向

それでは、地域ブロック別ではどのような傾向が見られるでしょうか。

「消滅可能性自治体」の割合が最も多いのは東北で、全自治体の7割強が該当しています。北海道も6割強が「消滅可能性自治体」に該当しており、どちらの地域も封鎖人口・移動仮定の両方に対策が必要であるとされています。

「消滅可能性自治体」の割合が最も少ない九州・沖縄は、「自立持続可能性自治体」が34と数も多く、全国で65の「自立持続可能性自治体」の半数以上が九州・沖縄に存在しています。特に、沖縄県は17の自治体が「自立持続可能性自治体」に該当しており、突出した結果が見られました。

地域特性を踏まえた対策が急務

分析レポートで推測されている今後の人口動態については、人口規模や地域ブロックによる傾向の違いが顕著です。出生率を上げるのか、流出を防ぐのか、流入を増やすのか。自治体の存続に向けた対策も、地域によって大きく異なることは間違いないでしょう。一方で、似た傾向の自治体の成功例をモデルケースとして対策のヒントを得ることで、自治体の存続につなげられるのではないでしょうか。

自治体の人口特性に合わせて、自然減対策や社会減対策が期待されます

『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』には、自治体別の分析データが詳細に掲載されています。商圏エリアや、住んでいる自治体が、今後どうなると予想されているのか、チェックしてみましょう。

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入船みみ
入船みみ
大阪大学卒業後、大手インフラ企業に入社。まちづくり企画・不動産賃貸業・店舗開発などの幅広い不動産事業を経験。人事分野にも携わり、採用・人材育成・組織戦略(ワークエンゲージメント)を推進している。豊富な実務経験をもとに、WEBメディアにおいて不動産・キャリア形成・金融をテーマとした記事執筆多数。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。宅地建物取引士試験合格。 SNS・記事実績リンク:https://1link.jp/mimi_irifune

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