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エリア情報を細かく収集して“穴場駅”が人気 首都圏ファミリー向け賃貸問合せ数急上昇ランキング

エリア情報を細かく収集して“穴場駅”が人気 首都圏ファミリー向け賃貸問合せ数急上昇ランキング

LIFULL HOME’S総研の中山です。

前回のシングル向け編に引き続いて、コロナ後のファミリー賃貸ユーザーがどのエリアに注目して物件を探しているのか、物件ごとの問合せ数を基に反響が急増した駅のランキングとその傾向&共通項について解説します。ファミリー賃貸ユーザーが物件検索して実際に問合せした数から算出したものですから、首都圏で人気が急上昇した駅&エリアがどこなのか一目瞭然です。​​​​​​​

目次[非表示]

  1. 1.東京:キーワードは“北” ターミナル駅の隣駅に注目集まる
  2. 2.京急線、京成線、埼玉高速鉄道…ファミリー層も賃料が安価で便利な場所を探している!

東京:キーワードは“北” ターミナル駅の隣駅に注目集まる

2022年度と2023年度を比較して問合せ増加率1位となったのは、東京メトロ副都心線「北参道」です。実に前年度比286.0%、昨年から約3倍の問合せ数を獲得しています。渋谷まで2駅(4分)&池袋まで5駅(12分)でダイレクトアクセス可能、代々木や千駄ヶ谷も徒歩圏なのに、都心ではあまり知られていない閑静な住宅地です。「北参道」と同様に、2位「北池袋」、5位「京成曳舟」、6位「北八王子」、9位「新富町」など、ターミナル駅に隣接する駅がいずれも人気急上昇となっており、ターミナル駅まで1駅2駅な距離感が好まれていることが分かります。今回は駅名に「北」とつく駅が3駅ベスト10にランクインしており、“ターミナル駅の隣駅”は交通利便性に大きな違いがなくても、賃料水準に相応の違いがあることをユーザーの皆さんはよくご存知のようです。

また、駅所在地の行政区を見ると、3位「馬込」、4位「立会川」、7位「中延」と城南(品川区、大田区)の3駅がランクインしています。これも、都心方面へのアクセスが容易な割に賃料水準がやや安価であることが、その要因です。

このような駅は“穴場駅”、つまり、①駅名がそれほど広く知られておらず、②ターミナル駅・乗換駅から数駅以内の普通停車駅でも、③駅周辺の生活利便性は良好で、④エリアによっては複数駅利用可能、などの共通条件があり、駅のネームバリューが高くないので賃料が低めに設定されている割に利便性が高い「コスパ&タイパの良い駅」なのです。今回のランキングで、このような穴場駅の存在が明らかになると人気度合いで賃料が上昇する可能性もありますから、各位の穴場駅をぜひ見つけて&ユーザーに紹介していただきたいと思います。

京急線、京成線、埼玉高速鉄道…ファミリー層も賃料が安価で便利な場所を探している!

一方、周辺3県の急上昇ランキングでは、神奈川で問合せ増加率206.7%となって1位を獲得した京急本線「八丁畷」を始め、「弘明寺」「六浦」「京急川崎」がベスト10にランクインし、シングル向け同様に京急線沿線の駅が上位を占めています。また東急線との相互乗り入れで飛躍的に利便性が向上した「新横浜」が7位にランクインしたことが注目されます。駅から少し離れると賃料がまだ安価なエリアですから、コスパの良さが人気となっています。

同じく、千葉でも問合せ増加率158.3%で1位の京成本線「公津の杜」のほか「菅野」「おゆみ野」など京成線沿線の駅が上位に入りました。また「東葉勝田台」「梅郷」「東金」など郊外エリアの駅名が急上昇していますから、特に子育て中のファミリー層は、テレワークを前提として生活環境の落ち着いた、そして物価が比較的安価なエリアを探していることがよくわかります。

埼玉では問合せ増加率147.4%で埼玉高速鉄道「新井宿」が1位になりました。同線は4位に「南鳩ヶ谷」もランクインしており、そのまま東京メトロ南北線経由で「駒込」「飯田橋」ほかでJR線との連絡もあって、賃料が7万円前後と安価な割に交通利便性が確保されていることが、問合せ増加率急上昇の要因です。同じ埼玉県内でも、以前からベッドタウンとして発展してきたJR線沿線の各駅と比較すると、埼玉高速鉄道線各駅の賃料相場はまだまだ安価な水準を維持していますから、コスパの良い駅&沿線として注目されているようです。

ただし、ファミリー層特有の動きとして、テレワークが解除になった企業に就業されているユーザーの“都心回帰”も発生しており、東京では1位の「北参道」を始めとして、9位「新富町」や10位「麹町」などへの問合せが急増しています。コロナ明けでほぼ毎日通勤することが前提となれば、職住近接も並行して増加するものと考えられます。

このように、コロナ明けで賃貸物件への居住ニーズが高まった駅・エリアでは、コロナ明けの経済活動の本格再開によって職住近接を求めるニーズが一部回復しつつありますが、円安による物価の高騰や賃料水準の上昇もあり、多くのファミリー層は、より子育てしやすい生活環境を求めて郊外方面へと居住エリアを拡散させている状況が浮き彫りになりました。より安価で利便性が良好という条件はシングル向けの賃貸物件と同じですが、ファミリー層は広さも必要となるため、郊外化の意向がより明確になっています。

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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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