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住宅用火災警報器の設置義務とは? 設置基準や種類、交換時期など解説

住宅用火災警報器の設置義務とは?設置基準や種類、交換時期など解説
火災の発生を音で知らせる住宅用火災警報器は、自宅だけでなく、賃貸住宅も含むすべての建物に設置義務があります。特に賃貸物件では、誰が設置すべきかや、設置場所について把握しておくことが大切です。

本記事では、住宅用火災警報器の設置基準や警報器の種類、交換時期などについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.住宅用火災警報器の設置義務について
    1. 1.1.義務化の背景
    2. 1.2.誰が設置するのか
    3. 1.3.設置基準について
  2. 2.住宅用火災警報器の種類
    1. 2.1.1.煙式と熱式
    2. 2.2.2.電池式とAC100V式
    3. 2.3.3.単独型と連動型
  3. 3.住宅用火災警報器を設置する効果    
  4. 4.点検と交換時期について
  5. 5.誤報があった場合の対応
  6. 6.補助金が使える自治体もある
  7. 7.まとめ

住宅用火災警報器の設置義務について

住宅用火災警報器(以下「火災警報器」という)の設置は、消防法の改正により、新築住宅においては2006年(平成18年)6月から義務化されています。既存住宅に対しては、2011年(平成23年)6月までの設置が義務付けられていました。

義務化の背景

火災警報器の設置が義務化された背景には、建物火災における死者数に占める住宅火災の割合が高いことが考えられます。令和5年版消防白書によると、2022年中に発生した建物火災における死者の約9割が、住宅火災によって亡くなっています。つまり火災によって命を落とす人を減らすには、住宅火災への対策が急務なのです。

また、火災による死者の7割強を65歳以上の高齢者が占める点も、火災警報器設置の義務化を後押ししたといえそうです。今後さらに高齢化が進めば、火災による死者数が増える懸念があるためです。

こうした背景から、国は住宅火災を防止する対策の一つとして、火災警報器設置の義務化に踏み切ったと考えられます。

(出典:令和5年版消防白書

誰が設置するのか

火災警報器の設置義務を負うのは、住宅の関係者である、所有者・管理者(管理会社)・占有者(入居者)であると消防法によって定められています。この3者のいずれかか、あるいは複数が協力して火災警報器を設置します。

ただし、慣例的には、入居者に対して安全な建物を提供する責任を負う所有者が設置するケースが多いようです。賃貸住宅を新築する際や、火災警報器が未設置の住宅を管理する際は、所有者に火災警報器の役割を伝え、設置のために働きかけましょう。

設置基準について

火災警報器の設置場所は、国の定める基準に従い、市町村(東京都は都、以下同じ)による火災予防条例で定められます。

基本的な設置場所は寝室(子ども部屋も含む)と階段ですが、条例によっては台所や居室などに設置が義務付けられている場合もあります。

共同住宅の共用階段に設置が必要かどうかは、市町村の火災予防条例によって異なります。たとえば、東京都では火災警報器の設置義務があるのは住宅内の階段のみで、共用階段には設置の必要はないとしています。

火災警報器の設置を計画する際は、詳細な設置基準について所轄の消防本部や消防署に確認するようにしましょう。

(出典:東京消防庁 住宅用火災警報器の取り付け方

住宅用火災警報器の種類

火災警報器には主に次のような種類があります。

1.煙式と熱式

それぞれ名前のとおり、煙式の火災警報器は煙によって、熱式は熱によって火災の発生を感知します。消防法によって寝室や階段に設置が義務付けられているのは煙式です。一方の台所については、火災警報器が料理の煙に反応する恐れがあるため、熱式の設置を認めている市町村もあります。

2.電池式とAC100V式

電池式の火災警報器は、本体に内蔵した電池によって動作のための電力を得ます。一方のAC100V式は、建物に施工されている電気配線から電源を取ります。火災警報器を設置する際、周囲に電気配線がない場合は、電池式を用いるのが一般的です。

3.単独型と連動型

単独型の火災警報器は、出火を感知した警報器のみが警報を発します。対する連動型は、出火を感知した警報器に連動して、ほかの部屋の警報器も警報を発します。このため、連動型の場合はほかの部屋にいても火災発生に気づきやすく、早期の避難や消火活動を可能にします。

(出典:東京消防庁 よくある質問 補助警報装置

ご高齢者の方や、警報音が聞き取りづらい方向けに、補助警報装置の設置がおすすめです。火災の発生を光や振動などで知らせることができます。

住宅用火災警報器を設置する効果    

賃貸住宅に住宅用火災警報器を設置すると、入居者に安全性の高い住居を提供できるようになります。

「令和5年消防白書」によると、火災による死者発生状況の約4割が逃げ遅れです。火災警報器によって早い段階で火災に気づけば、素早い避難が可能となり、痛ましい被害を防ぐことにつながるでしょう。

また、火災警報器を設置した住宅では迅速な初期消火活動ができるようになり、建物への被害拡大を抑えられるはずです。建物の被害が少なければ、修復のための費用や時間を削減でき、賃貸業務の再開を早めることもできるでしょう。

点検と交換時期について

火災警報器は、動作を確認する定期的な点検と、10年経過後の本体の交換が推奨されています。故障や電池切れ、劣化などで正しく動作しなければ、いざという時に火災を感知できず、周囲に危険を知らせる役割を果たせません。

具体的な点検方法は、本体の点検ボタンを押したり点検用の紐を引いたりして、警報音が鳴るかを確かめることです。もし動作しなければ、電池の交換や施工会社への修理依頼をしましょう。一般的な家電製品の耐用年数は、7年から10年といわれており、火災警報器も長く使い続けると劣化で火災を感知できなくなる恐れがあります。

火災警報器がいつ設置されたかは、本体にある設置年月日の記入欄で確認できます。日付が未記入の場合は、本体裏などに記載されている製造年月日が目安になります。

管理する賃貸住宅の火災警報器が設置後10年を経過しているようなら、所有者に伝え交換を促しましょう。

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設置した時期が分からない場合は、機器の裏側にある製造年月を確認してみましょう

誤報があった場合の対応

火災警報器は、まれに誤動作による警報、いわゆる誤報を起こすことがあります。原因は本体内部へのほこりの侵入や結露、エアコンによる急激な室温上昇などさまざまです。

家中を探しても火元が見当たらず、誤報が明らかな場合は、火災警報器のスイッチや紐を操作して警報を止めます。誤報が繰り返される場合は、火災警報器自体の故障も考えられるため、施工会社に点検を依頼しましょう。

また煙式の火災警報器を台所に設置していると、料理の煙や湯気に反応して誤報が発生することもあります。誤報がたびたび発生するようなら、設置位置の移動を検討しましょう。

補助金が使える自治体もある

火災警報器の設置に対し、補助金制度を設けている自治体もあります。設置費用の負担を軽減しながら建物の安全性を高められるため、積極的に活用したいところです。

ただし、申請できるのが居住する人のみであったり、高齢者が同居する世帯のみが対象だったりなど、補助金の受給には各種の条件があります。補助金制度の有無を自治体に問合せる際は、受給の条件もしっかり確認しましょう。

まとめ

火災による熱や煙を感知して警報を発する火災警報器は、住宅火災の被害を減らす目的で、賃貸を含むすべての住宅に設置が義務付けられています。実際に設置を行うのは、慣例的に所有者であるケースが多いようです。

基本的な設置場所は寝室および階段ですが、台所なども設置するよう条例で定めている市町村もあります。火災警報器を設置することで、入居者により安全な住宅を提供できるようになり、火災の早期発見による建物被害の軽減も期待できます。

これから賃貸住宅を建築する場合はもちろん、火災警報器が未設置の既存賃貸住宅を管理する場合も、所有者に火災警報器の設置を促しましょう。

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武井 利明
武井 利明
住宅メーカーに約20年営業職で勤務。現在は住宅専門ライターとして住まいの選び方、土地の選び方、ローンを含めた資金計画、プラン、メーカー比較、リフォームなど、幅広いテーマで多数のメディアに執筆。人気動画サイトの住宅系動画脚本なども手がける。営業マン時代に培った知識と経験を生かし、これから家を建てる方の悩みや疑問、不安を解決する記事を得意としている。

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