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集合住宅の防火管理者とは?資格の取り方や建物条件、業務委託などを解説

集合住宅の防火管理者とは?資格の取り方や建物条件、業務委託などを解説

一定の条件に当てはまる建物では、有資格者のなかから防火管理者を選任し、防火管理業務を行うことが消防法で定められています。従わない場合の罰則も設けられているため、防火管理者のいない管理物件は早急に選任を行う必要があります。

本記事では、防火管理者の役割や資格の取得方法、対象となる集合住宅の条件などを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.防火管理者とは
    1. 1.1.選任要件と資格の概要
  2. 2.防災管理講習とは
    1. 2.1.1.甲種防火管理新規講習
    2. 2.2.2.乙種防火管理講習
    3. 2.3.3.甲種防火管理再講習
  3. 3.集合住宅における防火管理者
    1. 3.1.防火管理者が必要な建物
    2. 3.2.防火管理業務について
  4. 4.防火管理者の業務委託について
    1. 4.1.防火管理者不足の背景
    2. 4.2.委託が認められる要件
      1. 4.2.1.1.以下のいずれかの要件を満たす防火対象物であること
      2. 4.2.2.2.防火管理業務を行うことが困難な以下のいずれかの条件であること
      3. 4.2.3.3.外部委託を受ける者が以下の要件を満たしていること
  5. 5.まとめ

防火管理者とは

防火管理者は、多くの人が利用する建物の防火に努め、万が一火災が発生した場合の被害を最小限に抑える役割を担います。具体的には、選任された建物の消防計画の作成や、避難施設などの維持管理、消火訓練の実施といった防火管理業務を行います。

ここでは、防火管理者として選任される要件や資格について解説します。

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消防法により、防火管理者の設置などが義務付けられています

(出典:東京消防庁防火管理 実践ガイド防火管理制度

選任要件と資格の概要

防火管理者は、建物の防火管理責任者である管理権原者(共同住宅では所有者や居住者など)が、要件を満たす有資格者のなかから選任します。

消防法では、防火管理者に選任する要件を次のように定めています。

・防火管理の業務を遂行できる、管理的または監督的地位にあること
・防火管理に関する知識や技能を持つこと

1つ目の要件の「管理的または監督的地位」とは、大規模な施設や事業所では総務部長や安全課長が該当し、小規模な施設や事務所では社長や専務などが該当します。

2つ目の要件の「防火管理に必要な知識や技能」とは、学識経験者(安全管理者、防火対象物点検資格者、危険物保安監督者、1級建築士など)か、防火管理講習の終了資格を持つ者が該当します。

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東京消防庁防火管理 実践ガイド防火管理者とは? 防火管理の最終責任者である管理権原者が要件を満たす有資格者のなかから防火管理者を選任します

(出典:東京消防庁防火管理 実践ガイド防火管理制度

防災管理講習とは

防火管理講習とは、防火管理者の業務を行うのに必要な資格を取得するための講習です。都道府県知事や消防本部および消防署を置く市町村の消防長、総務大臣登録講習機関によって実施されます。

防火管理講習には、甲種防火管理新規講習・乙種防火管理講習・甲種防火管理再講習の3種類があります。

1.甲種防火管理新規講習

甲種防火管理者の選任資格を取得するための講習です。甲種防火管理者は、建物の用途や規模、収容人員にかかわらず、すべての防火対象物で防火管理者を務めることができます。

2.乙種防火管理講習

乙種防火管理者の選任資格を取得するための講習です。乙種防火管理者は、選任される防火対象物が比較的小規模なものに限られます。

3.甲種防火管理再講習

特定用途における収容人員300人以上の防火対象物の防火管理者としてすでに選任されている方が、定められた期限内に再度受ける講習です。

集合住宅における防火管理者

ここでは、どのような集合住宅において防火管理者が必要か、そして具体的にどのような業務を行うのかを解説します。

防火管理者が必要な建物

用途が集合住宅のみの建物は、非特定用途※の防火対象物に該当し、収容人員が50人以上の場合に防火管理者の選任が必要です。集合住宅における収容人員とは、居住者の人数のことです。

※主として特定の者しか出入りしない用途の建物

また、集合住宅の防火管理者に必要な資格は、建物の延べ面積によって以下のように定められています。

500m2以上の建物:甲種防火管理者
500m2未満の建物:甲種または乙種防火管理者

防火管理業務について

防火管理者は、選任された建物において、以下のような防火管理業務を行います。

・選任建物の消防計画の作成と消防機関への届け出
・消火、通報および避難訓練の実施
・消防用設備※1などの点検と整備、報告
・火気の使用または取り扱いに関する監督
・避難や防火に必要な構造および設備※2の維持管理
・収容人数の管理
・その他防火管理上必要な業務

※1:消火器、水バケツ、水槽、乾燥砂、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、火災報知設備など
※2:廊下、階段、避難口、防火戸など

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東京消防庁は防火管理者などにむけて防火管理ポータルサイトを開設しています。消防庁のサイトや管轄の自治体の情報なども参照ください

(出典:東京消防庁防火管理ポータルサイト

防火管理者の業務委託について

防火管理者の担い手がいない場合は、定められた要件を満たし、管轄の消防署長が認めた場合に限り、防火管理者の業務委託ができます。

防火管理者不足の背景

防火管理者の資格を得るためには、時間を確保して講習を受ける必要があります。さらに、選任された後には、消防計画の作成やさまざまな訓練の実施、各種設備などの点検・管理なども行わなければなりません。

こうした業務の多さを理由に敬遠され、防火管理者の担い手を探すのが困難な共同住宅もあるようです。

ほかにも、防火の責任に対する心理的な負担や、住人の高齢化によって防火管理業務の実施が困難などの理由で、防火管理者を選任できないケースもあります。

委託が認められる要件

防火管理者を選任できない建物では、一定の要件を満たし、管轄の消防署長によって防火管理業務を適切に行えないと認められた場合に限り、防火管理者を委託することができます。

委託を認められるには、以下の1~3の要件を満たす必要があります。

1.以下のいずれかの要件を満たす防火対象物であること

・共同住宅または、複合用途の防火対象物の共同住宅部分
・複数の防火対象物で、管理権原者が同じ場合の当該防火対象物
・防火対象物が次のいずれかに該当する場合
 ア:火災発生時に、自力で避難することが著しく困難な者の入所する社会福祉施設などで収容人員が10人未満のもの
 イ:不特定多数の者が出入りする建物(劇場、飲食店、店舗、ホテル、病院など)で収容人員が30人未満のもの
 ウ:特定の多数の者が出入りする建物(学校、工場、倉庫、事務所など)で収容人員が50人未満のもの
・特定資産または不動産特定共同事業契約にかかる不動産に該当する防火対象物

2.防火管理業務を行うことが困難な以下のいずれかの条件であること

・防火管理者となるべき者が次のいずれかに該当する場合
 ア:遠隔地に勤務または居住している
 イ:高齢または病気などの身体的な不自由がある
 ウ:日本語が不自由である
 エ:従業員がいないか極めて少ない
・管理権原者が頻繁に変わるため、継続的な防火管理者の選任が難しい
・その他、消防署長が認める場合

3.外部委託を受ける者が以下の要件を満たしていること

・防火管理者の責務を行うために必要な権限が付与されていること
・管理権原者から防火対象物の状況について必要な説明や文書の交付を受け、十分な知識を有していること

各要件の詳細は、自治体によって多少異なる場合があります。届け出を行う前に、管轄の消防署に要件を確認するようにしましょう。

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防火管理者の業務委託の際、要件の詳細や最新情報は消防庁のホームページを参照ください

(出典:東京消防庁防火管理 実践ガイド防火管理制度

まとめ

防火管理者は、多くの人が利用する建物の火災を未然に防ぎ、万が一の場合の被害を最小限に抑える役割を担います。消防法によって一定条件の建物で選任が義務付けられており、防火管理講習を受けることで防火管理者の資格を得ることができます。

集合住宅では、入居者の人数が50名以上の場合に防火管理者の選任が必要です。防火管理者がいない物件があれば、早急に管理権原者に選任を促しましょう。

防火管理業務の負担や入居者の高齢化などで防火管理者の選任が困難な場合は、要件を満たし消防署長の承認を受けることで外部委託が可能です。

防火管理者の選任が難しい物件がある場合は、防火管理の委託を請け負う事業者に早めに相談しましょう。

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武井 利明
武井 利明
住宅メーカーに約20年営業職で勤務。現在は住宅専門ライターとして住まいの選び方、土地の選び方、ローンを含めた資金計画、プラン、メーカー比較、リフォームなど、幅広いテーマで多数のメディアに執筆。人気動画サイトの住宅系動画脚本なども手がける。営業マン時代に培った知識と経験を生かし、これから家を建てる方の悩みや疑問、不安を解決する記事を得意としている。

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