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賃貸住宅もフレッシュなほうが良い!? “物件鮮度”とは何か

賃貸住宅もフレッシュなほうが良い!? “物件鮮度”とは何か

LIFULL HOME’S総研の中山です。
今回は、賃貸住宅の“物件鮮度”について解説します。この耳になじみのない物件鮮度という言葉は、新築の賃貸住宅が市場に投入されるまでの期間、のことではなく、不動産ポータルサイトに広告掲載されている全賃貸物件のうち、まだ契約に至っておらず募集中である物件数が多い状態(シェア)であることを意味しています。物件鮮度がいいということは、それだけ実際に募集中の物件が多いということになります。不動産ポータルサイトでしか使わないかもしれませんが、この言葉が実は重要な意味を持っているので、賃貸仲介を業とされる皆さんにはぜひ覚えておいてほしい言葉でもあります。

目次[非表示]

  1. 1.物件鮮度は“意図せずに発生したおとり物件”を防ぐことにも効果あり
  2. 2.不動産ポータルサイトが“物件鮮度”にこだわるワケ
    1. 2.1.「その物件は(何らかの理由で)申込できない」と言われたユーザーは全体の3分の2
  3. 3.おとり広告の“被害”は決して少なくない

物件鮮度は“意図せずに発生したおとり物件”を防ぐことにも効果あり

当然のことですが、各不動産ポータルサイトに掲載されている賃貸物件は、リアルタイムで募集状況が変化しており、契約時点とサイト上での広告掲載が終了(サイト上から削除)する時点とのタイムラグが生じてしまうことがあります。このため、不動産ポータルサイト上に掲載されている賃貸物件すべてが、検索結果に表示されている段階で募集中であるとは限らないのです。ごくわずかな差でほかのユーザーに借りられてしまったとか、例えば自然災害や火事など物件に何らか問題が起きたことが判明しても広告掲載を取り下げるまでに時間がかかったケースなどが該当します。
 
ECサイトやホテルの空室情報などでもこのようなことは発生することがありますし、その場合「現在〇〇人の方がこのホテルを検索しています」といった状況判断をするための付加情報がポップアップで表示されることもありますが、その表示に客観的なエビデンスはなく、むしろ早く契約を迫るギミックとして表示されている可能性も否定できませんから、不動産ポータルサイトにおける“物件鮮度”も、その意味ではユーザーが安心して賃貸契約やその前段階としての問合せや内覧などを行える客観的な指標となり得るもの、といえるでしょう。
 
もちろん、この物件鮮度は100%であること、つまり全物件がその時その瞬間に募集中であることが理想ですが、残念ながら現在のIT技術では完全にそのタイムラグを解消することはできません。したがって、その割合を極力少なくし続けていくことが今後の不動産ポータルサイトの課題といえます。不動産ポータルサイトと連動する賃貸物件のオンライン賃貸借契約が完全実現する日まで、物件鮮度という言葉は意味を持ち続けることになります。

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不動産ポータルサイトの物件情報は更新までにタイムラグが発生してしまう可能性があり、すべての物件が募集中であるとは限らないことから、ユーザーにとって物件鮮度は重要であるといえます

不動産ポータルサイトが“物件鮮度”にこだわるワケ

上記のとおり、このようなウェブサイト上の表示と実際の成約状況とのタイムラグは、一般的な物品販売を行っているECサイトやホテルの空室検索、飲食店の予約サイトなどでも頻繁に発生することですが、なぜ賃貸住宅において特にそのタイムラグ解消に向けた取り組みが内外から強く求められているのかといえば、それはおとり物件という“負の遺産”が現在でもなくなっていないからです。

「その物件は(何らかの理由で)申込できない」と言われたユーザーは全体の3分の2

1年以内に不動産ポータルサイトで賃貸物件を探した1,100人を対象としたアンケートでは、物件の問合せに対して「その物件は(何らかの理由で)申込できない」と言われたユーザーは67.6%と全体の3分の2以上に達し、そのうち物件が募集終了していることを知ったのは、「物件の問合せをした際」が81.6%なのに対して、「不動産会社に訪問した際/物件を内覧する際」も17.1%に上りました。つまり、電話やメールなどで問合た時点では何も知らされず、現地を訪問した時点で初めて申込できないことを知らされるケース=他の物件で条件に合うものを紹介しますというオファーが少なくないということです。

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LIFULL HOME'S 「おとり物件の実態調査」

問合せをする手間や、物件のあるエリアに赴くための時間とコストが無駄に費やされていることになれば、決して看過できない“被害”が発生していると言わなければなりません。ユーザーとしても希望条件にかなう物件ではないものを積極的には選びたくはないはずですが、時間とコストを無駄にしたくないと考えれば、ほかに提示された物件のなかから選択してしまうことも大いに考えられますから、まさに“おとり広告による本意ではない賃貸借契約の締結”という結果を招くことになり兼ねません。

おとり広告の“被害”は決して少なくない

あたかも人を騙すかのような印象の強い“おとり広告”があるからこそ、そのネガティヴなイメージを払拭するためにも賃貸住宅を取り扱う事業者は“物件鮮度”にこだわる必要があります。また、“おとり広告”はもちろん貸す側が意図して行う悪質なケースもありますが、契約と広告掲載のタイムラグによって発生してしまう“意図しないおとり広告”のほうが多いとされていますから、おとり広告に対するユーザーのリテラシーを高める意味でも“物件鮮度”は重要な指標になるのです。
 
上記のアンケートで、賃貸物件を探す際に不動産ポータルサイトで重視すること(複数回答)を聞くと、「情報が見やすい・わかりやすい」が70.4%を占めるのに対して、「情報が新しい」は28.4%、「おとり物件・釣り物件が少ない」が24.6%にとどまり、それぞれ3割に満たないことからも、いまだにおとり物件に対するユーザーの認識は決して高くなく、その“被害”もなくなっていないという事実を肝に銘じる必要があります。

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LIFULL HOME'S 「おとり物件の実態調査」

最後に、少々宣伝モードになってしまうかもしれませんが、LIFULL HOME’Sは2024年6月時点の第三者調査で“物件鮮度No.1”の評価を得ることができました。LIFULL HOME’Sでは専門の物件情報精度責任者を配置して、物件鮮度を今後も高く維持し、さらに高めていく努力を怠らないことをお約束します。
 
参考:LIFULL HOME'Sが不動産ポータルサイトで「物件鮮度No.1 」獲得
https://lifull.com/news/34290/

中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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