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国土交通省が地域価値共創シンポジウムを開催。不動産事業者の空き家の利活用に期待

国土交通省が 地域価値共創シンポジウムを開催。不動産事業者の空き家の利活用に期待
国土交通省は、「地域価値を共創する不動産業アワード」を2022年度に創設。空き家などの利活用により地域価値を高める取り組みを表彰してきました。国土交通省は、このアワードの受賞者や実績のある事業者と、これから取り組もうとする人とのネットワークづくりの場として「地域価値共創プラットフォーム」を立ち上げ、加入者を募集しています。このプラットフォームの立ち上げのキックオフとして、2024年9月6日に地域価値共創シンポジウムが開催されました。

シンポジウムでは、アワードの受賞者や識者などが登壇しました。シンポジウムから一部をご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.不動産事業者に期待される役割
  2. 2.「ハロー!RENOVATION」を活用した空き家活用
  3. 3.休眠不動産の再生。九州DIYリノベWEEK
  4. 4.アワード受賞者による座談会
    1. 4.1.登壇者
      1. 4.1.1.地域活性の事業をどのように維持し継続していくか?
      2. 4.1.2.地域住民と町の変化
  5. 5.「地域価値共創プラットフォーム」の立ち上げについて

不動産事業者に期待される役割

基調講演では、不動産業アワード選定委員長である明海大学不動産学部教授 中城康彦氏が登壇。「不動産業者などが地域価値共創に取り組む意義及び期待する役割」というテーマで、日本や海外の不動産を活用した地域価値向上の事例を紹介しました。

中城氏は、不動産の価値について、「不動産と社会の関係、分けてもその価値と価格の関係が問われており、新しい関係をつくり出していく必要性がある局面にあります。不動産価格には三面性があり、作る側の論理で考える価格、使う側の論理で考える価格、そして利用者がマーケットの中で補う価格があるというふうに考えられています。しかし一方で、価格として顕在化しない価値として、愛着や思い出、歴史などがあり、その価値がだんだんと共有されると、それが価格に顕在化する」と話しました。

「地域創生は、権利と価値、価格の関係、ハードウェアとマネジメントの関係を一体的に、新しい姿につくり上げることです。そのためには、開発、投資、金融、経営、流通、管理がおよそ一体的に見ることができる不動産事業者のお力によることが多い。本日の登壇者のノウハウを共有することで、空き家の利活用や流通についての知見の共有とレベルアップが図れるのではないか」(中城氏)

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基調講演「不動産業者などが地域価値共創に取り組む意義及び期待する役割」。登壇した不動産業アワード選定委員長で明海大学不動産学部教授の中城康彦氏

「ハロー!RENOVATION」を活用した空き家活用

基調講演②では、株式会社エンジョイワークス 取締役の松島孝夫 氏が登壇しました。エンジョイワークスは、不動産クラウドファンディング「ハロー!RENOVATION」を活用した空き家・遊休不動産の再生の取組みが評価され、第1回地域価値を共創する不動産業アワードで大賞を受賞しています。

「エンジョイワークスとして、鎌倉を拠点として幅広い不動産事業を展開しています。地方に必要なのはお金だけでなく、関係人口を増やすことも重要です。地方に人が関わっていただくことが大事なので、その仕組みとして、さまざまな人がつながる地域活性ローカルファンドを活用した取り組みを進めています」(松島氏)

エンジョイワークスは、2018年に小規模不動産特定共同事業として蔵を改修した宿泊施設「The Bath & Bed Hayama」で600万円を集め、宿泊率は好調で4年ほど稼働し予定どおり4%の利回りを回収。2023年には「The Bath & Bed Team」として、長野県小布施町・佐久穂町と富山県に計3棟を開業、100棟を目指し全国展開を進めています。今年は愛媛県松山市と栃木県鹿沼市でも開業予定で、拡大のフェーズに進んでいます。

松島氏はこれまでの成果を振り返り、「2年前の13ファンドから現在32ファンドに増加し、投資家数も着実に増加しています。地域を活性化するために、ファイナンスと人をつなぐ取り組みを続けていきたい」と締めくくりました。

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第1回アワード大賞を受賞した株式会社エンジョイワークス取締役の松島孝夫氏

休眠不動産の再生。九州DIYリノベWEEK

続いて、第2回アワード大賞を受賞したNPO法人福岡ビルストック研究会 理事長の吉原勝己氏が登壇しました。福岡ビルストック研究会は、休眠不動産を地域住民と協力しながらDIYの手法で再生し、地域活性化を目指す「DIYリノベ」活動を九州を中心に続けています。
吉原氏は、築66年の冷泉荘を事例として紹介しました。

「受け継いだ当時は荒れ果ててスラム化していましたが、時間をかけてリノベーションし、アート系や文化人の方が入居する建物として再生しました。現在は年間2万人が訪れる文化施設になっています。古い建物だからこそ人が集まり、そして時間をかける必要はありますが、収益も上がっていくという現象を私自身経験することができました」(吉原氏)

冷泉荘は2012年に第25回福岡市都市景観賞を受賞。国の登録有形文化財に登録されることになっており、戦後初期の民間集合住宅の登録は全国初となります。

吉原氏はこれまでの成果として、地元での活動認知、メディアでの露出、行政区を超えた連携など、多くの事例を挙げました。メンバーが大学講師やセミナー講師として活躍し、拡大・育成の時期に入っています。

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第2回アワード大賞を受賞NPO法人福岡ビルストック研究会理事長の吉原勝己氏

アワード受賞者による座談会

不動産業アワード受賞者による座談会では、株式会社まちづクリエイティブ 代表取締役の寺井元一氏、一般社団法人熊本県賃貸住宅経営者協会 事務局長大久保秀洋氏、ビーローカル・パートナーズの加藤寛之氏がそれぞれの取り組みを紹介しました。

登壇者

・株式会社まちづクリエイティブ 代表取締役 寺井元一氏

松戸駅前でまちづくりのプロジェクト「MAD City」を手がけ、同エリアにクリエイターを招き、空き家の利活用、地域アートプロジェクトを運営するなど、地域の活性化を図っています。

・一般社団法人熊本県賃貸住宅経営者協会 事務局長 大久保秀洋氏

熊本県賃貸住宅経営者協会は、2020年に熊本県内の賃貸管理会社8社により設立(現在の会員数は10社)。熊本地震をきっかけに、被災者の住まい確保支援を通して会員同士が協働する形が生まれたことから、「共創」をキーワードに設立されました。自治体と連携し、震災発生時や新型コロナウイルス感染拡大時に居住支援を行うなどしています。

・ビーローカル・パートナーズ 加藤寛之氏

大阪市阿倍野区を拠点に、年1回の青空市「バイローカルの日」を開催、地域の商いを紹介する「バイローカルマッ プ」を制作。マップや青空市をきっかけに店舗を巡る地域住民が増え、周辺の空き店舗を活用した新規出店が増加。まちの魅力形成につながっています。

下記のテーマについて、登壇者がそれぞれの見解や経験を述べました。

地域活性の事業をどのように維持し継続していくか?

部分最適ではなく全体最適を目指すというべきというのが抽象概念としてある。家賃を下げてプレーヤーを集め、地域の資源を利用して不動産をベースにした生態系のようなものをつくり、それにより収益を上げることができる。(寺井氏)

福祉関係の支援者の方たちは入居できる物件がなく困っている。協会とつながり、住宅確保困難な方は物件に入居できるようになり、協会に加盟している不動産会社側は見守りや支援などのサポートにより空室が埋まるという利点がある。将来にわたって法人の価値も上がる。(大久保氏)

地域住民と町の変化

初開催の時に、地域のお店を集めて地域住民を集客するイベントを開催すると告知して店舗に声をかけたが、芸人など外から人を呼んで集客すればいいのにと言われた。でも、実際にやってみると、バイローカル(青空市)の翌日から地域住民がお店に訪れるようになった。商店同士の仲が良く、お店を紹介し合ったりするので、住民が地域の店舗を周るようになり、店舗数が増えても、結果的に売り上げは増加するという好循環が生まれている。(加藤氏)

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地域価値を共創する不動産業アワード受賞者による座談会

「地域価値共創プラットフォーム」の立ち上げについて

最後に、国土交通省 不動産・建設経済局参事官(不動産管理業) の中野晶子氏が登壇しました。

「国土交通省は、2024年6月に不動産業による空き家対策推進プログラムを策定し、不動産事業者のノウハウを活用し、官民一体となって空き家対策に取り組んでいこうとしているところです。空き家問題をはじめとする地域のさまざまな課題の解決に向けて、 地域価値競争の取り組みに挑戦してみようとする方々のチャレンジを後押しするため地域価値共創プラットフォームを立ち上げることといたしました」(中野氏)

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国土交通省 不動産・建設経済局参事官(不動産管理業) 中野晶子氏

今後、国土交通省は、地域価値共創プラットフォームの取り組みとしメールマガジンの配信や地域価値共創に取り組む関係者同士の交流の場、機会の創出を進めていくとしています。また、地域価値共創に取り組む関係者同士のリアルな交流の場として、地方公共団体と不動産事業者などとのマッチングを目的とした全国ブロック別のセミナーの開催を予定しています。

今後の情報を受け取りたい方は、国土交通省地域価値共創プラットフォームのページからメールマガジン登録をお申し込みください。

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