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路線価とは? 路線価の確認方法や実際の評価額の計算方法を解説

路線価とは? 路線価の確認方法や実際の評価額の計算方法を解説

不動産の売買や営業活動を行ううえでは、路線価について理解しておかなければなりません。さらに、路線価を用いて土地評価額を計算する方法を理解しておくことで、土地の評価額を正確に把握でき、顧客に適切な提案がしやすくなります。ただし、路線価を確認し、土地の評価額を求める工程は少々複雑です。

そこで本記事では、路線価の概要と確認方法について見ていきます。実際の評価額の計算方法も解説するため、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.路線価とは
    1. 1.1.公示価格や固定資産税評価額との違い
  2. 2.路線価の確認方法
  3. 3.路線価を使用して土地評価額を求める
    1. 3.1.路線価方式
    2. 3.2.倍率方式
    3. 3.3.路線価方式を用いた計算例
  4. 4.路線価の推移
  5. 5.路線価を理解して顧客に正確な情報を提供しよう!

路線価とは

路線価とは、路線(道路)に面する宅地の1m2当たりの価額のことです。毎年1月1日を評価時点とし、7月1日に国税庁から公表されます。路線価は不動産鑑定士などの専門家と国税庁によって決められます。

路線価は「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があり、通常は「相続税路線価」を指します。相続税評価額は、相続税や贈与税を算出する際の基準として用いられます。たとえば、路線価30万円の道路に面している100m2の土地であれば、評価額は30万円×100m2=3,000万円です。

また、路線価以外にも、宅地の価格を示す指標は複数あります。以下でそれぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

公示価格や固定資産税評価額との違い

路線価以外によく使用される価格として「公示価格」と「固定資産税評価額」が挙げられます。
公示価格とは、国土交通省が公示している土地の価格で、毎年1月1日時点の1m2当たりの価格を示しています。

公示価格は、実際に売買取引されている相場水準のおおむね90%程度の価格になるといわれています。また、前述の路線価については、公示価格の80%程度になることが一般的です。

一方の固定資産税評価額とは、固定資産税・都市計画税を算出するための基準となる価格です。固定資産税評価額は、固定資産税路線価を用いて市町村が3年ごとに算出する価格で、公示価格のおおむね70%程度になります。そのほかにも不動産取得税や登録免許税を算出する際にも、この評価額が用いられます。

路線価や公示価格、固定資産税評価額を比較すると、下表のようになります。


評価目的

評価基準の更新時期

価格水準

評価主標

公表時期

路線価
相続税や贈与税の算出

年ごと

公示価格の約80%

国税庁

7月1日

公示価格
土地取引の参考

年ごと

売買相場の約90%

国土交通省

3月ごろ

固定資産税評価額
固定資産税・都市計画税の算出

3年ごと

公示価格の約70%

市町村

4月ごろ

路線価の確認方法

続いては、路線価の確認方法を見ていきましょう。路線価は、国税庁のホームページ内にある「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」または、一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で確認できます。

今回は国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で路線価を見ていきましょう。

確認は以下の手順で行います。
​​​​​​​1. 「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」にアクセス
2. 路線価図をクリック
3. 該当する市区町村を選択
4. 地点の選択

路線価の確認まずはパソコンやスマホで「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」にアクセスします。その後、確認したい都道府県をクリックしましょう。

(出典:国税庁 財産評価基準書路線価図・評価倍率表

続いて、「財産評価基準書目次」が表示されるため、「路線価図」をクリックします。市区町村の一覧が表示されたら、該当する市区町村を選択しましょう。すると、以下のようなマップが出てきます。

(出典:国税庁 財産評価基準書路線価図・評価倍率表

路線価図の道路上に数字やアルファベットが書かれていることがわかります。また、数字やアルファベットを囲む円やひし形などがある場合もあります。

数字は路線価を表すもので、1m2当たりの価額を千円単位で示しています。たとえば、数字が「450」なら、1m2当たり450千円、つまり路線価は45万円となります。

(出典:国税庁 財産評価基準書路線価図・評価倍率表

路線価を使用して土地評価額を求める

ここからは、路線価を使用して土地評価額を求める路線価方式と、路線価が定められていない土地で使用される倍率方式について解説します。実際に路線価方式を用いた計算例についても見ていきましょう。

路線価方式

路線価方式とは、路線価を用いて土地評価額を求める方法です。土地に路線価が定められている場合は、路線価方式を用いて計算を行います。

路線価方式の基本となる計算式は以下のとおりです。

路線価方式:路線価(千円/m2)× 面積(m2)=土地評価額

実際には、土地の形状や面している道路の本数などの条件が土地評価額に影響を与えます。正確な評価額を出すためには、以下のような修正率を加えて算出する必要があります。

・奥行価格補正率
・側方路線影響加算率
・二方路線影響加算率
・不整形地補正率
・間口狭小補正率

このほかにも複数の補正率があり、土地の形状によっては計算が複雑になります。

倍率方式

土地によっては路線価が定められていないことがあります。その場合は、倍率方式を用いて土地評価額を算出します。宅地や農地などが多い郊外では、倍率方式を用いることが一般的です。

具体的には、固定資産税評価額に対し、国税庁の公式サイトに記載されている「倍率」を掛け合わせて算出します。

(出典:財産評価基準書 路線価図・評価倍率表 評価倍率表(一般の土地等用)の説明

倍率方式:固定資産税評価額×倍率=土地評価額

たとえば、固定資産税評価額が1,000万円で、倍率が1.1倍の場合の土地評価額は、1,000万円×1.1=1,100万円となります。

路線価方式を用いた計算例

それでは、実際に路線価方式を用いて土地評価額を算出してみましょう。

【モデルケース】
・路線価:300千円
・奥行価格補正率:0.97
・面積:180m2

今回のケースでは以下の計算式で土地評価額を求めます。

土地評価額:300千円(路線価)×0.97(奥行価格補正率)×180m2(面積)=5,238万円

奥行価格補正率とは、奥行きの距離に問題がある場合に、一定の減額補正を行うために使用する数値のことです。たとえば、道路に対して奥行きが長い土地は、正方形の土地よりも扱いにくいため、土地評価額を減額する必要があります。このような場合に、奥行価格補正率を乗じることで、減額された土地評価額を求められます。

路線価の推移

路線価は不動産鑑定士などの専門家と国税庁によって決められ、価額は1年ごとに変動します。新型コロナウイルス感染症の流行によるインバウンド需要の減少などが要因となり、路線価が一時的に下落した年もあるものの、近年の路線価は上昇傾向にあり、直近では3期連続で上昇を続けています。

日本で最も路線価が高い場所は銀座5丁目です。銀座5丁目の過去の路線価推移は以下のとおりです。

・2020年:45,920千円
・2021年:42,720千円
・2022年:42,240千円
・2023年:42,720千円
・2024年:44,240千円

新型コロナウイルス感染症の拡大が原因で2021年と2022年の路線価は下落傾向にありましたが、2023年以降はインバウンド需要の拡大や経済活動の再開などによって再び上昇傾向に転じています。

そのほか、路線価が上昇する要因として以下のようなものが挙げられます。

・景気拡大
・都市開発
・人気エリア
・人口増加

これらの要因が影響し合い、路線価は変動します。今後の経済状況によっては下落基調になる可能性もあるため、不動産業界に携わる方は日々の市場動向に注意深く目を向ける必要があるでしょう。

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東京都の銀座周辺

路線価を理解して顧客に正確な情報を提供しよう!

路線価とは、路線(道路)に面する宅地の1m2当たりの価額のことで、土地評価額の算出に用いられます。

路線価は、国税庁のホームページ内にある「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」または、一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で確認できます。

土地評価額は、単に路線価を用いた計算結果では決まらず、修正率を加味して求める必要があるため、計算が複雑になりやすいといえます。一方で、正確な土地評価額を算出することができれば、顧客からの信頼を得やすくなります。土地評価額の求め方をしっかりと理解し、顧客に正確な情報を提供できるようになりましょう。

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辻本 剛士
辻本 剛士
神戸で活動中の独立型FP。大学卒業後、医薬品・医療機器会社に就職し、在職中にFP1級、CFP、宅地建物取引士に独学で合格。会社を退職後、未経験から神戸で数少ない独立型FPとして起業。現在は相談業務、執筆業務を中心に活動している。

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