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民泊のメリット・デメリット! 住宅の要件や宿泊者数の推移なども解説

民泊のメリット・デメリット! 住宅の要件や宿泊者数の推移なども解説

民泊は、空き家を有効活用する方法として注目を集めています。新しく事業として始める際は、デメリットや宿泊者数などを事前に確かめておきたいところでしょう。

本記事では、民泊のメリット・デメリットや、住宅の要件、宿泊者数の推移などを詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.民泊事業とは
  2. 2.住宅宿泊事業法(民泊新法)の概要
    1. 2.1.3種類の事業者
    2. 2.2.「住宅宿泊事業者」
    3. 2.3.「住宅宿泊管理業者」
    4. 2.4.「住宅宿泊仲介業者」
    5. 2.5.住宅の要件
      1. 2.5.1.・設備要件
      2. 2.5.2.・居住要件
  3. 3.住宅宿泊事業の届出件数の推移
  4. 4.民泊宿泊者数の状況
  5. 5.民泊事業のメリット
    1. 5.1.空き家を有効活用できる
    2. 5.2.少額の資金で始められる
    3. 5.3.空き家の賃貸より売却しやすい
  6. 6.民泊事業のデメリット
    1. 6.1.建物が傷む可能性がある
    2. 6.2.近隣トラブルの恐れがある
    3. 6.3.管理の手間がかかる
  7. 7.まとめ

民泊事業とは

民泊とは、住宅の全部あるいは一部を、旅行者などに宿泊用として提供することを指します。この民泊を、宿泊料を得て継続的に行うのが民泊事業です。

民泊事業は、空き家や空き部屋などを短期で貸したい人と宿泊を希望する旅行者をインターネットを通じて仲介するサービスが登場したことから、世界各国で事業者が増加しています。

日本においては、新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着いたことで再び増えつつある外国人観光客の宿泊ニーズへの対応や、少子高齢化により増えている空き家の活用手段として注目されています。また、観光客を民泊で受け入れることによる地域活性化も期待されています。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の概要

「住宅宿泊事業法(民泊新法)」は、民泊事業の運営に関するルールを定め、民泊の健全な発展とトラブル防止を目的として2017年6月に成立しました。

制定の背景には、民泊の急増に伴い、安全面や衛生面の問題、騒音やゴミ出しに関する近隣住民とのトラブルなどが社会問題化したことがあります。

3種類の事業者

住宅宿泊事業法では、民泊事業に関わる事業者を「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」の3つに分け、それぞれ役割や義務を定めています。

「住宅宿泊事業者」

住宅宿泊事業者は、民泊事業そのものを営む事業者です。宿泊者の衛生・安全の確保や、苦情への対応などが義務付けられています。

さらに、外国人観光客に対しては、外国語を用いて設備の使用法の案内や交通手段に関する情報提供を行うといった、快適性や利便性の確保も求められます。

また、届出住宅ごとに、人を宿泊させた日数や宿泊者数などを、定期的に都道府県知事などに報告する必要があります。

「住宅宿泊管理業者」

住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業者から委託を受け、民泊の管理業務を行う事業者です。住宅宿泊事業者と同様に、宿泊者の衛生・安全の確保や、外国人観光旅客の快適性・利便性の確保などが義務付けられています。

また、管理受託契約を締結した住宅宿泊事業者に対し、定期的に管理状況などを報告する必要があります。住宅宿泊管理業者になるためには、国土交通大臣への登録が必要です。

「住宅宿泊仲介業者」

住宅宿泊仲介業者は、宿泊者と住宅宿泊事業者を仲介し、民泊の取り次ぎや契約締結の代理を行う事業者です。住宅宿泊事業法に基づいて届出をされた住宅のみ取り扱いが可能で、旅館やホテルなどの仲介はできません。観光庁長官に登録することでこの事業を行えます。

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民泊新法の3種類の事業者

(出典:民泊制度ポータルサイトminpaku

住宅の要件

民泊に提供する住宅は、以下の設備要件と居住要件を満たし、都道府県知事などへ届出をすることが定められています。

・設備要件

台所、浴室、トイレ、洗面設備を備えていること

・居住要件

1.現に人の生活の本拠として使用されていること
2.入居者の募集が行われていること
3.継続的に住宅の所有者や賃借人、転借人の居住用に提供されていること

住宅宿泊事業の届出件数の推移

住宅宿泊事業の届出件数は、住宅宿泊事業法が施行された2018年から2020年初頭にかけて急増しました。その後は、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、増加ペースは緩やかになりました。

しかし、2023年に入り、再び届出件数の増加傾向が強まっています。これは、同時期から外国人観光客が再度増加し始めたことが要因と考えられます。その後も増加は続き、2024年7月には過去最多の4万2,010件に達しています。

(出典:民泊制度ポータルサイトminpaku 住宅宿泊事業法の施行状況

民泊宿泊者数の状況

全国における民泊の延べ宿泊者数の合計は、2024年(令和6年)4月1日〜5月31日の2ヶ月間で、85万7,163人泊でした。これは、前年同期比129.5%の増加です。

新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年から2021年前半にかけての延べ宿泊者数は20万人泊前後で、ほぼ横ばい状態でした。

しかし2021年後半から徐々に増加し、2024年の4月〜5月期は、2020年から2021年前半にかけての4倍以上に達しています。現状の民泊は、一時の停滞から堅調に回復してきているといえそうです。

(出典:観光庁 住宅宿泊事業の宿泊実績について

民泊事業のメリット

ここでは、不動産会社が民泊事業に取り組む代表的なメリットを3つ紹介します。

空き家を有効活用できる

民泊事業には、管理物件の空き家を有効活用できるメリットがあります。空き家の状態が続けば、メンテナンスなどの維持費や税金などによって、収支はマイナス状態のままです。そこで、民泊として運営すれば、収益を生む優良物件に変えられる可能性が生まれます。

少額の資金で始められる

民泊事業は、すでにある物件を利用して行うため、少額の資金投資で始められるメリットがあります。設備も既存のものを利用でき、物件内にベッドやテーブルといった、最低限の家具や生活用品を用意するだけで済みます。

空き家の賃貸より売却しやすい

空き家の賃貸物件は、売却が難しいこともあるでしょう。その点、民泊物件に転換すれば、入居者の有無に影響されなくなるため、売却しやすくなることが考えられます。今後、さらに民泊の注目度が高まれば、単なる賃貸物件よりも多くの売却益が得られるかもしれません。

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民泊需要のあるエリアなのか、観光客のニーズやデメリットも含めて検討したいものです

民泊事業のデメリット

続いては、不動産会社が民泊事業に取り組む際に注意したい、3つのデメリットを紹介します。

建物が傷む可能性がある

民泊事業を行うと、建物が傷んだり汚れたりする可能性があります。宿泊者にはさまざまなタイプの方がいるため、必ずしも部屋や備品を丁寧に扱うとは限りません。

賃貸では、入居希望者と事前に面談し、利用に不安がある方を断ることもできます。しかし、民泊では宿泊者を事前に選ぶことは困難です。

近隣トラブルの恐れがある

民泊では、宿泊者が夜間に騒いだり、ゴミ出しルールを守らなかったりといった理由で、近隣住民とトラブルになる恐れがあります。

特に、周囲に住宅が多い場合には注意が必要です。室内やゴミを出す場所に注意喚起を促す張り紙をするといった予防策が求められます。

管理の手間がかかる

民泊は、清掃やリネン類の交換、鍵の受け渡しなど、賃貸に比べて管理の手間がかかります。また、宿泊者からの問合せやトラブルへの対応なども必要なため、本来の業務に支障を来す恐れもあります。不動産会社が民泊事業を行う場合は、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託することも検討しましょう。

まとめ

民泊事業は、住宅を旅行者などの宿泊用に提供する事業です。民泊の健全化とトラブル防止を目的に制定された、「住宅宿泊事業法」にのっとり運営します。

昨今は、外国人旅行者の増加に伴い、民泊事業の届出件数や宿泊者数が増加傾向にあります。空き家の状態がなかなか解消されない物件がある場合、民泊用物件への転換を検討してもよいかもしれません。

お伝えした注意点を考慮したうえで、物件のオーナー様に民泊事業を提案してみてはいかがでしょうか。

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武井 利明
武井 利明
住宅メーカーに約20年営業職で勤務。現在は住宅専門ライターとして住まいの選び方、土地の選び方、ローンを含めた資金計画、プラン、メーカー比較、リフォームなど、幅広いテーマで多数のメディアに執筆。人気動画サイトの住宅系動画脚本なども手がける。営業マン時代に培った知識と経験を生かし、これから家を建てる方の悩みや疑問、不安を解決する記事を得意としている。

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