省エネ部位ラベルとは? 2024年11月から既存住宅の販売・賃貸で開始!
省エネ部位ラベルは、既存住宅の省エネ性能を消費者にわかりやすく伝えるための表示です。2024年11月に、既存住宅の販売や賃貸に対して運用が開始されました。
省エネ部位ラベルを活用することで、光熱費を抑えられる住宅であることをアピールでき、買主や借主からの問合せ増や、成約を後押しする効果が期待できます。
本記事では、省エネ部位ラベルの概要と、対象となる建物や設備・部材、発行の流れについて解説します。
目次[非表示]
- 1.省エネ部位ラベルとは
- 2.ラベル発行の対象建物
- 3.発行手続きを行う事業者
- 4.発行要件となる設備や部材
- 5.ラベル発行とその後の流れ
- 5.1.1.省エネ設備などの有無・部位の把握
- 5.2.2.省エネ部位ラベルの発行
- 5.3.3.広告掲載
- 5.4.4.接客・契約時の説明
- 6.まとめ
省エネ部位ラベルとは
省エネ部位ラベルは、国の「省エネ性能表示制度」に基づき、既存住宅の省エネ性能をわかりやすく伝えるための表示です。
買主や借主が住宅の省エネ性能に関心を持つことを促し、省エネ性能に優れた住宅の供給を増やす目的で制定されました。
定められた要件を満たす設備や部材を備えた既存住宅は、販売・賃貸する際の広告やチラシなどに省エネ部位ラベルを掲載できます。
制度上では、既存住宅に対しても新築建物と同様に、建物全体の省エネ性能を示す本来の「省エネ性能ラベル」の表示が推奨されています。
しかし、既存住宅では、建物全体の省エネ性能の把握が難しい場合もあります。そのため、部分的な省エネ性能を表示する省エネ部位ラベルが設けられたのです。
省エネ性能の把握または推定が可能な場合は省エネ性能ラベルを表示。評価に活用できる設計図面や情報がない場合は、省エネ部位ラベルを表示します
(出典:国土交通省 省エネ部位ラベルの概要資料)
ラベル発行の対象建物
省エネ部位ラベルは、以下の2点を満たす住宅(一戸建て・マンション・賃貸住宅など)を販売・賃貸する場合に発行できます。
・2024年3月31日以前に建築確認申請が行われた
・省エネ性能の向上の要件を満たす部位があるが、住宅全体の省エネ性能の把握が困難
ただし、ウィークリーマンションなど、販売または賃貸以外の用途の住宅は対象外です。
販売または賃貸する用途でない住宅(例:ウィークリーマンションなど)は例外となります
(出典:国土交通省 省エネ部位ラベルの概要資料)
発行手続きを行う事業者
省エネ部位ラベルの発行手続きは、住宅の販売および賃貸において、それぞれ以下の事業者が行います。
・販売の場合
販売(売主)事業者が直接買主に販売する場合、自ら省エネ部位ラベルを発行します。売却の媒介を仲介事業者に依頼した場合は、その仲介事業者に部位ラベルの発行を依頼できます。
・賃貸の場合
賃貸(貸主・サブリース)事業者が直接借主に賃貸する場合、自ら省エネ部位ラベルを発行します。賃貸管理を管理会社に依頼する場合は、その管理事業者に部位ラベルの発行を依頼できます。
販売・賃貸のいずれの場合でも、ラベルを発行した事業者は、そのラベルを買主や借主との媒介を行う仲介事業者に伝達し、ラベルの広告への掲載を依頼します。
仮に販売・賃貸事業者が、直接販売・賃貸する場合でも、買主や借主が見つかるまで仲介事業者に客付けを依頼する際は、ラベルをその仲介事業者に伝達します。
省エネ性能情報の伝達イメージ(賃貸)
(出典:国土交通省 省エネ部位ラベルの概要資料)
発行要件となる設備や部材
省エネ部位ラベルは、必須項目である窓か給湯器のいずれか1つ以上が表示の要件を満たす場合に発行可能です。
また、必須項目とともに、定められた任意項目を備えている場合、その旨をラベルに表示できます。各部位の表示対象となる設備や部材は、以下のとおりです。
【窓】
リビング・ダイニングにあるすべての窓のサッシとガラスが下記のいずれかの仕様に該当する場合、ラベルを発行できます。
「サッシの仕様」
・アルミ製サッシ
・アルミ樹脂製サッシ
・樹脂製サッシ
・木製サッシ
「ガラスの仕様」
・二層複層ガラス
・三層複層ガラス
・真空ガラス
【給湯器】
給湯器が以下の種類に該当する場合、ラベルを発行できます。
・エコジョーズ
・エコフィール
・エネファーム
・電気ヒートポンプ給湯器
・ハイブリッド給湯器
【任意項目】
任意項目はラベル発行の要件ではありませんが、省エネ性の要件を満たす場合はラベルに表示できます。
・外壁
・玄関ドア
・節湯水栓
・高断熱浴槽
・空調設備
・太陽光発電
・太陽熱利用
省エネ部位ラベルで表示できる給湯器の種類1
省エネ部位ラベルで表示できる給湯器の種類2
(出典:国土交通省 省エネ部位ラベルの概要資料)
ラベル発行とその後の流れ
省エネ部位ラベルの発行とその後の対応は、以下の流れで行います。
1.省エネ設備などの有無・部位の把握
2.省エネ部位ラベルの発行
3.広告掲載
4.接客・契約時の説明
それぞれのステップについて解説します。
1.省エネ設備などの有無・部位の把握
省エネ部位ラベルを発行するには、まず省エネ性能に関する設備・部材の有無や、住宅のどの部位に使用されているかなどを、下記のいずれかの方法で確認します。
・仕様がわかる図書などで確認
建築時や改修時の図書(設計図、見積書、設備や部材の取扱説明書、仕様書など)から、使われている設備や部材について確認します。また、設備や部材の設置・改修時期がわかる場合は、ラベルに記載できるよう記録しておきます。
・現地にて状況を確認
実際に住宅に足を運び、該当する部位について、使われている設備や部材の状況を確認します。現地で撮影した設備の製品ラベルなどの写真は、表示の根拠となるため保管しておきましょう。
省エネ部位ラベル各部位の確認方法。「仕様がわかる図書などで確認」もしくは「現況にて確認」
(出典:国土交通省 省エネ部位ラベルの概要資料)
2.省エネ部位ラベルの発行
1.の結果に基づき、省エネ部位ラベルの発行を行います。まず、「一般社団法人 住宅性能評価・表示協会」サイト内の「省エネ部位ラベル作成プログラム(自己評価)」ページにアクセスします。
ページ内で、確認した設備や部材に関する情報を入力し、指示に従ってラベルを作成します。作成したラベルは、広告や資料に活用できるよう保存や印刷を行ってください。
また、仲介事業者や賃貸管理会社を通じて、広告を掲載する場合は、当該事業者にラベルを提供しその内容を伝達します。あるいは、仲介事業者や賃貸管理会社に、ラベルの発行自体を依頼することもできます。
3.広告掲載
発行した省エネ部位ラベルは、インターネット広告、新聞・雑誌広告、新聞折込チラシ、パンフレットなどに掲載します。
紙面広告の場合、ラベルの掲載サイズは横幅60ミリ程度が目安です。ただし、広告スペースが限られている場合(A4サイズ相当以下が目安)は、必ずしもラベルを掲載する必要はありません。
なお、広告自体を行わない場合は、買主や借主への情報提供用の資料にラベルを表示することとされています。
LIFULL HOME'S省エネラベルの表示イメージ
(出典:建築物省エネ性能表示制度の開始に伴い、LIFULL HOME'Sの物件情報に「省エネ性能ラベル」の表示を開始)
4.接客・契約時の説明
顧客との商談や契約、引き渡しの際には、省エネ部位ラベルを活用して住宅の省エネ性能を説明することが推奨されます。
省エネ性能の高い住宅は、エネルギーコストが上昇する状況において、買主や借主にとって大きな魅力となります。特に接客時には、省エネ性能による光熱費の削減など、具体的なメリットを積極的に説明し、契約の後押しになるよう役立てましょう。
省エネ部位ラベルを用いた説明
(出典:国土交通省 省エネ部位ラベルの概要資料)
まとめ
省エネ部位ラベルは、既存住宅を販売・賃貸する際に、住宅の省エネ性能を買主や借主にわかりやすく伝えるための表示です。
2024年11月に運用が開始され、該当する種類の窓や給湯器が設置されているなどの要件を満たす住宅に利用できます。
ラベルの発行は販売や賃貸を行う事業者が行いますが、売却の仲介事業者や賃貸管理を行う事業者への委託も可能です。
広告などにラベルを掲載することで、光熱費を抑えられる住宅であることを買主や借主にアピールできます。取り扱う住宅の状況を確認し、制度を積極的に活用しましょう。
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