不動産営業に向いている人、仕事のやりがいは? 未経験で転職するときに知っておきたいこと
異業種からの転職や、未経験の職種へのチャレンジをしたい場合は、事前に希望する業界や職種のことをよく知っておきたいものです。また、これから本格的に転職活動をしようと思っている方にとっては、その業界で働いている人や精通した人の話を聞くことは、参考となるでしょう。
これから不動産業界に転職を検討されている方に役立つよう、未経験から不動産営業職に転職し、現在も不動産業界で活躍する不動産ブロガーのOTOMO氏と、不動産業界専門の転職支援サービス「LIFULL HOME’S不動産転職」の事業責任者 國松圭佑に取材しました。
今回は、不動産業界で働くことに興味がある、不動産営業にキャリアチェンジしたいという方向けに、不動産営業に向いている人の特性や、仕事のやりがい、不動産業界への転職活動で知っておきたいことなどについてご紹介します。
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不動産営業の分野と主な仕事内容
不動産営業と一口で言っても、扱う物件種別や領域によって、業務の内容が異なります。特に就職を希望する人が多い賃貸仲介、売買仲介、住宅販売の主な仕事内容は下記です。
・賃貸仲介
賃貸物件に入居したい人に、希望条件のヒアリング、物件提案や内見案内、クロージングを行い、賃貸借契約を結びます。契約時の仲介手数料が報酬となります。
・売買仲介
不動産の売主、買主の間に立ち、売買契約の仲介をします。売買仲介も賃貸仲介と同様に契約時の仲介手数料が報酬となりますが、取引金額が高額になり、比較的顧客との取引までにかかる期間が長期にわたる傾向にあります。
・住宅販売
自社が取り扱う新築住宅やマンションを顧客に販売します。販売物件の売り出し、住宅展示場やモデルハウスなどでの物件紹介、引き渡し、アフターケアなどの業務も含まれます。
ほかにも、不動産の仕入れや不動産投資、土地活用などの営業職もあります。
≫ 不動産営業の5つの種類と仕事内容について
不動産営業に向いている人は?
前述のとおり、担当する物件種別や、また就職先の企業によっても仕事内容は変わりますが、共通して「不動産営業に向いている」といえる人の特性はあるのでしょうか。
全業態で共通する、向いている人の特性3つ
「不動産営業全般で、向いている人の共通の特性としてあげられるのは行動力、忍耐力、学習能力の3つだと考えています。企業によっては売買営業の収入が、契約締結時のインセンティブ比率が大きいケースもあり、結果を出すために自発的に考えて行動することが求められます。また、自分自身がそうだったのですが、契約単価が高額なこともあり、転職後は特に、すぐには契約につながらないことも多いので、結果が出ずとも諦めず、長期的に関係性を築き上げる忍耐力も必要です。不動産業界は制度変更が毎年のようにあり、お金のことや不動産・建築の領域の法律など勉強することは多岐にわたるので、常に自ら学習する意欲のある方には向いていると思います」(OTOMO氏)
不動産のOTOMO氏。宅地建物取引士
不動産業界で活躍しながら不動産ブロガーとしてブログ「不動産のOTOMO」を運営中
賃貸仲介はスピーディーな対応、売買仲介はタスク管理能力も重要
ほかに、この分野であればこんな特性が生かせる、というのはあるのでしょうか。
「賃貸仲介は、対応する顧客の数が多いので、誰とでもスムーズにコミュニケーションが取れる人当たりの良さや、スピーディーな対応力が求められますね。売買仲介は賃貸と比較して、物件調査や重要事項説明書の準備、契約や決済など、やることが多岐にわたります。営業力や調整力はもちろん重要ですが、私の周りではタスク管理能力、事務処理能力が高い方も成績を上げている印象がありますね」(OTOMO氏)
ちなみに、賃貸管理業の場合は、大家向けに物件修繕の提案をしたり、入居者の方へ丁寧なフォローをしたりすることができる、細かな気遣いができる人が向いているそうです。
未経験、若手も、50代以上も活躍できる業界
不動産業界の求人情報のなかには「未経験歓迎」と記載されている企業もありますが、実際に未経験から転職して活躍している人はいるのでしょうか。
「自分自身が未経験から転職し、最初は成果が出せず大変でしたが、自己学習を継続し、行動することで、1年くらい経って結果もついてきたと思います。営業職のなかには20代の若手で活躍されている方もいますし、なかには60を超えても現役でバリバリという方もたくさんいらっしゃいます。未経験で50代、異業種から転職された方も見てきていますので、年代関係なく活躍できる業界だと思います」(OTOMO氏)
「転職支援をさせていただいて未経験から不動産営業に転職された方のなかには、1年くらいでトップセールスを取った方もいます。相当な努力をされていましたし、負けん気が強く自己学習もかなりされていたのでその結果だと思いますが、不動産業界は経験者が絶対に優位という業界ではないと思います」(國松氏)
LIFULLHOME'S不動産転職 事業責任者 國松圭佑
不動産業界の採用に課題を感じ、転職支援サービスLIFULLHOME'S不動産転職を2023年に立ち上げました。LIFULL HOME'Sの営業職としての経験を生かし、求職者の方へ転職支援をしています
不動産業界の宅建士の採用需要は高い
ちなみに、不動産業界といえば「宅地建物取引士」をイメージする人が多いと思いますが、意外にも、営業として活躍されている方でも取得されていない人が多いそうです。
「転職して気が付いたのですが、営業職で長く勤めている人でも取得されていない人もいる印象です。私自身は、転職後に取得しましたが、名刺を見たお客様から『宅建持っていないんですね』と指摘されたことがあって、猛勉強して無事に合格しました」(OTOMO氏)
「宅建士には重要事項の説明や契約書への押印などの独占業務があり、企業も資格取得を推奨しています。採用ニーズは高く、未経験から不動産業界に転職する場合、宅建士を持っていると優位になると思います。LIFULL HOME'S不動産転職は、不動産業界への転職を希望しており宅建士の取得を目指す方向けに宅建チャレンジキャンペーンを実施しています」(國松氏)
不動産業だからこその仕事のやりがいがある
OTOMO氏は、不動産業界に転職後、営業を経て現在はマーケティングの仕事もされています。不動産業界に関わるうちに、この業界の魅力に気が付いたと言います。
「不動産の売買や相続、お金のことなど、生きていく上でいつか経験する可能性があることについて、深く学ぶ機会があり、知識が得られることは不動産業ならではだと思います。お客様の、人生に一度か二度の大きな意思決定に関われるので、責任も重大ですが、非常にやりがいは感じますね。また、不動産営業の中でも、売買や賃貸、さらに扱う不動産も住宅や事業用など、さまざまあります。営業を経験した後に開発や賃貸経営、マーケティングにも関わることもでき、キャリアの広がりが多い点は不動産業界ならではの魅力だと感じています」(OTOMO氏)
「LIFULL HOME'S不動産転職で転職後に活躍されている方からも、お客さまから信頼していただけて、不動産に関してだけではなく幅広い相談を受けて最善の選択肢を一緒に探していくことは、仕事をする上での喜びに感じるという声を聞いています」(國松氏)
未経験で不動産業界に転職するなら?
最後に、実際に不動産業界に転職をするとして、特に未経験の方に向けて知っておいた方がいいことやアドバイスを聞きました。
「不動産業界は5人以下の小規模な企業の割合が他業界と比較しても多いのですが、未経験だと、自分自身にあった企業なのかどうか、雰囲気や働きやすさなど、求人情報から見極めるのは難しいと思います。個人的な意見ではありますが、未経験であれば、ある程度の従業員規模があり、研修体制やコンプライアンスが整っている企業に就職するのをお勧めします。あとは、企業の特性や業界全体を知っている人、例えばLIFULL HOME'S不動産転職に相談するのも方法としてあると思います」(OTOMO氏)
「働きやすさを重視しているのか、どんどん仕事を覚えて稼いでいきたいと思っているのか、求職者の方の意向やキャリアプランによって、最適な企業があると思います。不動産業界の大手企業の中には、積極的に未経験者を採用し、研修体制もしっかり整っている企業もあります。求職者の方に相性のよさそうな企業を提案することができますので、ぜひご相談ください」(國松氏)
LIFULL HOME'S不動産転職