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古民家ビジネスの活用事例5選。補助金と成功のポイントも解説

​​​​​​​古民家ビジネスの活用事例5選。補助金と成功のポイントも解説

近年では、増加するインバウンド需要への対応や地域経済の活性化を目的として、古民家をビジネスに活用することも増えてきました。

不動産会社として顧客対応を行うなかでは、古民家の売買に際してアドバイスを求められることもあるのではないでしょうか。

本記事では、古民家ビジネスの活用事例を紹介し、併せてビジネス成功のポイントや注意点を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.古民家のビジネス活用事例5選
    1. 1.1.古民家活用事例1.宿泊施設の経営
    2. 1.2.古民家活用事例2.飲食店・ショップ経営    
    3. 1.3.古民家活用事例3.賃貸経営
    4. 1.4.古民家活用事例4.コワーキングスペース・貸しスペース経営
    5. 1.5.古民家活用事例5.シェアハウス
  2. 2.古民家ビジネスを成功させるポイント
    1. 2.1.市場調査と物件選定    
    2. 2.2.リノベーション戦略    
  3. 3.古民家をビジネス活用するときの注意点
    1. 3.1.1.立地や地域に関する規制
    2. 3.2.2.現行の建築基準法に適合していないこと
    3. 3.3.3.許認可の状況に関すること
  4. 4.古民家を改修するときに利用できる補助金
    1. 4.1.耐震リフォームの補助金
    2. 4.2.長期優良住宅化リフォームの補助金    
    3. 4.3.自治体の補助金|兵庫県「古民家再生促進支援事業」
  5. 5.まとめ

古民家のビジネス活用事例5選

はじめに、古民家のビジネス活用事例を5つ紹介します。    

古民家活用事例1.宿泊施設の経営

古民家の特徴を生かしつつ改装し、ゲストハウスなどの宿泊施設として活用する方法です。伝統的な日本家屋での宿泊体験は、日本人だけでなく外国人観光客の需要も見込めます。

新規参入するにあたり、ホテルや旅館としての営業は、法規制の面から難易度がやや高くなりますが、旅館業法のなかでも簡易宿所営業に当たるゲストハウスや貸別荘、民泊であれば許可を取得しやすくなっています。

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古民家活用宿泊施設の例(整備タイプの例)。観光庁は観光まちづくりを広めていくことを目的にナレッジ集を取りまとめています。観光庁 古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくり推進のための調査事業より

(出典:古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくり推進のための調査事業

古民家活用事例2.飲食店・ショップ経営    

歴史を感じさせる柱や梁、土間などを残しつつ、レストランやカフェ、バーなどの飲食店や、地元の特産品や工芸品を取り扱うショップとして活用する方法です。

レトロな雰囲気や佇まいを感じられる古民家で地元の食材を使ったメニューを提供することで、ほかでは味わえない非日常的な時間を演出できます。

古民家活用事例3.賃貸経営

日本家屋特有の雰囲気を生かしながら物件の価値を高めるリノベーションを行い、その後に賃貸経営する方法もあります。

通常の賃貸物件にはない伝統的な構造や技術、レトロな魅力を発信することで、田舎暮らしに憧れを持つ若年層、あるいはリタイア後に移住してのんびりと暮らしたいと考えている夫婦などの需要が見込めます。

古民家活用事例4.コワーキングスペース・貸しスペース経営

事務所や会議室をシェアしながら仕事をするコワーキングスペース、あるいは地域の人が交流するイベント会場やギャラリーの販売・展示スペースとして活用する方法です。

快適なインターネット環境を整備し、柱や梁、漆喰などを残しながら改修することで、レトロで開放感がある作業スペースを利用者に提供できます。

古民家が持つ独特の雰囲気や佇まいに合わせたイベントの企画なども考えられます。    

古民家活用事例5.シェアハウス

伝統的な建築手法で建てられ、現在の住宅と比べてリビングやキッチンが広く、一定の部屋数を有する物件も少なくない古民家は、シェアハウスとしても活用できます。

古民家の持つ歴史や独特の雰囲気を打ち出したコンセプトシェアハウスとして集客することも考えられます。

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古民家は、築後50年程度経過した木造建築が定義とされています。建物の面積、劣化状況や立地などにより適した活用方法は異なります

古民家ビジネスを成功させるポイント

ここでは、古民家ビジネスを成功させるためのポイントを紹介します。    

市場調査と物件選定    

古民家ビジネスを成功させるには、ビジネスモデルに合わせた市場調査と物件の選定が欠かせません。

宿泊施設であれば、周辺地域の特色(観光スポットからの距離やアクセスのしやすさなど)や外国人観光客を含めた観光需要、競合の有無などを調査します。

また、物件を選定する際は、広さや間取りなどのほか、耐震性や老朽化の程度からリノベーション費用の見通し、ビジネスモデルと建物の雰囲気が合うかなどを確認する必要があります。

昨今は不動産情報サイトやSNSなどのインターネット集客が主流となっているため、写真映えしやすく、古民家独特の空間や雰囲気を感じさせる物件ほど、集客面でもほかの宿泊施設や店舗と差別化しやすいでしょう。

リノベーション戦略    

古民家の魅力を生かしつつ、快適性・機能性と両立させるリノベーション戦略が重要です。

最初に、建物の状態を詳細に調査し、耐震性や断熱性、給排水管の状態などをチェックし、改修が必要な箇所を特定します。

次に、リノベーション専門の企業と連携しながら、宿泊施設・店舗のコンセプトやターゲットに合わせた改修計画を考えます。

たとえば、茅葺き屋根を再生させたり、古木の梁や柱、建具を補修・再利用したりするなど、古民家の歴史的価値を損なわないリノベーションを実施することが大切です。

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古民家は大規模なリノベーションが必要なケースが多いため、改修にかかる費用を見定める必要があります

古民家をビジネス活用するときの注意点

古民家をビジネスで活用するためには、その場所に適用される法規制に対応し、営業に必要な許認可を取得しなければなりません。

古民家の活用における法令に関連する注意点は、大きく次の3つに分けられます。

1.立地や地域に関する規制

都市計画法や建築基準法、景観法などによって、営業行為を行う、あるいは建物の増築や外観を変更する際に、営業内容や増改築、利用形態が制限される場合があります。

また、都道府県や自治体独自の規制が設けられていないか、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

2.現行の建築基準法に適合していないこと

建築当時の基準で建てられた古民家の中には、現行の建築基準法に適合していない物件も少なくありません。

営業目的に合わせてリノベーションする場合、原則として現行法令の基準に適合する必要があり、想定以上の工事費がかかる場合があります。

3.許認可の状況に関すること

宿泊施設として営業する場合、旅館業法に基づく許可、飲食店であれば食品衛生法に基づく営業許可などが必要です。歴史的建造物に指定されている古民家であれば、増改築に制限がかかる場合もあります。

物件探しでは、関係法令に適合できるか、適合させるためにどの程度のコストがかかるかを踏まえて購入判断することが重要です。

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古民家を活用する場合は目的に合わせて関連法案を確認する必要があります

古民家を改修するときに利用できる補助金

ここでは、古民家の改修に利用できる補助金について解説します。    

耐震リフォームの補助金

2025(令和7)年度国土交通省住宅局関係予算として、耐震改修にかかる補助額の引き上げが盛り込まれました。古民家のほとんどは旧耐震基準で建てられており、耐震リフォーム事業の対象となります。

自治体によって補助額や条件は異なりますが、耐震診断や耐震工事の計画費用、補強工事に補助金を活用できます。詳しくは、各自治体に問合せてみましょう。

参照:国土交通省|令和7年度住宅局関係予算概算要求概要

長期優良住宅化リフォームの補助金    

長期優良住宅化リフォーム事業も2025 (令和7)年度住宅局関係予算概要に盛り込まれました。

長期優良住宅化リフォーム事業は、建物の耐震性や省エネ性能を向上させる工事や劣化対策など目的とするリフォーム、あるいはインスペクションにかかる費用を対象とする補助金です。

補助率と補助限度額は次のとおりです。※2024(令和6)年度の場合

補助率
3分の1
補助限度額

評価基準型※

80万円/戸

認定長期優良住宅型

160万円/戸

※長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの一定の性能向上が認められる場合

参照:国土交通省|長期優良住宅化リフォーム推進事業

ただし、長期優良住宅化リフォーム事業では、耐震性や劣化対策、省エネ対策についても一定の基準が求められるため、リフォーム費用が高額になる可能性がある点に注意が必要です。

自治体の補助金|兵庫県「古民家再生促進支援事業」

優良な古民家が数多く存在する兵庫県では、伝統的木造建築技術やまちなみ景観の維持・承継を目的とする「古民家再生促進支援事業」を行っています。

※2024(令和6)年度の申し込み受け付けは終了

1950(昭和25)年の建築基準法施行日前に建築され、一定の伝統的木造建築技術で建築された建物が対象です。

改修後10年以上、地域交流施設として活用するなど一定の要件はありますが、一般的な古民家の場合、対象経費によって250万~500万円、古民家が歴史的建築物に当たる場合、250万~1,000万円の補助が受けられます。

参照:兵庫県|古民家再生促進支援事業

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古民家の改修費用や維持費は想定よりも費用がかかるケースも。維持管理、定期的な修繕を含めて予算は余裕を見ておく必要があるでしょう

まとめ

古民家ビジネスの成功には、まず、綿密な市場調査の下、ビジネスモデルとコンセプトを明確にすることが大切です。

そのうえで、法規制や改修費用に注意しながら、物件選定・リノベーション戦略にこだわりましょう。

古民家ビジネスは、単なる収益事業ではなく、地域活性化や伝統文化の継承の側面も合わせ持つため、地域との連携も欠かせません。地元住民や自治体と協力して古民家でイベントを開催するなど地域との協働は、新たなビジネスチャンスにつながる可能性もあります。

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吉満 博
吉満 博
不動産コンサルタント・ライター。株式会社あつみ事務所 代表取締役。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性を踏まえ、長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供する。また、購入・住み替え前のライフプランニングから、資金計画や住宅ローン、保険の見直しなど、お金に関するセカンドオピニオンを提供。不動産・住宅ライターとして、不動産メディアを中心に、これまでの建築設計、不動産売買の経験を踏まえた記事執筆をおこなう。

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