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首都圏の転入超過が13万人超。【2025年版】最新の移動人口の状況は?

首都圏の転入超過が13万人超。【2025年版】最新の移動人口の状況は?

LIFULL HOME’S総研の中山です。
今回は、2025年版の移動人口の状況について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.日本国内の最新の移動状況が分かる
  2. 2.首都圏:年間で13万6,000人の圧倒的転入超過。ファミリー層は子どもを連れて転出
    1. 2.1.急速なスピードで進むベッドタウンの郊外化
  3. 3.近畿圏の動向は?
    1. 3.1.近畿圏:大阪は東京と同様の傾向。若年単身層の転出に懸念
    2. 3.2.中部圏:全世代の転出超過が深刻。対策強化が必須
    3. 3.3.福岡県:転入活性化。人口の自然増に期待

日本国内の最新の移動状況が分かる

住民基本台帳人口移動報告は、これは2024年に発生した移動人口:特定の地域から別の地域へと移動した人の数を示した国の統計資料で、住民基本台帳を基に算出していますから極めて精度の高いデータです。このデータを確認することで、どのエリアから人が流出し、どのエリアに流入しているのか、また世代・年齢ごとの動きもわかりますから、足元および近い将来の住宅需要を推測する上で重要な指標になるものです。
 
一方で、2月初旬に公表したLIFULL HOME’Sの「みんなが探した!買って住みたい街ランキング2025」も、年間にユーザーから寄せられた物件ごとの問合せ数を最寄り駅単位でランキング化したものですから、転居先での住宅需要を見える化したという点で移動人口との相関性が必然的に高くなります。また、都市圏に数多く流入する移動人口の状況とは別に、世代・年齢ごとに異なる人流にもご注目下さい。

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LIFULL HOME'Sは2025年2月、「みんなが探した!住みたい街ランキング2025」を公表。首都圏版、近畿圏版、中部圏版、九州圏版がそれぞれ確認できます


 
なお、このデータは日本に居住する外国籍の方の転入・転出も含めています(国外から新たに転入・国外に転出した外国籍の方の人数は別途「在留外国人統計」をご参照下さい)。
 
みんなが探した!住みたい街ランキング2025

首都圏:年間で13万6,000人の圧倒的転入超過。ファミリー層は子どもを連れて転出

首都圏(1都3県)は、2024年の移動人口が13万6,000人の転入超過となりました。コロナ禍にあった2022年は9万9,000人、2023年は12万6,000人の転入超過でしたから、2年で転入者数が4割近く増加したことになります。
 
年間でこれだけの転入超過が記録されるということは、首都圏は全国から人を吸い寄せていることに他ならず、人口集中の度合いも加速していることが明らかです。年間に13万6,000人もの転入増があれば住宅需要は活性化し、首都圏全域で住宅価格も賃料水準も押し上げることになります。
 
最も転入超過が多かったのは東京都の7万9,000人(+16.2%)で、神奈川県2万7,000万人(-3.6%)、埼玉県2万2,000人(-12.0%)、千葉県8,000人(+60.0%)の転入増を記録。コロナ禍後で東京都と周辺のベッドタウンに流れ込む人の数が圧倒的に際立っています。
 
首都圏全体でこれだけたくさんの人口の社会増が発生していることは、税収などの経済面や住宅需要の活性化、インフラサービスの拡充ほか一義的にはエリア活性化に資するのですが、これ以上人口が集中すると医療や教育など行政サービスが行き届かなくなる恐れがあるとの指摘もありますから、憲法第22条で居住・移転・職業選択の自由が保障されているとは言え、人口偏在が今後社会問題化する可能性には考慮すべきでしょう。国も二地域居住の推進を開始してはいますが、総人口の減少と地域偏在に関するビジョンは現状では何ら見えていません。

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都道府県別の転入超過数

(出典:住民基本台帳人口移動報告

急速なスピードで進むベッドタウンの郊外化

さらに、この移動人口を世代ごとに確認すると、大幅な転入超過を記録している東京都でも“問題”を抱えていることが分かります。すなわち、東京都では高校・大学への進学、企業への就職・転職を機に流入する15~34歳の主に若年単身者層の転入超過数が10万4,000人と突出しているのに対して、35歳以上のファミリー層は2万1,000人の転出超過で、加えてファミリー層は子どもも一緒ですから14歳未満の未成年者も4,000人の転出超過となっているのです。
 
若年単身者層は全国から大挙して流入しているのですが、東京都に10年前後住んで家族を持ったファミリー層は、定住エリアとして東京都以外のエリアを選択している人が多いということになります。東京都から転出した人口は周辺3県、もしくはさらに外側の静岡県や北関東に転居しており、首都圏でのファミリー層の居住ニーズは都心から郊外方面へと広く拡散している状況です。
 
これは完全に定着したテレワーク併用型の勤務形態によって、オンもオフも自宅で過ごす時間が確保され、より広くて安価な住環境を求めて、子育てしながら仕事も継続する世帯が増加していることの表れです。したがって、都心周辺では主に単身者向け住宅のニーズが高まる一方、首都圏郊外およびその以遠エリアではファミリー向けの住宅の需要が顕在化しているのです(ベッドタウンの郊外化)。コロナ禍以前はほぼ都心周辺への一極集中だった人口動態は、ファミリー層の郊外居住拡大によって新たな局面を迎えたと言えます。

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3大都市圏の転入超過の推移

(出典:住民基本台帳人口移動報告

近畿圏の動向は?

続いて、近畿や九州などのほかのエリアの移動人口の現況を解説します。

近畿圏:大阪は東京と同様の傾向。若年単身層の転出に懸念

一方、近畿圏(2府4県)はやや状況が異なります。近畿圏では大阪府に移動人口が集中していて年間の転入超過数が1万7,000人に達する点は首都圏および東京都と同様ですが、兵庫県、京都府からは約1万人2,000の転出超過が発生しており、合計すると僅かながら500人弱の転出超過となってしまっています。したがって、近畿圏は大阪府に移動人口が集中する一方で、圏域全体では2,670人の転出超過となっています。特に25~34歳の若年単身者層が3千人超の転出超過となっていることは憂慮すべき点です。

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2024年の年齢層別転入超過数

中部圏:全世代の転出超過が深刻。対策強化が必須

中部圏(東海3県)は中心となる愛知県からの転出超過に2024年も歯止めが掛かりませんでした。愛知県からは毎年0.7万人前後の転出超過が継続しており、岐阜県、三重県と合わせると2万人弱のまとまった転出が認められます。しかも愛知県と三重県は全世代にわたって転出超過となっており、結果的に首都圏および大阪府に多くの人口を吸い取られていますから、即刻これ以上の移動人口の流出を食い止める措置を講じる必要があります。幸いなことに名古屋市は若年単身者層の流入で4,500人ほどの転入超過なので、この人たちを転出させない政策が求められます。

福岡県:転入活性化。人口の自然増に期待

対照的に福岡県では毎年安定的な転入超過が発生しており、2024年も昨年とほぼ同じ4千人超の転入超過を記録しています。超過数はそれほど多くはありませんが、大学生および専門学校生が数多く転入し19歳までの未成年者が増加し続けていることが賃貸ニーズを支えています。
 
15~34歳の若年単身者層は転出超過(特に男性)となっているのですが、35歳以降のファミリー層は3,000人以上の転入超過となっていることから、一旦東京や大阪で就職した後、結婚や出産を機にUターンしているケースが多いことが分かります。ファミリー層の転入が多ければ人口の自然増にも期待が持てますから、エリアの発展や経済的な活性化には欠かせない条件と言えます。

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移動人口の最新状況は今後の経営活動にも関係するでしょう。特に商圏エリアの動向は確認しておきたいものです

このように、圏域によって移動人口の世代別の動態が比較的大きく異なる状況が昨年以上に明確になっています。人口動態に応じた対応が皆さんに求められている状況であることを是非ご認識ください。
 
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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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