リノベーションコーディネーター資格制度とは?「中古住宅シフト」の今、選ばれる事業者になるには
近年、新築住宅価格の高騰、供給数の減少などを理由に、中古住宅の流通が増加傾向にあります。中古住宅に付加価値を与えるリノベーションは、今後さらに購入検討者の注目を集めるでしょう。
リノベーション業界において、必須とも言える基礎知識が学べるのが「リノベーションコーディネーター資格制度」です。
リノベーション事業者だけでなく、買取再販や仲介に従事する方にとっても活用シーンの多い本資格の、資格概要や取得メリット、勉強方法や難易度、過去問について紹介します。
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2022年に立ち上げられたリノベーションコーディネーター資格制度
リノベーションコーディネーター資格制度は、2022年に一般社団法人リノベーション協議会により設立されました。リノベーション業務は、不動産売買と建築両方の領域に関わるため、建築や設計、税制など、幅広い知識が求められます。
リノベーションコーディネーター資格を取得することで、このリノベーション業務で必須となる不動産売買、建築法規、契約後の引き渡しや省エネ対応、関連法規などを体系的に学ぶことができるのです。
業界のサービス水準を向上、新人教育に生かせる
リノベーション業務は幅広い知識が必須である一方で、参入障壁が低いこともあり、企業や個人によって習熟度に差があり、課題があるのが現状です。リノベーション協議会は、それまで網羅的に学べる資格がなかったことから、業務に関わる人の知識の底上げを目的に資格制度を設立しました。
リノベーションに携わる上で「最低限これだけは知っておくべき」という基礎的な知識が得られるリノベーションコーディネーター資格を活用することは、新入社員の教育や新規参入企業にとって重要です。
リノベーションコーディネーターとは? 出典:リノベーションコーディネーター資格ホームページ
資格に関する詳しい情報は公式ホームページを参照ください。
リノベーションコーディネーター資格試験
専門家を”つなぐ”コーディネーターと「暮らしの編集者」としての役割
リノベーションコーディネーター資格は、どのようなシーンで生かされるのでしょうか?
リノベーションでは、建築基準法や消防法に関わる工事が発生しますが、関連法を把握していないと、知らずに法令違反をおかしてしまうケースがあるのです。
リノベーションコーディネーターは、リノベーションの全体像を把握し、法令を順守しながら建築設計やインテリアコーディネートなどの「必要な専門知識を持つ人をつなぐ」役割を担います。また、ライフスタイルに合わせた提案で住宅に新しい価値を与え、よりよい暮らしを提供する「暮らしの編集者」としての役割も期待されます。
リノベーション住宅の事例。リノベーション協議会が主催するリノベーション・オブ・ザ・イヤー2024受賞作品より
不動産業界における資格取得のメリットは?
リノベーションに関する知識が必要となるのは、リノベーション業界だけではありません。不動産売買や買取再販など、それぞれの業種別にメリットをまとめました。
買取再販:顧客の暮らしを想像し物件価値を上げる
リノベーションで付加価値を与えることで、売却時の利益増が期待できます。買取再販事業者にも必須の、住む人の暮らしを想像し、提案するスキルが身に付きます。
不動産売買:リノベーションの提案で信頼を獲得
中古住宅の売買において、購入後のリノベーションを前提としているケースは多くあります。リノベーションに必要な知識があれば、お客さまからの相談に自信を持って案内ができるようになり、信頼獲得につながります。
賃貸管理:空室対策と物件の価値向上提案
空室対策として、物件に付加価値を与えるリノベーションは需要があります。不動産オーナーへの具体的なリノベーション提案に知識が生かせます。
リノベーションを検討中の方にもおすすめ
これから自宅のリノベーションをしてみたい、興味があるという方にもおすすめです。リノベーションの全体像が理解でき、事業者とやりとりをする際に役立ちます。
人事や総務などの直接顧客と関わる機会が少ない管理部門系の方にとっても、業務理解に役立つ資格です
中古住宅市場は今後も成長予測。リノベーションは「当たり前」の選択肢に
不動産業に関わる人にとってリノベーションに関する知識が必要であることは、現在の住宅市場の状況とも関連しています。
マンション(区分所有)の不動産取引価格は2013年頃から上昇傾向にあり、新築住宅の供給が減少傾向にあるなかで、既存住宅流通シェアは 約4割と、この10年間で大きく上昇しています(2013年の30.8%から、 2023年は40.4%に増加)。
買取再販の大手上位50社による販売戸数はこの10年間で増加傾向にあり、今後も中古住宅市場は不動産業界において成長が期待されています。
新築・既存住宅流通量の推移(戸建住宅+マンション)。出典:国土交通省 既存住宅市場の整備・活性化に向けて
中古住宅の不安を解消していくことで選ばれる事業者に
中古住宅市場を活性化していくにあたって、ネックとなるのが中古住宅に対する消費者のイメージです。
LIFULL HOME'Sが「中古物件検討時の不安」について調査を実施(複数回答)したところ、「価格の適正さ」(30.3%)が最も多く、次に「耐久性(老朽化)」が29.8%、「リフォーム/修繕などの追加費用」が24.0%、「見た目/デザイン(古さ・汚れ)」が23.7%、「住み心地」が20.5%となりました。
適切なメンテナンスによる耐久性の向上や省エネ化などのハード面に加えて、暮らしに合わせた提案が行えるリノベーションコーディネーターは、中古住宅のイメージアップに寄与できるでしょう。
物件価格高騰で中古物件に注目集まる!購入者に聞いた「中古物件購入時に注意すべきこと」ランキングをLIFULL HOME'Sが発表
https://lifull.com/news/39401/
勉強方法、勉強時間の目安、難易度は?
2025年度リノベーションコーディネーター資格は、8月1日より申し込みを開始しています。受験を検討されている方向けに、勉強方法や難易度などをまとめてご紹介いたします。
勉強方法は?
リノベーション協議会が発行するリノベーションコーディネーターハンドブックと、動画講習で勉強します。テキストはリノベーション概論、不動産売買の知識、建築法規に関わる知識、お客様対応の知識、契約後から引渡しまで、エネルギーと環境対応、関連法規・制度で構成されています。
2025年度版のテキストは、建築基準法改正に関連して4号特例や、省エネ減税なども盛り込まれています。
勉強時間は?
これまでの業務経験にもよりますが、おおむね20時間から40時間です(※)。
宅建士と重複する内容も多く、すでに資格を取得されている方はスムーズに勉強を進められます。
※勉強時間はリノベーションコーディネーター資格制度の合格者の声を参照
難易度は?
これまで3,481名が受験し、合格者数は2,450名。合格率は70.4%と、比較的易しいといえます。しかし、基礎的な知識が幅広く出題されるため、テキストや動画を隈なく学習しておくことをおすすめします。
試験問題にチャレンジ!
最後に、リノベーションコーディネーター資格の試験問題(サンプル)をご紹介します。資格試験参考問題から、「契約不適合責任」について理解度を確認してみましょう。
【問】
契約不適合責任について最も適当なものはどれか?
(ア) 「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」は全く同じことを意味する法律⽤語である。
(イ)「契約不適合責任」における責任の保全は、知った時から1年以内に通知すれば⾜りる。
(ウ)「契約不適合責任」では契約内容に関係なく、契約時に買主が知らなかった隠れたる瑕疵が責任の対象となる。
(エ)「契約不適合責任」では代⾦減額請求権は認められていない。
【解答】
イ
リノベーションコーディネーター資格の受験申し込みをすると、CBTサイトで過去の参考問題が50問ダウンロードできます。受験に備えてぜひこちらも確認してみてください。
リノベーションコーディネーター資格概要
検定名称 :リノベーションコーディネーター資格
受験資格:どなたでも受験可能
申込方法:インターネット受付
試験申込期間:2025年8月1日(金)10:00〜2025年10月31日(金)
試験実施期間:2025年11月1日(土)〜2025年11月30日(日)
受験方法:CBT四肢択一式50問60分
受験会場:全国のテストセンターにて受験
受験料:8,800円(税込)※リノベーション協議会会員割引、学生割引が有ります
学習方法:一般社団法人リノベーション協議会のテキスト、および動画講習
同一開催回の複数回受験は不可となります。
複数回の受験が認められた場合、申し込み後であっても不受理とし、払い込み受験料は返却されません。合格が取消しとなる可能性もありますのでご注意ください。
学習用テキストは書籍版、PDF版が提供されています。
書籍版「リノベーションコーディネーターハンドブック(改訂版)」1,760円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4767834236
PDF版電子書籍
https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767834238
リノベーションコーディネーター資格について、詳細は公式ホームページをご参照ください。
リノベーションコーディネーター資格試験
リノベーションコーディネーター資格受験から資格発行までの流れ
※Sponsored by 一般社団法人リノベーション協議会