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賃貸不動産経営管理士の過去問解説。サブリース契約の落とし穴と適正勧誘の重要性

賃貸不動産経営管理士の過去問解説。サブリース契約の落とし穴と適正勧誘の重要性
今回は、2024年度の賃貸不動産経営管理士試験の問32を参考にして、賃貸住宅管理業法におけるサブリース規制について解説します。

サブリース規制については、毎年必ず4問以上出題されています。問32の正答率は66%でした。皆さまもぜひ記事最後の問題にチャレンジしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.不当な勧誘行為を規制する規定を理解しているか?
  2. 2.事実不告知・事実の不告知の罪
  3. 3.執拗な勧誘行為の禁止
  4. 4.迷惑を覚えさせる時間帯の勧誘禁止
  5. 5.まとめ
  6. 6.過去問にチャレンジ!

不当な勧誘行為を規制する規定を理解しているか?

本問の出題意図は、特定転貸事業者(サブリース事業者)による不当な勧誘行為を規制する管理業法の規定を正確に理解しているかを問うことにあります。特に、サブリース契約は「家賃保証」という魅力を盾に、契約内容やリスクが十分に説明されないまま締結され、後々オーナーと事業者との間で深刻なトラブルに発展するケースが少なくありませんでした。

こうした背景から、管理業法は、宅建業法におけるクーリングオフ制度のように、勧誘方法そのものに厳しい規制を設けています。

本問を通じて、賃貸不動産経営管理士には、単なる知識だけでなく、オーナー保護という視点から、どのような行為が不当な勧誘に当たるのか、その判断基準を明確に理解していることが求められています。

事実不告知・事実の不告知の罪

1.特定転貸事業者が、特定賃貸借契約の勧誘に際し、転借人から受領することを予定している家賃の管理の方法につき相手方に告げなかった場合は、禁止される不当な勧誘等に該当する。



誤りです。

管理業法第29条第1号は、特定賃貸借契約の勧誘において、賃貸人(オーナー)の判断に影響を及ぼす「特定賃貸借契約に関する重要な事項」について、故意に事実を告げない行為や、不実のことを告げる行為を禁止しています。ここでいう「重要な事項」とは、オーナーと特定転貸事業者間の契約(マスターリース契約)に直接関わる内容、例えば、オーナーに支払われる家賃の額、支払期日、支払方法、賃料改定の条件、契約期間、中途解約に関する事項などが該当します。

賃貸住宅管理業法FAQ集(令和7年5月9日時点版)によれば、特定転貸事業者が転借人(入居者)から受領する家賃、敷金、共益費等は、サブリース業者が「賃貸人の立場として」受領するものです。つまり、これはサブリース事業者自身の売上であり、オーナーから預かっている金銭ではありません。

したがって、特定転貸事業者が転借人から受領する家賃の「管理の方法」(例:どの銀行口座で管理するかなど)は、オーナーと特定転貸事業者間の特定賃貸借契約の直接的な「賃貸の条件」には該当せず、また、管理業法第2条第2項第2号で定義される「賃貸人が入居者との賃貸借契約に基づいて当該入居者より本来受領すべき金銭」にも含まれません。

このため、その不告知が、賃貸住宅管理業法第29条第1号で禁止される「特定賃貸借契約に関する重要な事項の不告知」に直ちに該当するとは言えません。

《参考資料》
〇賃貸住宅管理業法 FAQ集(令和7年5月9日時点版)
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001880650.pdf

なお、実務においては、オーナーが最も関心を持つのは「手元にいくら入るか」であり、入居者からサブリース事業者にどう金銭が流れるかは、オーナーの契約上の直接の関心事ではありません。

そのため、オーナーへの説明は「オーナーへの保証家賃の金額、支払日、振込先」が中心となります。ただし、サブリース事業者の財務健全性は、保証賃料が安定的に支払われるかどうかの重要な指標であるため、オーナーから問合せがあれば、事業者の財務状況に関する情報を適切に提供することが望ましいです。

本条(第29条1号)の規定に違反した場合、国土交通大臣による業務改善命令(第33条)や業務停止命令(第34条)の対象となります。また、6月以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、またはこれを併科の罰則が科される可能性があります。 ​​​​​​​

2.特定転貸事業者が、特定賃貸借契約を解除しようとしている賃貸人に対し、契約期間中の解除はいかなる場合も認められないと説明し解除を断念するよう説得したが、それでも賃貸人が解除の意思表示をした場合には、禁止される不当な勧誘等には該当しない。


誤りです。

賃貸借契約において、借地借家法は借主(サブリース契約では特定転貸事業者)の権利を強く保護しています。これには賃料減額請求権や、定期建物賃貸借でない限り容易に解約できないといった側面が含まれます。特定転貸事業者が、これらの法的権利や契約上の正当な解除要件について虚偽の説明を行い、オーナーを錯誤に陥れて解除を断念させようとする行為は、オーナーの正当な権利行使を妨げるものであり、管理業法第29条第1号の「不実のことを告げる行為」に該当します。

また、不当な勧誘等の禁止は、行為の時点で判断されます。たとえ最終的にオーナーが解除の意思表示をしたとしても、その前の勧誘行為が不当なものであれば、本条の禁止行為に該当します。特定転貸事業者は、賃料改定の可能性や契約解除の要件・制約について、借地借家法の規定も踏まえ、正確かつ具体的に説明する義務があります。

具体的には、特定転貸事業者が、賃料減額に応じないオーナーに対して「契約期間中は、たとえ空室が続いても賃料を減額することはできません。また、オーナー様からの解約は一切できません。」などと、事実に反する説明をして、オーナーが持つ可能性のある法的な権利(例えば、定期建物賃貸借でない場合の正当事由による解約交渉の可能性など)を否定し、解除を諦めさせようとする場合が典型例です。

執拗な勧誘行為の禁止

3. 特定転貸事業者が、特定賃貸借契約の勧誘をしようと賃貸住宅の所有者の自宅に訪問したところ、相手方が単に「迷惑です」と述べて勧誘行為そのものを拒否したにすぎないときは、再度電話で具体的に特定賃貸借契約の勧誘をしても、禁止される不当な勧誘等には該当しない。



 誤りです。

管理業法第29条第2号は、相手方の保護に欠ける行為として国土交通省令で定める行為を禁止しており 、その施行規則第43条第4号には、相手方が特定賃貸借契約を締結しない旨の意思(勧誘を受けることを拒否する意思を含む)を表示したにもかかわらず、執拗に勧誘する行為を禁止しています 。これは、相手方の自由な意思決定を尊重し、不必要な精神的負担を与えることを防ぐための規定です。

具体的には、オーナーが「結構です」「もう電話しないでください」「迷惑です」など、客観的に勧誘を拒否する意思が読み取れる発言をした場合、その後の勧誘(訪問、電話、メールなど場所や手段を問わず)は禁止されます。「単に『迷惑です』と述べたにすぎない」と事業者が判断しても、それが勧誘拒否の意思であるならば、再度の勧誘は禁止行為となります。

本条(管理業法第29条第2号により禁止される施行規則第43条第4号の行為)の規定に違反した場合、国土交通大臣による業務改善命令(第33条) や業務停止命令(第34条) の対象となります。しかし、管理業法第42条の刑事罰の対象は第29条第1号に限定されており 、第29条第2号に規定される施行規則第43条各号の違反には、直接の刑事罰(拘禁刑・罰金)は設けられていません。

営業担当者は、相手方が少しでも勧誘に抵抗を示した場合は、それ以上の勧誘を控え、明確な拒否の意思表示があった場合は、その時点で勧誘を中止し、以後一切の勧誘を行わないよう徹底する必要があります。これはコンプライアンスの観点からも極めて重要です。

迷惑を覚えさせる時間帯の勧誘禁止

4.特定転貸事業者が、一般的にみれば迷惑を覚えさせるような時間に、相手方が特定賃貸借契約の締結の拒否の意思表示をした以降も勧誘行為を継続することは、相手方が特定転貸事業者の事務所に訪問した際に行われた場合であっても、禁止される不当な勧誘等に該当する。


正しいです。

管理業法第29条第2号は、相手方の保護に欠ける行為として国土交通省令で定める行為を禁止しており 、その施行規則第43条は、「迷惑を覚えさせるような時間に電話又は訪問により勧誘する行為」(第2号)等 を禁止しています。この規制は、勧誘の場所(自宅、事務所、喫茶店など)を問わず適用されます 。これは、営業の自由と個人の平穏な生活権・意思決定の自由のバランスを図るものです。

具体的には、オーナーが特定転貸事業者の事務所を訪れて話を聞いていたが、途中で「今回は契約しません」「これ以上は結構です」と明確に拒否の意思を示したにもかかわらず 、事業者が営業時間外(深夜など)までオーナーを留め置き、契約を迫り続ける行為が典型です。このような場合、場所が事業者の事務所内であったとしても、相手方の拒否意思に反する勧誘の継続であり、かつ迷惑な時間帯に及んでいれば、不当な勧誘等に該当します。

本条(管理業法第29条第2号により禁止される施行規則第43条第2号及び第4号の行為)の規定に違反した場合、国土交通大臣による業務改善命令(第33条) や業務停止命令(第34条) の対象となります。

しかし、管理業法第42条の刑事罰の対象は第29条第1号に限定されており 、第29条第2号に規定される施行規則第43条各号の違反には、直接の刑事罰(拘禁刑・罰金)は設けられていません。

営業担当者には、勧誘を行う際、常に相手方の状況や心情に配慮し、節度ある行動が求められます。特に、相手方の明確な拒否の意思表示は絶対的なものであり、その後の勧誘は一切行ってはなりません。勧誘場所が事務所内であっても、相手の意思に反する拘束や継続的な勧誘は許されません。

まとめ

賃貸住宅管理業法は、サブリース契約を巡るトラブルからオーナーを保護するため、特定転貸事業者に対し、重要事項説明義務だけでなく、不当な勧誘行為そのものを厳しく禁止しています 。特に、「虚偽の告知」「重要な事実の不告知」(管理業法第29条第1号) 、そして「相手方の意に反する不退去・再勧誘」(管理業法第29条第2号で委任される施行規則第43条の行為) は、明確に禁止される行為と認識しなければなりません。

賃貸不動産経営管理士として、また賃貸管理業界に携わる者として、これらの法的規制を遵守することはもちろん、オーナーが安心して賃貸経営を行えるよう、常に透明性のある、誠実な情報提供とコミュニケーションを心がけることが、信頼されるプロフェッショナルへの道と言えるでしょう。

過去問にチャレンジ!

【問題】
賃貸住宅管理業法の不当な勧誘等の禁止に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。(2024年度問32)

1 特定転貸事業者が、特定賃貸借契約の勧誘に際し、転借人から受領することを予定している家賃の管理の方法につき相手方に告げなかった場合は、禁止される不当な勧誘等に該当する。

2 特定転貸事業者が、特定賃貸借契約を解除しようとしている賃貸人に対し、契約期間中の解除はいかなる場合も認められないと説明し解除を断念するよう説得したが、それでも賃貸人が解除の意思表示をした場合には、禁止される不当な勧誘等には該当しない。

3 特定転貸事業者が、特定賃貸借契約の勧誘をしようと賃貸住宅の所有者の自宅に訪問したところ、 相手方が単に「迷惑です」と述べて勧誘行為そのものを拒否したにすぎないときは、再度電話で具体的に特定賃貸借契約の勧誘をしても、禁止される不当な勧誘等には該当しない。

4 特定転貸事業者が、一般的にみれば迷惑を覚えさせるような時間に、相手方が特定賃貸借契約の締結の拒否の意思表示をした以降も勧誘行為を継続することは、相手方が特定転貸事業者の事務所に訪問した際に行われた場合であっても、禁止される不当な勧誘等に該当する。 

正解:2

1× 特定転貸事業者等は、特定賃貸借契約の勧誘に際し、賃貸人の判断に影響を及ぼす特定賃貸借契約に関する事項であって重要なものにつき、故意に事実を告げない行為をしてはなりません(賃貸住宅管理業法29条1号)。重要な事項とは、特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項等です。それに対して、特定転貸事業者が転借人から受領する家賃の管理方法は、原賃貸人と特定転貸事業者との間の「特定賃貸借契約」の直接的な条件ではなく、特定転貸事業者の自己の事業運営に関わる側面が強いと解釈できます。したがって、その不告知が同法29条の「特定賃貸借契約に関する重要な事項」の不告知に該当するとはいえません。

2× 特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の解除を妨げるため、その相手方に対し、当該特定賃貸借契約に関する事項であって特定賃貸借契約の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げる行為をしてはなりません(賃貸住宅管理業法29条1号)。契約期間中の解除が法的に認められるにもかかわらず、「いかなる場合も認められない」と虚偽の説明をして解除を断念させようとする行為は、賃貸人の解除を妨げようとする行為に該当します 。そして、賃貸人が最終的に解除の意思表示をしたとしても、特定転貸事業者側の「解除を妨げる行為」があった事実は変わりません 。

3× 特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の締結又は更新をしない旨の意思(当該契約の締結又は更新の勧誘を受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示した相手方等に対して執ように勧誘する行為をしてはなりません(賃貸住宅管理業法29条2号、同法施行規則43条4号)。「執ように勧誘する行為」とは、電話勧誘又は訪問勧誘などの勧誘方法、自宅又は会社などの勧誘場所の如何にかかわらず、相手方等が特定賃貸借契約の締結又は更新をしない旨を意思表示した以降、又は勧誘行為そのものを拒否する旨の意思表示をした以降、再度勧誘することをいい、一度でも再勧誘を行えば本号違反となります(ガイドライン)。「迷惑です」は勧誘拒否の意思表示なので、再度、電話で勧誘する行為は不当な勧誘行為に該当します。

4〇 特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の締結又は更新について相手方等に迷惑を覚えさせるような時間に電話又は訪問により勧誘する行為をしてはなりません(賃貸住宅管理業法29条2号、同法施行規則44条2号)。また、相手方が勧誘を拒否する意思表示をした後も、勧誘方法(電話か訪問か)や場所(自宅か事務所か)を問わず、継続的な勧誘は執ような勧誘に該当し、同じく禁止されています。さらに、一般的にみれば迷惑を覚えさせるような時間での勧誘は、それ自体が規制対象となります 。したがって、問題文の行為は、迷惑な時間帯での勧誘と、拒否の意思表示後の勧誘継続という複数の不当勧誘行為に該当します。

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KENビジネススクール 田中嵩二
KENビジネススクール 田中嵩二
株式会社KENビジネススクール代表取締役社長、明海大学不動産学部 講師 1971年生まれ。中央大学大学院法学研究科を修了後に高校教諭をしながら、大手資格予備校で宅建・公認会計士等の講師を兼任。2003年にKENビジネススクールを設立し、同社は国土交通大臣指定の宅建登録講習(5点免除講習)・宅建登録実務講習(合格後の実務研修)の実施機関に認定され、現在は、全国で宅建・賃貸不動産経営管理士・投資不動産販売員等の講座を実施している。 個人としては、「これで合格宅建士シリーズ」「これで合格賃貸不動産経営管理士シリーズ」「楽学賃管士1問1答+予想模試」等の書籍を執筆(40冊以上出版)。また、2025年度から明海大学不動産学部で不動産取引に関する科目について講義を担当。 全国賃貸住宅新聞及びAllabout、楽待不動産投資新聞等のネット記事で宅建士・賃貸不動産経営管理士・不動産投資に関する記事を連載中。 宅建及び賃貸不動産経営管理士、投資不動産販売員の企業研修講師を担当し、某大手不動産販売会社で3年連続100%合格率を達成。

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