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【計算例付き】立ち退き料の相場はいくら?内訳や店舗の補償項目を公開

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立ち退き料は、賃貸物件の貸主が借主に退去を求める際に支払う補償金です。金額相場は、住宅・オフィス・店舗といった物件の用途によって大きく異なります。

特に店舗では、改装費や営業補償費などが発生するため高額になりやすいので、内容を正しく把握しておくことが重要です。

本記事では、立ち退き料の基本的な考え方から金額相場、内訳のほか、実際の計算例や店舗特有の補償項目までをわかりやすく解説します。適正な金額設定とスムーズな交渉の参考にしてください。

立ち退き料とは

立ち退き料とは、賃貸物件の貸主が借主に退去を求める際に支払う補償金です。老朽化した建物の建て替えや、地域の再開発に伴う取り壊しなどで必要となる場合が考えられます。

借地借家法では、貸主が一方的に契約を終了することはできず、退去を求めるには「正当な事由」が必要であると定めています。実際には、建て替えなどの理由だけでは正当と認められないこともあり、その場合に立ち退き料の支払いによって正当性を補うのです。

具体的な金額は、転居先の家賃相場や転居によって生じる負担を踏まえ、借主との交渉によって決定されます。

立ち退き料の相場

立ち退き料は、物件の用途ごとに以下のような相場と考えられています。

物件の用途

立ち退き料の相場

(家賃換算)

住宅(アパート・一戸建て)

6ヶ月~1年分

オフィス

2~4年分

店舗

5~10年分

たとえば、家賃が月10万円の賃貸住宅なら、60万円から120万円が立ち退き料の相場になります。ただし、これらの相場はあくまで目安であり、実際の立ち退き料は物件の状況などを基に個別に算出します。

特に店舗は、内装や設備の撤去費、再出店のためのコストが大きく、立ち退き料も高額になる傾向があります。店舗の規模や業種によって金額が大きく変動するため、早めに試算することが大切です。

立ち退き料の内訳

立ち退き料は、借主が新しい場所で生活を始める際にかかる、移転関連費用を補う項目で構成されます。主な内訳には、以下のようなものがあります。

  • 引越し費用
  • 新居の敷金・礼金・仲介手数料など
  • 新居の家賃増加分の補償(1~2年分程度)

立ち退き料の計算例

立ち退き料の計算は、実際に発生する移転費用や新居の家賃相場などを基に算出します。以下の立ち退き料の試算例を参考にしてください。

【条件】

引越し費用:10万円
現在の家賃:12万円
現在の敷金:24万円
移転先周辺の家賃相場:13万円
(礼金:1ヶ月分 敷金:2ヶ月分とする)
家賃差額補償期間:12ヶ月(1年)

【計算例】

(1)引越し費用
10万円

(2)移転先の仲介手数料
13万円(周辺家賃相場1ヶ月分)

(3)家賃差額など
・家賃差額:(13万円-12万円) × 12ヶ月 = 12万円
・礼金:13万円 × 1ヶ月 = 13万円
・移転先と現在の敷金差額:13万円 × 2ヶ月-24万円 = 2万円
合計:12万円+13万円+2万円=27万円

(4)立ち退き料の総額
引越し費用+仲介手数料+家賃差額など
10万円+13万円+27万円 = 50万円

店舗立ち退きの補償項目

物件が店舗の場合、移転や休業によって売り上げが減少することがあります。これを補うため、店舗の立ち退き料には、独自の補償項目が設けられています。ここでは、代表的な補償項目について解説します。

工作物補償

工作物補償は、移転先で店舗が新たに行う内装や設備の工事費用を補うものです。補償額は「工事の坪単価 × 新店舗の面積」で算出するのが一般的です。

工事の坪単価は、デザイン性や設備のグレードによって変動します。そのため、借主が移転先の物件で行う工事の見積もりを取ったうえで、借主と補償額を協議します。

動産移転補償

動産移転補償は、店舗内の什器や商品、レジ、ショーケースなどを新店舗に運搬する費用を対象とします。補償額は「必要トラック台数 × 単価」で計算され、荷物の量や距離によって変動します。

冷蔵・冷凍設備や大型什器がある場合、移転費用が高額になることもあります。そのため、借主に運搬の専門業者へ見積もりを依頼してもらい、その内容を基に貸主と補償額を協議するようにしましょう。

借家人補償

借家人補償は、新しい店舗に移転する際に発生する、家賃や敷金(保証金とも呼ぶ)の差額を補うものです。計算は「家賃差額 × 補償月数」で行われ、補償月数は1〜2年が一般的です。

店舗の敷金は、業種によって金額に大きな差があるため注意が必要です。特に飲食店は、油汚れやにおいの残留などが考えられることから原状回復費用を多く見積もる傾向があり、家賃の10ヶ月分程度を敷金とするケースもあります。

移転雑費補償

移転雑費補償は、引越しや新店舗開設に伴う事務的な費用をカバーします。具体的には、不動産会社への仲介手数料や商業登記の変更費用、営業許可申請などの各種手続き費用が該当します。

ほかに、新たな名刺の作成費用や、移転を告知する広告費用、得意客への招待状送付費用などが対象になります。

営業休止補償

営業休止補償は、移転に伴い店舗を休業せざるを得ない期間の損失を補うものです。補償対象は休業期間中の営業利益のほか、得意先の喪失、休業中の支払い利息、従業員への休業手当など多岐にわたります。

補償額は直近の営業実績を基に算出されるのが一般的で、規模によっては非常に高額になることもあります。

借家権評価による計算方法

物件を借りている人が持つ権利である「借家権」の評価額を基に、立ち退き料を算出する方法もあります。

ただし、この評価には引越し費用など諸費用や各種の補償を含まないため、立ち退き料算出の目安の一つと考えたほうがよいでしょう。主な借家権評価の計算方法には、以下の4つがあります。

収益還元方式

移転前の家賃と移転先の家賃との差額などを基に算出する方法で、「差額賃料還元方式」とも呼ばれます。実際の家賃負担の変化を反映しやすいのが特徴です。

割合方式

不動産全体の価格に対して、借主が持つ借家権の割合を基準に算出する方法です。権利関係を数値化しやすく、相続税の計算などでも用いられます。

収益価格控除方式

建物を自分で利用した場合の価格から、賃貸中の価格を差し引いて算出します。借家であることによる価値の減少分を立ち退き料の目安とする考え方です。

比準方式

借家権の取引事例に基づいて算出する方法です。ただし、借家権の取引自体がほとんど存在しないため、理論上の算定方法だといえます。

立ち退き料を抑えるポイント

貸主側としては、できる限り立ち退き料を抑えたいところでしょう。そこで以下では、立ち退き料を適正かつ安く抑えるためのポイントを紹介します。

移転先物件を紹介する

あらかじめ家賃の安い移転先を確保し、借主に紹介することで、家賃補償などの金額を抑えられます。

借主にとっても新しい物件探しの負担が軽くなるため、貸主・借主双方にメリットがある方法だといえます。また、移転先があることで、立ち退き交渉がスムーズに進むことも期待できます。

入居者が減ってから交渉する

建て替えや再開発が予定されている場合は、入居者や店舗の新規募集をやめ、数が減ってから立ち退きの交渉を始めましょう。

立ち退き料は入居者・店舗数に比例して増えるため、あらかじめ少なくなった状態で交渉することで、全体の支出を抑えられます。

契約解除事由がないか確認する

借主に契約違反がある場合は、立ち退き料を支払わずに退去を求められる可能性があります。たとえば、「ペット不可物件での飼育」や「住居を無断で事務所として使用している」などが該当します。

これらに当たる場合、貸主側は契約を解除できるため、立ち退き料の支払いは不要となります。まずは契約書を確認し、解除事由に該当する行為がないか慎重に確認しましょう。

まとめ

立ち退き料は、借主が新たな生活や事業を始めるための費用を補う重要な補償です。しかし、実際の金額は、入居者・店舗の状況や移転先の条件によって大きく変わります。そのため、早めに条件などを確認し、おおよその金額を算出しておくことが大切です。

算出の際は、引越し費用や家賃差額に加え、店舗であれば営業休止による損失補償なども考慮する必要があります。管理会社としては、移転先の提案や契約内容の精査を行い、立ち退き料を適正に抑えつつ、円滑な退去が実現するように努めましょう。

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武井 利明
武井 利明
住宅メーカーに約20年営業職で勤務。現在は住宅専門ライターとして住まいの選び方、土地の選び方、ローンを含めた資金計画、プラン、メーカー比較、リフォームなど、幅広いテーマで多数のメディアに執筆。人気動画サイトの住宅系動画脚本なども手がける。営業マン時代に培った知識と経験を生かし、これから家を建てる方の悩みや疑問、不安を解決する記事を得意としている。

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