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賃貸住宅の収益力向上に朗報! 「TPO」&「PPA」ってなに?

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2025年は住宅性能元年であるとともに住宅性能“アップ”元年でもある

LIFULL HOME’S総研の中山です。

ご存知の通り、2025年4月からすべての新築建築物に断熱等級4&一次エネルギー消費量等級4という省エネ基準への適合義務が課されました。

もちろん賃貸住宅も例外ではありませんし、既存の賃貸住宅でも屋根や外壁、玄関回り、窓など外部との境界に設置された住宅部位を改修する場合は、新築同様に省エネ基準に適合する必要がありますから、省エネ基準の義務化および今後の基準引き上げ(すでに2030年には引き上げられることが決まっています)について認識しておくことが求められます。

そうなると、賃貸住宅の建設や大幅な改修にはこれまで以上に建築コストがかかることになりますから、賃料を引き上げないと収益性が低下し、賃貸運営が厳しくなるのは当然のことですが、それを何かほかの方法で回避することはできないのかという視点から、賃貸住宅の収益力向上に資するコラムを提供したいと思います。

それが「TPO」と「PPA」という、いずれも太陽光パネルに関するものです。

TPOとは太陽光発電システムの“第三者所有モデル”のこと

まず、TPOについて説明すると、TPO=Third-Party Ownershipのことで、第三者が所有する太陽光パネルや発電システムなどを、ここではオーナーや管理会社が所有・管理する賃貸物件の屋根や外壁などに設置し、その賃料を得るというビジネスモデルです。

大規模なものでは、太陽光発電の事業者が自己資金または投資家を募って資金を集めて太陽光発電所を開設し、再生可能エネルギー由来の電気を購入したい需要家に発電した電気を販売することもTPOとして想定されていますが、やはり賃貸住宅ではまだ圧倒的大部分が貸されていない=収益化されていない“屋根”もしくは“屋上”を発電事業者に年単位で貸し出して賃貸住宅ビジネスにおける収益力向上を目指すキーワードと捉えていただくとよいでしょう。

例えば、一棟単位で所有している賃貸物件の屋根・屋上にスペースがあれば、そのスペースを貸して賃料を得た上、その屋根を貸した賃貸物件に電力を供給する契約(PPA:後述)を締結して、賃貸ユーザーの光熱費を削減しつつ手数料収入を得ることも可能になります。

また、賃貸住宅だけでなく、賃貸オフィスやテナントビルの屋上スペース、さらには個人所有の一戸建てや分譲マンションの屋上や壁面にも太陽光パネルを設置できるスペースがあれば、TPOビジネスに供することができる可能性があります。

もちろん、太陽光パネルを住宅地に設置することになりますから、光害=反射光による交通事故などのトラブル発生リスクや、太陽光を電気に変換するパワーコンディショナーの稼働音の騒音リスクなど、生活環境への影響も考えられるため、設置および貸し出しについては慎重に検討する必要はありますが、再生可能エネルギーの生産を通じて、地球温暖化の抑止に貢献し、2050年のカーボン・ニュートラル実現に向けても協力することができるので、社会貢献と賃貸住宅の収益力アップという“一石二鳥”の賃貸経営戦略の立案が可能です。

PPAとは設置した太陽光パネルで発電した電気の購入契約のこと

一方のPPA=Power Purchase Agreementとは、TPOによって発電した電力を賃貸住宅居住者に供給・販売するための“電力購入契約”を指します。

賃貸住宅に即してTPOビジネスモデルを活用すると、物件オーナーが初期投資することなく太陽光パネルを設置することができ、またPPAによって発電した電力を(比較的安価に)利用することができるようになります。

また、太陽光発電の施工事業者にとっては、手持ち資金なしで施工件数を増やすことができ、さらにTPOビジネスに必要な資金を提供した第三者は、相対的に収益性の高い住宅向け売電事業に投資できるメリットを得ることができるわけです。加えて、発電した電力の余剰分を固定価格買取制度(FIT)によって売電すれば、収益性はさらに高まることになります。

このようにTPOとPPAは密接に関わりあっており、太陽光発電の施工事業者とその電気を活用するユーザー(ここでは賃貸住宅居住者)以外の第三者が、太陽光パネル設置資金を負担して設備を保有することと、太陽光発電施工業者と住宅居住者がPPAを結ぶことをセットにしたビジネスモデルであることから、「TPO/PPAモデル」と呼ばれることもあります。

TPO/PPAモデルの歴史的経緯と今後

TPO/PPAモデルは、2006年に創業したアメリカのソーラーシティ社が開始した事業で、住宅に設置する太陽光パネルの普及を牽引してきましたが、2016年にイーロン・マスク氏が率いるテスラ社に買収され、子会社として現在も同事業を継続しています。

やはり太陽光パネル設置の初期費用がかからないこと、電気料金が安価になることをアピールして事業を拡大し、必ずしも環境問題に関心の高くない居住者にも、太陽光発電の導入を促進したという点で評価されています。

現状ではこのTPO/PPAモデルに蓄電池およびHEMS=Home Energy Management Systemを合わせた仕組みが注目されており、2027年から断熱等級5&一次エネルギー消費量等級6の“ZEH水準”が、断熱等級6&一次エネルギー消費量再エネなしで35%超、再エネありで100%超という”GX ZEH水準“に引き上げられることが決まっていますから、蓄電池とHEMSを組み合わせたTPO/PPAモデルが徐々に主流になることが考えられます。

ぜひ、賃貸住宅の“屋根を収益化する”ことを前提に、収益力アップを検討してください。

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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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