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足元の賃料相場が上昇し続けている“ある要因”とは

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2025年は都市圏中心~周辺で賃料が急上昇 2026年も繁忙期は強気な設定が続く見込み

LIFULL HOME’S総研の中山です。

毎月定期的に各都市圏の住宅市場動向をお伝えしているLIFULL HOME’S MARKET REPORTでは、2025年のトレンドとして特に賃料の上昇が顕著でした。首都圏では掲載賃料(募集賃料)も問合せがあった物件の賃料をまとめた反響賃料(ユーザーが実際に探している物件の賃料)も、集計開始以来最高額を記録するほどの勢いで上昇したのです。

一方で掲載賃料は、例えば東京23区のファミリー向けでは2020年1月の16.3万円が2025年10月には24.3万円へと約8.0万円(+49.1%)も上昇しているのに対し、その間の反響賃料は14.8万円から17.8万円へと3.0万円(+20.3%)の上昇にとどまっていますから、掲載賃料と反響賃料の乖離率も、2020年時点の10%程度から36%程度まで一気に拡大しています。

これまでの掲載賃料と反響賃料の関係性で言えば、この乖離率が25%を超えると“掲載賃料が高すぎる”サインとなって、その後掲載賃料が頭打ちから下落を示すことが多かったのですが、2025年に関して言えばこれまでの経験則が全く通用せず、乖離率が25%を突破した2024年9月以降も一貫して拡大し続けるという、これまでになかった状況となっています。

賃料水準が顕著に上昇する要因としては、消費者物価指数の上昇に連動して賃貸物件を管理するコスト(人件費、光熱費、固定資産税ほかの税金など)が年々上昇しているため賃料を上げざるを得ないオーナー&管理会社が増えていること、また物件購入を当面検討できなくなったユーザー(専らファミリー層)が次善の策として利便性の良好なエリアで賃貸物件を選択していること、さらにはコロナ禍以降、都市圏への人口集中が発生し賃貸需要が逼迫していることなどが挙げられます。

新築マンションの価格急騰を受けて、中古マンションを購入するケース、郊外方面の一戸建てを購入するケースも相応に増えていますが、住宅ローン金利上昇の影響もあって住宅購入自体を当面見送り、賃貸に住み続ける選択をしたユーザーも少なからずいますから、賃貸住宅に対する需要も高く維持されていることが賃料上昇の大きな要因であることは確かです。

定期借家での賃貸借契約が増えていることが賃料上昇の一因に

一般の賃貸借契約(普通借家契約)は、賃料の改定について「借地借家法」第32条第1項に規定があります(賃料増減額請求権)。

同法には
①租税や管理コストなど負担額の変化、②物価上昇など経済事情の変動、③近傍同種の賃貸借建物の賃料との比較を根拠として賃料の増減ができると定められていますから、根拠を示さず&曖昧な理由で賃料を上げたいという一方的な要求は原則として通りません。

つまり、賃借人に対して賃料を引き上げる明確な根拠を示して交渉する必要があるということになります。また、普通賃貸借契約ではユーザー(借主)が契約の継続を希望すれば、原則として契約は更新することができます。

一方で、近年増えている賃貸借契約に“定期借家契約”があります。これは期限の定めのある賃貸借契約で、契約期間を過ぎれば原則として退去することになりますが、更新は不可でも双方の合意によって“再契約”することは可能です。

オーナーサイドからすると契約期間の2年を経て再契約の意思があるのなら旧契約から賃料15%アップで、などという申し入れができることになりますから、その引き上げ分を承諾しなければ、自動的に契約終了=退去となります。

したがって、この定期借家契約は通常の賃貸借契約に比べて賃料を引き上げやすいといえますが、実はLIFULL HOME’Sの調査では、この定期借家契約の割合が10年前の2015年では首都圏で4.0%、東京都でも4.7%にすぎなかったのが、直近の2025年11月には首都圏で11.6%、東京都でも12.5%とそれぞれ3倍近くに拡大していることが明らかになっています。

定期借家契約が制度化されたのは、2000年の特別措置法制定&借地借家法改定以降です。従来の借地借家法ではユーザー保護を目的として借家権が強く守られていたため、将来的に自分の家に戻って住みたい場合や、転勤などで一定期間だけ貸したい場合でも契約終了時に返還してもらえる保証がないこと、ユーザーが退去しないので築古の賃貸住宅の建て替えができず、結果的に良質な賃貸住宅の供給の阻害要因になってしまうことなど、いくつかその“弊害”が指摘されていたこともあって、このような“原則として更新不可の賃貸借契約”が生まれたわけですが、その制度が約25年を経て賃料の引き上げを容易にする手段として活用されているのは皮肉な話です。

実際に、普通借家契約の賃料を定期借家契約の賃料と比較すると、定期借家契約の賃料のほうが20%以上高いこともデータに示されています。

したがって、定期借家契約が増加する市場においては、契約期間満了後の退去、もしくは賃料引き上げを前提とした再契約が実施されることになるため、2026年1~4月期の“繁忙期”においても、さらに強気な賃料設定による賃料相場の引き上げが発生するものと考えられます。

駅に近いとか築浅物件であるとか、賃貸物件としてのニーズが高いものは定期借家契約になることが今後ますます増えることが想定されます。ユーザーがこれに対抗する手段は基本的にありませんから、定期借家契約において再契約する際は、普通賃貸借契約を参考として再契約賃料を設定することを求めるなど、一定の歯止めをかける必要があるでしょう。

90年バブル以降長く続いた資産デフレ期には、賃料は上げたくても上げられない状況でしたが、現在は強気に設定可能な状況にあります。しかし、目先の収益のみを追いかけて定期借家契約によって賃料引き上げを目指すことは“角を矯ためて牛を殺す”ことにもなりかねません。その旨、ぜひご留意ください。

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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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