「不動産実務検定」とは?概要・学習内容・実務での活用法・関連資格

不動産に関する資格と聞くと、まず「宅地建物取引士」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
宅地建物取引士は、不動産取引に必須ともいえる国家資格ですが、「賃貸経営」や「不動産投資」に関する知識については、カバーしきれない部分があります。
こうした賃貸経営の現場で役立つ実践的な知識を体系的に学べるのが、「不動産実務検定」です。
この記事では、不動産実務検定の概要から学習内容、実務での活用法、関連資格まで解説します。
目次[非表示]
- 1.不動産実務検定とは
- 2.不動産実務検定の概要
- 2.1.資格の概要
- 2.2.不動産実務検定で学べる内容
- 2.2.1.●2級で学べる内容
- 2.2.2.●1級で学べる内容
- 2.2.3.●マスター認定講座で学べる内容
- 3.不動産実務検定は意味ある? ない? 業務への活用方法
- 3.1.賃貸業務知識の底上げ
- 3.2.顧客対応力の強化
- 3.3.J-REC公認の講座やセミナーを開催
- 4.不動産実務検定の難易度
- 5.不動産実務検定に関連する資格
- 5.1.●宅地建物取引士
- 5.2.●管理業務主任者
- 5.3.●マンション管理士
- 5.4.●ファイナンシャルプランナー(FP)
- 6.まとめ
不動産実務検定とは
不動産実務検定(旧大家検定)は、一般財団法人 日本不動産コミュニティー(J-REC)が運営する民間資格です。
不動産投資や賃貸経営の実務家がつくった日本初の資格で、単なる理論だけでなく、賃貸経営の場面で直面する具体的かつ実践的な問題を解決するための知識とスキルを身につけることを目指しています。
賃貸経営や土地活用など、不動産投資の成功に必要な知識を体系的に学べるため、投資家はもちろん、実務のノウハウを深めて不動産業界のプロフェッショナルを目指す方にも役立つ資格です。
不動産実務検定の概要
不動産実務検定は、2級と1級、さらに専門性を高めるマスター認定講座まで、ステップアップ形式で学習内容が構築されています。
また、学習の進め方や学びたいレベルに応じて、「認定講座を受講してから受験する方法」と「試験のみを受ける方法」の2通りが用意されています。
ここでは不動産実務検定の概要や学べる内容を解説します。
資格の概要
次の表は、不動産実務検定の概要をまとめたものです。
主催 | 一般社団法人日本不動産コミュニティー |
|---|---|
開催日 | 2級・1級とも随時開催 |
開催場所 | 全国126ヶ所以上の提携テストセンター |
受験資格 | 誰でも受験可 |
出題形式 | CBT方式・四肢択一択(50問)※認定講座受講者は5問免除 |
試験時間 | 60分 |
合格点 | 正答率7割が目安※即日合否判定 |
受験料 | 2級:7,700円 1級:8,800円 |
認定等にかかる費用 | 入会金:5,500円 認定料:5,500円(1・2級とも) 年会費:5,500円(1・2級とも) ※すべて税込 |
不動産実務検定で学べる内容
●2級で学べる内容
主に、賃貸の管理運営に関する知識の習得を目指します。
具体的には、賃貸物件の需給予測や募集・契約・管理業務、トラブルへの対処法、借地借家法などです。
空き室対策や家賃滞納問題など、賃貸経営で日常的に直面する課題に適切に対処できるようになります。
●1級で学べる内容
不動産の投資戦略から調査、事業計画の策定、競売実務のほか、建築や法律、税務、ファイナンスの知識習得を目指します。
実務に関する知識のほか、各種法令や税制についても知ることで、不動産投資の基礎から応用までを体系的に学べます。
●マスター認定講座で学べる内容
1級もしくは2級認定者が受講できるマスター認定講座では、不動産運用のほか、土地活用、建築プラン、施工管理、相続対策の資産分析など、より専門的な知識を習得します。
さらに、J-REC公認のコンサルタントやセミナー講師として活動する道も開けます。
不動産実務検定は意味ある? ない? 業務への活用方法
不動産実務検定は、宅地建物取引士のような業務独占資格ではないため、「取得する意味はあるの?」と考える方もいるかもしれません。
ここでは、不動産実務検定を実務にどのように活用できるのかを解説します。
賃貸業務知識の底上げ
不動産実務検定で学ぶ内容は、賃貸管理の知識を体系的に整理・確認できるものであり、賃貸管理の現場で直面する問題の解決に直結しています。
たとえば、家賃滞納の対応手順や敷金精算における線引きなど、担当者の経験や現場によって判断が異なりがちな業務について、共通の基準を共有できます。
また、管理業務だけでなく、投資や経営の視点を持てることも強みです。物件を提案する際に、単に立地や間取りだけでなく、長期的な修繕計画や節税対策まで踏み込んだ提案が可能になるでしょう。
さらに、検定で学んだ知識は、社内の実務マニュアルの整備に役立ち、属人化しがちな管理業務の標準化にもつながります。
顧客対応力の強化
不動産実務検定を受けると不動産経営者の視点を持つことができるため、顧客対応力の向上につながります。
たとえば、オーナーからの「どのタイミングで物件を手放すべきか」といった質問があった場合、需要予測・税務・法律・ファイナンスといった幅広い知識に基づいて答えられるようになります。
その結果、オーナーにとって「単なる仲介事業者や管理会社」ではなく、「頼れる経営パートナー」として信頼され、紹介率の向上も期待できるでしょう。
また、入居者対応においても、法的な根拠に基づいた毅然とした対応が可能となり、オーナーと入居者双方に質の高いサービスを提供できるようになります。
J-REC公認の講座やセミナーを開催
マスター認定講座を修了して公認インストラクターになれば、J-REC公認のコンサルタントやセミナー講師として活動できるようになります。
これは新たなビジネスチャンスであり、集客力向上のための武器になります。
たとえば、「空室対策」や「相続対策」といったセミナーを開催すれば、オーナーとの接点が生まれ、管理受託や仲介といった新たな案件獲得につながる可能性があるでしょう。
不動産実務検定の難易度
不動産実務検定は、宅地建物取引士のように、必要な知識を備えていない人をふるい落とす試験ではありません。あくまで実務に必要な知識を体系的に学ぶことが目的であり、難易度は比較的低いとされています。
2024年の合格率は、以下のとおりでした。
1級 | 2級 | |
|---|---|---|
講座受講生 | 61% | 74% |
一般検定受験者 | 44% | 68% |
(参照:一般財団法人 日本不動産コミュニティー)
2級では大きな差はありませんが、1級になると認定講座の受講生の合格率のほうが、一般検定受験者よりもかなり高くなっています。
勉強方法としては、参考書籍を活用して独学するほか、自宅で受けられるホームスタディ講座や認定講座に通う方法があります。
不動産実務検定に関連する資格

最後に、賃貸経営や不動産投資の実務に特化した不動産実務検定に関連する資格を、違いや関係性を踏まえながら紹介します。
●宅地建物取引士
番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)では、マイナンバーの取得時に厳格な本人確認を義務付けています。これを怠った場合には法令違反となる可能性があるため、注意が必要です。
●管理業務主任者
マンション管理組合への重要事項説明や管理事務の報告などを行うための国家資格です。不動産実務検定が賃貸経営全般に焦点を当てているのに対し、管理業務主任者はマンション管理組合の運営に特化しています。
●マンション管理士
マンション管理組合のコンサルタントとして、専門知識に基づき助言・指導を行う国家資格です。マンション管理士が「管理組合」の利益を守る専門家であるのに対し、不動産実務検定は「オーナー」の利益を最大化する知識を学びます。
●ファイナンシャルプランナー(FP)
保険・税金・年金・不動産などを含めた個人の資産設計をサポートする資格(FP技能士など)です。不動産実務検定で不動産経営の専門性を深め、FPの知識で顧客の資産全体を把握することで、より付加価値の高い提案が可能になります。
まとめ
不動産実務検定は、賃貸経営の実践的な知識・ノウハウを体系的に学べる資格です。
経営者視点を持ち、オーナーに対する提案力を高めることで、経営パートナーとしての信頼獲得につながります。
不動産実務検定は、不動産業界でのキャリアアップを目指す方にとって、実務で本当に役立つ知識を習得できる価値ある資格といえるでしょう。
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