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不動産仲介士とは? 実務での活用方法と試験の概要を解説

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不動産取引業務で日々お客様と接するなかで、「宅地建物取引士の資格は取得したものの、実際の現場ではより幅広い実務知識や提案力が求められている」と感じることも少なくないのではないでしょうか。

お客様の多様なニーズに応え、より深い信頼関係を築くには、法律知識だけでなく現場に即した実践的なノウハウが必要です。

このような場合に役立つ資格の一つが、居住用不動産の売買仲介実務に特化した「不動産仲介士」です。

本記事では、不動産仲介士の知識を日々の業務でどう活かせるのかを、宅地建物取引士との違い、試験の概要と併せて解説します。

不動産仲介士の概要

はじめに、不動産仲介士の概要について、宅地建物取引士との違いを含めて解説します。

不動産仲介士とは

「不動産仲介士」とは、特定非営利活動法人、日本レジデンシャル・セールスプランナーズ協会(RSP協会)が認定する民間資格です。

「居住用不動産の売買仲介」に特化した資格で、お客様が不動産売買の担当者を選ぶ際の客観的な指標となることを目指し、2004年に認定試験がスタートしました。

学習内容は、資金計画や税務の知識、正確な物件調査、関連する法令・条例の理解、さらにはリフォームやリノベーションに関する知識まで、幅広くカバーしています。

単に知識を詰め込むだけでなく、売買取引にまつわる専門的な内容について、「お客様にわかりやすく伝えるスキル」の向上に役立つ点が特徴といえるでしょう。

また、2019年から法務大臣認証ADR(裁判外紛争解決制度)調停人の基礎資格に認定されており、不動産仲介士の資格を得ることで、不動産売買に関する調停業務を報酬を得て行うこともできます。

不動産仲介士の資格取得を通じて学べる知識

不動産仲介士の学習内容は、現場で即戦力となれるよう「基礎知識」「営業実務」「建築知識」の3つの柱で構成されています。

1.基礎知識
不動産仲介の根幹を学びます。具体的には、物件調査の具体的な方法、調査結果を重要事項説明書へ正確に反映させるポイント、売買契約書の各条文が持つ法的な意義、そしてお客様の状況に応じた特約事項の条文例など、契約実務の精度を高める知識を習得します。

2.営業実務
コンプライアンスの重要性や営業としての心構えから、マーケットの把握、集客、反響対応、資金計画の立案、クロージングに至るまで、お客様と信頼関係を築くためのスキルを学びます。

3.建築知識
物件価格や利便性だけでなく、お客様が不安に感じやすい地盤や基礎、住宅の耐震性、さらにはリフォームや最新の住宅設備に関する情報までをアドバイスできる知識を身につけます。

宅地建物取引士資格との違い

不動産業界では必須ともいえる「宅地建物取引士」は国家資格であり、法律で定められた重要事項説明(宅建業法35条書面の交付・記名など)という業務を独占的に担います。これに対し、不動産仲介士は民間資格であり、独占業務はありません。

また、対象とする領域も異なり、宅地建物取引士が不動産取引全般に関する法律知識を備えているのに対し、不動産仲介士は「居住用不動産の売買仲介」に特化しています。

さらに、ビジネスマナーやお客様とのコミュニケーションスキルを含めて、売買取引にまつわるより実践的な知識の習得に重きを置いているのも特徴です。

宅地建物取引士資格で得た法律知識を実務にどう活かしてお客様の満足度を高めるか、その実践的な部分を身につけるための資格が不動産仲介士であるといえます。

不動産仲介士の活用場面

ここでは、不動産仲介士になる過程で得た知識を実務でどのように活かすことができるかを紹介します。

不動産売買仲介業務

お客様からの信頼をいかに勝ち取るかが成果を左右する売買仲介の現場において、不動産仲介士の知識は、まさに「信頼の構築」に役立ちます。

たとえば、宅地建物取引士ではあまり触れない資金計画を提案する際、ローンの仕組みや返済比率を深く理解しておくことで、ライフプランに寄り添った返済計画を提案でき、「この人になら任せられる」という安心感を与えられます。

また、売主への査定価格の提示においても、相場だけでなく物件調査に基づく明確な根拠を示すことで、媒介契約の獲得率向上を期待できます。

さらに、物件調査や重要事項説明書作成の場面では、調査の目的や項目の理解が深まることで業務の精度と効率が上がり、トラブル防止にもつながるでしょう。

不動産賃貸仲介・管理業務

不動産仲介士は「売買仲介」の資格のように思えるかもしれませんが、賃貸仲介や管理業務にも活用できます。

たとえば、賃貸管理の現場では、オーナーから「そろそろこの物件を売りたい」「資産の組み換えを相談したい」といった話が出ることが少なくありません。その際、売買仲介の実務知識が備わっていれば的確なアドバイスや提案が可能となり、売却を任されるチャンスが広がります。

また、賃貸仲介の場面ではお客様が「賃貸か購入か」で悩んでいることも少なくありません。

賃貸だけでなく、購入のメリット・デメリットや資金計画まで含めたアドバイスができれば、顧客満足度は飛躍的に向上するでしょう。

賃貸がメインであっても、売買の知識を強化しておくことで、業務の幅と対応力を広げられるのです。

不動産仲介士試験の概要

ここでは、不動産仲介士試験の概要と勉強方法について解説します。

試験の内容

不動産仲介士試験の概要は以下のとおりです。CBT方式を採用しており、自分のスケジュールに合わせて受験しやすい点が特徴です。

試験実施時期

12月~2月・4月~6月・8月~10月

試験場所

全国150ヶ所以上の会場でCBT方式で実施

受験料

11,000円(税込)

受験資格

特になし

試験時間

90分

問題数

50問(四肢択一)

試験内容

①総論

②住生活基本法、不動産業界時事

③コンプライアンス等の法令

④ビジネスマナー

⑤集客活動全般

⑥接客(反響応対、面談、資金計画、購入計画等)

⑦物件案内から購入申込

⑧価格査定

⑨物件調査、重要事項説明、契約行為

⑩建築知識

試験の難易度と勉強方法

不動産仲介士試験の合格率は、40〜60%程度で推移しているとされています。

国家資格である宅地建物取引士(合格率15〜17%程度)と比較すると難易度は高くありません。ただし、受験者の多くがすでに宅地建物取引士資格を持っていたり、実務経験を積んでいたりする点は考慮する必要があるでしょう。

勉強方法としては、主催団体であるRSP協会が発行する公式テキスト「RSP講座教本」(基礎知識編、営業実務編、建築知識編の3分冊)を活用することが基本です。

これらの教本で不動産仲介の基礎から営業実務、建築知識までを体系的にインプットし、「不動産仲介士認定試験対策問題集」でアウトプットを繰り返すのが王道の学習スタイルです。

独学が不安な方や、効率的に学習したい方向けにオンライン講座も用意されているため、自身の学習スタイルに合わせて活用するとよいでしょう。

まとめ

宅地建物取引士が不動産取引の安全や適正を担保するための法律知識の専門家であるのに対し、不動産仲介士は、現場で求められる「実践力」と「顧客満足度」向上のための資格です。

資金計画の提案から物件調査、お客様との折衝スキル、建築知識まで、宅地建物取引士だけではカバーしきれない「実務で使えるノウハウ」を体系的に学ぶことができます。

すでに宅建士として活躍されている方にとってはお客様からの信頼をさらに深めるための「プラスアルファ」として、また、お客様に最適な提案ができるプロフェッショナルを目指すうえでも、不動産仲介士の資格取得は価値のある投資となるはずです。

LIFULL HOME'S Businessでは、不動産業界に関連したコラムやセミナー情報なども公開しております。ぜひご覧ください。

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吉満 博
吉満 博
不動産コンサルタント・ライター。株式会社あつみ事務所 代表取締役。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性を踏まえ、長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供する。また、購入・住み替え前のライフプランニングから、資金計画や住宅ローン、保険の見直しなど、お金に関するセカンドオピニオンを提供。不動産・住宅ライターとして、不動産メディアを中心に、これまでの建築設計、不動産売買の経験を踏まえた記事執筆をおこなう。

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