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2026年度から拡充! 「マンションすまい・る債」の制度・メリットを徹底解説

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分譲マンションの資産価値を維持するために欠かせない大規模修繕工事ですが、昨今の工事費や人件費の高騰により、修繕積立金の不足に悩む管理組合が増えています。

こうしたなか、積立金の安全かつ効率的な運用の提案は、管理会社の担当者にとって重要なコンサルティング業務の一つといえます。そこで注目されているのが、住宅金融支援機構が発行する「マンションすまい・る債」です。

本記事では、マンションすまい・る債の仕組みや運用メリット、さらには2026年度からの制度拡充のポイントについて解説します。

「マンションすまい・る債」とは

はじめに「マンションすまい・る債」の基本的な仕組みと特徴を紹介します。

住宅金融支援機構が発行する10年満期の債券

「マンションすまい・る債」は、独立行政法人住宅金融支援機構(以下、機構)が発行する、マンション管理組合専用の債券です 。修繕積立金の計画的な積み立てをサポートするために、国の認可を受けて発行されている「利付10年債」です 。

主な仕組みは以下のとおりです。

● 積立・購入
1口50万円から購入可能で、管理組合のニーズに合わせて複数口を一度に、あるいは毎年定額で購入し(同一口数であれば最大10回まで可)、積み立てることが可能です 。

● 利息の支払い
10年後の満期まで毎年1回(2月)利息が支払われます 。利率は保有期間に応じて段階的にアップする仕組みとなっており、長期保有するほどメリットが大きくなります 。

政府全額出資機関による安全性と優先弁済権

多額の修繕積立金を運用するうえで気になるのが、預入先としての安全性です。マンションすまい・る債は、政府が資本金を全額出資している機構が、国の許可を受けて発行しています。

預金ではないため、預金保険制度(ペイオフ)の対象ではありませんが、独立行政法人住宅金融支援機構法に基づき、この債券の債権者はほかの一般的な債権者に先立ち、機構の総資産から弁済を受ける権利(優先弁済権)が認められています。

また、マンションすまい・る債は個別の格付けは取得していませんが、債券を発行する機構自体は国債と同水準の格付けを取得しています。

利回りだけでない「マンションすまい・る債」の運用メリット

マンションすまい・る債のメリットの一つは、その収益性の高さです。2025(令和7)年度発行債券の10年満期時の年平均利率は、税引き前で0.525%となっています。

また、本債券は、利率以外に以下のメリットがあります。

中途換金の柔軟性と利便性

マンションすまい・る債は、建物の劣化状況や突発的な事故、災害などによる想定外の大規模修繕工事にも柔軟に対応できます。

発行から1年が経過すれば、1口(50万円)単位でいつでも手数料無料で中途換金が可能なため、修繕資金に充てられます。また、債券は機構が無料で保管する「保護預かり」となるため、管理組合側で現物を管理する手間がなく、紛失や盗難のリスクもありません。

マンション管理組合のニーズに合わせて購入できる

修繕積立金の積立状況や将来の工事予定に合わせ、柔軟な運用方法を選択できます。

すでに貯まっているまとまった資金を活用した「一括購入」や、将来に向けて毎年一定額を積み立てる「継続購入」が可能で、最大10回(10年間)まで購入できます。10回の積立上限に達した後も、再度新規で応募することで実質的に積み立てを継続することが可能です。

なお、一括購入を活用すれば、購入時点の発行利率で確定するため、将来的な金利変動の影響を気にせず運用できる点もメリットです。

リフォーム融資時の金利優遇と保証料の割引

マンションすまい・る債の積立残高がある管理組合が、共用部分の修繕のために機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する場合、以下の特典を受けられます。

  • 融資金利の引き下げ:通常の融資金利よりも年0.2%引き下げて優遇
  • 保証料の割引:公益財団法人マンション管理センターの保証を利用する際の保証料が、通常の約2割引き

これらの優遇措置は、大規模修繕における資金調達コストを直接的に引き下げる効果があります。

「マンションすまい・る債」の留意点

マンションすまい・る債は国の認可を受けた安全性の高い債券ですが、留意点もあります。

● デフォルトリスク
預金とは異なり、元本が保証されているわけではないため、理論上は、機構が破綻(デフォルト)した場合には、元本割れが生じる可能性があります。

ただし、万が一の場合でも、機構の財産から優先的に弁済を受ける権利が保障されています。

● 中途換金時の利回りの低下
中途換金は手数料無料でできますが、保有期間が長くなるほど利率が上昇する仕組みであることを考慮すべきです。積み立てを開始して間もない時期に中途換金すると、適用される利率が低く、期待したほどの運用益を得られない場合があります。

● 換金時期の制約
換金は1口単位で行えますが、発行から1年未満の解約は原則としてできないなどのルールがあります。長期修繕計画によって将来の大規模修繕工事の時期を確認し、換金のタイミングを考慮したうえで購入計画を立てることが重要です。

2026年度募集分から「マンションすまい・る債」の利率上乗せ制度が拡充

マンションすまい・る債には、適切な管理を行っているマンションに対して利率を優遇する「利率上乗せ制度」がありますが、これまでは自治体による「管理計画認定制度」の認定を取得している管理組合に適用が限られていました。

しかし、2026年度募集分からは、利率上乗せの対象が拡充され、新たに以下の評価・診断基準が追加される予定です。

● マンション管理適正評価制度
一般社団法人マンション管理業協会が運営する制度で「★4つ以上」の評価を取得した管理組合

● マンション管理適正化診断サービス
一般社団法人日本マンション管理士会連合会が提供する診断で「S評価」を取得した管理組合

「マンションすまい・る債」の利用条件と応募スケジュール

マンションすまい・る債は、すべてのマンション管理組合が制限なく利用できるわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。

ここでは、利用条件と応募スケジュールの注意点について解説します。

利用条件

マンションすまい・る債に応募するためには、主に以下の4つの条件をすべて満たしている必要があります。

1.管理規約が定められていること

2.長期修繕計画の計画期間が20年以上であること
3.反社会的勢力と関係がないこと

4.機構融資を利用して共用部分の修繕工事を行う予定があること

なお、4番目の条件については、将来的に機構融資の利用を想定していたものの、結果として融資を受けずに修繕工事を行ったという場合でも、違約金などは発生しません。

応募スケジュール

マンションすまい・る債は例年4月中旬から10月中旬ごろまで募集が行われますが、2025(令和7)年度募集分からは先着順となりました。応募口数が上限に達した時点で締め切られるため、期間内でも早期終了の可能性がある点に注意が必要です。

また、通常、購入には総会決議や理事会の承認を要するため、管理会社には募集開始に合わせた意思決定のサポートが求められます。

なお、手続きをWebから行えば郵送よりも迅速に進められるほか、送付先指定の手続きによって書類の送付先を管理会社に変更し、事務の効率化を図ることも可能です。

まとめ

マンションすまい・る債は、単なる修繕積立金の運用手段であるだけでなく、将来の修繕時に金利優遇が受けられるなど、管理組合の財務基盤を支えるツールです。

特に2026年度から予定されている利率上乗せ制度の拡充は、管理会社にとっても追い風となります。適切な管理が融資金利の優遇などの目に見える利益を生むため、管理計画認定や適正評価の取得に向けた取り組みに前向きになるでしょう。

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吉満 博
吉満 博
不動産コンサルタント・ライター。株式会社あつみ事務所 代表取締役。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性を踏まえ、長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供する。また、購入・住み替え前のライフプランニングから、資金計画や住宅ローン、保険の見直しなど、お金に関するセカンドオピニオンを提供。不動産・住宅ライターとして、不動産メディアを中心に、これまでの建築設計、不動産売買の経験を踏まえた記事執筆をおこなう。

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