法的リスクを回避! マンションの放置自転車を安全に撤去する手順と防止策

マンション駐輪場の放置自転車は、物件の美観を損なうだけでなく、入居者の満足度低下を招く原因にもなりかねません。
しかし、劣悪な状態で長期間放置されている自転車でも、法的には所有者の財産であるため、管理会社やオーナーが独断で処分することはできません。安易な撤去は、損害賠償請求などの法的リスクにつながります。
この記事では、実際の裁判例も踏まえた法的リスクと、安全に撤去するための手順、放置自転車を防ぐ対策について解説します。
放置自転車を撤去する際の法的リスク
自治体が公道で行う放置自転車の撤去とは異なり、マンションの敷地内(私有地)には条例が適用されません。そのため、管理会社やオーナーの独断による撤去は、法的には所有権侵害と見なされる可能性があります。
ここでは、放置自転車の撤去に伴う法的リスクと2025年の裁判例について解説します。
勝手に処分はNG! 自力救済禁止の原則
日本では、たとえ権利が不当に侵害されていても、公的な手続きを経ずに実力で解決を図る「自力救済」が原則として禁止されています。
そのため、放置自転車であっても所有権は保護されており、勝手な廃棄や売却は以下のようなリスクを招きます。
● 民事上のリスク
所有権侵害として、不法行為に基づく損害賠償責任(民法第709条)を問われる可能性
● 刑事上のリスク
他人の所有物を損壊したとして「器物損壊罪(刑法第261条)」、または「遺失物等横領罪(刑法第254条)」に問われる可能性
「長期間放置されているから捨ててもよいだろう」という安易な判断を行うと、法的責任を追及される事態になりかねないといえます。
(参照:e-Gov法令検索『民法第709条』)
(参照:e-Gov法令検索『刑法第261条・254条』)
3年間放置されたバイクに所有権の侵害が認められた裁判例
2025年の大阪高裁判決は、劣悪な状態で長期間放置されていても、撤去手続きに不備があれば管理会社側が敗訴することを示す裁判例です。
【事案の概要】 京都府内のマンションでバイクが約3年間放置され、タイヤはパンクし、ハチの巣まで作られていた事例です。管理会社は警告を繰り返した後、所有者(入居者)を特定し、電話で同意を得て撤去しました。しかし、のちに所有者側から「同意は無効」として損害賠償を求められました。 【判決】 大阪高裁は、管理会社に計7万3,000円の賠償を命じました。敗訴の決め手となったのは、所有者の「撤去しないで」という要望に対し、「警察や弁護士にも相談済みで、撤去は覆らない」と虚偽の説明をして同意を取りつけた点です。裁判所は、管理会社の対応を「違法に所有権を侵害した」と結論づけました。 |
この判決からは、次のことがわかります。
- どれほどひどい状態で放置されていても、それだけで所有権が放棄されたとは見なされない
- 適法な対応と手順を踏まなければ、管理会社が責任を負うことになる
法的リスクを回避する放置自転車の撤去手順
ここでは、放置自転車を撤去する際に、管理会社が正当性を主張できる具体的な手順を解説します。
1.現況調査(証拠保全)と住民への周知
まず、対象車両の防犯登録番号や色、メーカーなどの特徴を記録し、写真を撮って放置の証拠を保全します。写真は日付入りとし、長期間使用されていないことがわかるよう、パンクやサビなどの様子を細部まで撮影しましょう。
併せて、掲示板や配布チラシで「放置自転車の撤去」をマンション全体に告知します。これにより、入居者全員に確認の機会を与えたという事実をつくれます。
2.対象の自転車に撤去予定日を明記した警告タグを付ける
周知と並行して、放置自転車の目立つ箇所に「警告タグ」を取り付けます。タグには「○月○日までに移動または登録がない場合は、所有権を放棄したものと見なし撤去します」と明記します。
警告期間は、実務上は30日程度の期間を設けることが一般的です。バイクなど高価な車両の場合は期間を長めに設定し、所有者の意思確認を徹底したという証明を残すと安全です。
3.(警告期間終了後)警察への届け出・相談
警告期間終了後は、処分する前に必ず警察に防犯登録番号などを伝え、盗難届の有無を照会します。盗難車であれば警察が回収するため、不法投棄のトラブルを防げます。
盗難届が出ていない場合、警察は民事の問題には直接介入しないことがほとんどですが、「警察に照会し、事件性がないことを確認した」という事実は重要です。対応した警察署・担当者名・日時を必ず記録しておきましょう。
4.撤去・処分
警察への照会後、いよいよ撤去に移ります。より慎重に進めるために、即座に廃棄するのではなく、敷地内の目立たない場所で1ヶ月程度保管すると安全です。
その後、不用品回収会社に依頼するか自治体の粗大ごみとして処分します。いつ、どの車両を処分したかがわかる伝票を残して業務は完了です。
なお、撤去費用は、原則として貸主(オーナー)側の負担となります。費用の目安は、業者に依頼する場合で1台当たり500円~1,000円程度です。
マンション内の放置自転車を未然に防ぐ4つの対策
放置自転車が発生しやすい原因として、入居ルールの曖昧さや駐輪スペースの使いにくさなどが考えられます。
ここでは、放置自転車を未然に防ぐ対策について解説します。
入退去と連動した登録シール制・有料化
入居時の契約や退去手続きと駐輪場の管理を連動させる方法です。自転車を利用する入居者に対し、部屋番号や管理番号を記載した「駐輪許可証(ステッカー)」の貼付を義務付けます。これにより、未登録車両(部外者や退去者の置き去り)が一目で判別できるようになります。
また、駐輪場の有料化も検討すべき対策の一つです。月額数百円程度の使用料を設定することで、「とりあえず置いておく」といった無責任な利用を抑制できます。
区画指定制の採用
空いている場所に自由に停めるフリースペース制から、番号を振り、入居者ごとに特定の区画を割り当てる「区画指定制」への変更も有効な対策です。入居者に「自分の場所」という意識が生まれ、無断駐車を許さない環境を作りやすくなります。
管理会社も、契約していない区画に自転車があれば即座に気付けるため、放置自転車の早期発見につながります。
自転車ラック導入などによる収容力UP
「停めにくい」「数が足りない」という物理的な環境も、通路への放置などが生じやすい要因です。
敷地に余裕がなくても、2段式ラックやスライド式ラックを導入すれば、収容力を高めることができます。また、建物の隙間などのデッドスペースに駐輪レーンを増設する方法もあります。
防犯カメラと警告掲示による監視強化
駐輪場全体が見渡せる位置に防犯カメラを設置し、「防犯カメラ作動中」や「不法駐輪は即時警察に通報」といった警告文を掲示する方法も有効です。
「誰も見ていない」という環境をなくすことで、入居者のルール違反や駅周辺の物件に多い、部外者による乗り捨てを抑止できます。
まとめ
マンション内の放置自転車の撤去は法的なリスクを伴うため、現地の確認・記録から警察への照会まで、適切な手順で進める必要があります。
同時に、放置自転車を未然に防ぐ対策を講じることで、入居者の満足度や物件の資産価値向上につながり、オーナーの信頼を得られます。
一方で、こうした質の高い管理を徹底するほどに現場の業務負担が増え、本来注力すべき新規オーナーの開拓に手が回らないという状況に陥りがちです。
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