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独立・開業

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不動産会社の経営者になるための準備と起業のポイント

不動産会社で働きながら、「将来的に独立して不動産会社を経営したい」と考えている人もいるのではないでしょうか。

不動産会社にはさまざまな業務形態があり、独立にはまとまった資金が必要です。また、起業後には、自ら集客や運営を行うことも考えなければなりません。

経営者として事業を軌道に乗せるには、適切な準備を行い、起業後の運営体制を整えておくことが重要です。本記事では、不動産会社の経営者になるための準備と起業のポイントについて紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.不動産会社を起業する前に必要な準備
  2. 2.業務形態の選択
  3. 3.開業資金の用意
  4. 4.事務所の設置
  5. 5.従業員の確保
  6. 6.不動産会社の経営者として起業する際のポイント
    1. 6.1.①独自の人脈を形成する
    2. 6.2.②複数の集客手法を取り入れる
    3. 6.3.③運転資金に余裕を持たせる
  7. 7.まとめ

不動産会社を起業する前に必要な準備

不動産会社の経営者として起業する際は、事前の準備が欠かせません。ここでは、経営者になるための基本的な準備について紹介します。

業務形態の選択

不動産会社を起業する際、はじめに業務形態を選択する必要があります。業務形態によって、必要な免許や業務内容が異なります。

▼不動産業の業務形態

  • 開発・分譲
  • 流通
  • 管理
  • 賃貸
  • 不動産投資・運用

上記のうち、不動産の仲介や売買、賃貸借の代理・媒介を行う場合には、国土交通大臣、または都道府県知事から宅地建物取引業(以下、宅建業)の免許を受ける必要があります。

また、『宅地建物取引業法』第31条第3項では、1つの事務所につき5人に1人の割合で、専任の宅地建物取引士を設置する義務があると定められています。

(出典:国土交通省『宅地建物取引の免許について』/e-GOV 法令検索『宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)』)

開業資金の用意

不動産会社を起業するにあたって、開業資金を用意しておく必要があります。全日本不動産協会によると、不動産業の起業には、約400万〜1,800万円の初期費用がかかります。

起業に必要な費用には以下が挙げられます。

▼起業に必要な主な費用

  • 法人設立費用
  • 事務所の設置・維持費用
  • パソコン、オフィス家具、印鑑などの事務用品
  • 全日本不動産協会・全国宅地建物取引業協会連合会(以下、宅建協会)への入会金
  • 宅建業の免許申請手数料

業態によって初期費用は異なりますが、一般的に、既存の不動産を取扱う仲介業の場合、在庫を抱えることがないため、初期費用を抑えられます。

(出典:公益社団法人 全日本不動産協会 埼玉県本部『不動産で独立するときに資金はいくら必要?』/『開業時に費用がかかる項目一覧』)

事務所の設置

不動産会社の起業には、事務所の設置が必要です。事務所の立地やアクセス環境は集客にも影響するため、業態・ターゲット層に応じて選定することが重要です。

また、事務所を構える際は必須要件を満たす必要があります。

宅地建物取引業法(以下、宅建業法)では、事務所の設置要件を下記のように定めています。

▼宅建業法における事務所の設置要件

第3条第1項関係
1 宅地建物取引業法施行令第1条の2第1号に規定する「事務所」について
本号に規定する「事務所」とは、商業登記簿等に登載されたもので、継続的に宅 地建物取引業者の営業の拠点となる施設としての実体を有するものが該当し、宅地建物取引業を営まない支店は該当しないものとする。

2 宅地建物取引業法施行令第1条の2第2号に規定する「事務所」について
 (1) 「継続的に業務を行なうことができる施設」について宅地建物取引業者の営業活動の場所として、継続的に使用することができるもので、社会通念上事務所として認識される程度の形態を備えたものとする。 

引用元:国土交通省『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

具体的には、次のような事務所を指します。

  • 専用の出入り口があること
  • 他法人との間に間仕切りがあること
  • 居住スペースと切り離されていること

たとえば、自宅兼事務所として利用する場合や複数の法人と出入り口を共有するシェアオフィスの場合、上記の要件を満たしていないことがあるため注意が必要です。

従業員の確保

起業にあたって従業員の雇用が必要になる場合、求人や採用を進めておく必要があります。また、宅地建物取引士の資格がない場合には、有資格者の雇用も必要です。

▼従業員を雇用するケース

  • 自らが経営者となり、営業担当者の従業員を雇用する
  • 自らが経営かつ営業を行い、経理・事務担当者の従業員を雇用する
  • 宅地建物取引士の配置義務に則り、有資格者を雇用する

従業員の雇用には、雇用形態・賃金形態をあらかじめ設定しておくとともに、給与や手当、賞与、福利厚生費などの人件費についても考慮が必要です。

なお、不動産会社では、契約数の成果に応じて報酬を支払うフルコミッション制(完全歩合制)を採用しているケースもあります。

不動産会社の経営者として起業する際のポイント

不動産会社の起業において懸念されるのは、「これまで働いていた企業の看板やネットワークが使えなくなる」という点です。

現在不動産会社に勤めていて、不動産営業の知識・スキルがある人でも、独立開業後に顧客獲得が難しくなるケースも考えられます。

不動産会社の経営者として事業を軌道に乗せるためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。


①独自の人脈を形成する

不動産会社を起業して事業を軌道に乗せるためには、独自の人脈を形成することが重要なポイントになります。

起業後に、一から顧客獲得を行うには時間と労力がかかります。同業種・他業種にかかわらず、幅広い人脈を形成しておくことで、紹介によって仕事を獲得できるチャンスを増やせます。

さまざまな業界・業種の人たちと交流できるサービスやイベントを積極的に活用して、人脈を広げておくことが重要です。

▼人脈形成に有効な方法

  • 不動産業界の人同士をつなげるマッチングサービスを利用する
  • 異業種交流会に参加する
  • 宅建協会の懇親会や納涼会に参加する


②複数の集客手法を取り入れる

起業して不動産業界に新規参入する際、競合他社に負けないための集客力を身につける必要があります。

複数の集客手法を取り入れて、独自の強みや競合他社との差別化ができる要素をアピールすることで、自社を知らない客層への認知拡大、ブランディングにもつながります。

集客向上を図る手法には以下が挙げられます。

▼不動産会社の集客手法

  • Googleビジネスプロフィールへの登録
  • SNSへの投稿
  • リスティング広告の出稿
  • 不動産ポータルサイトへの掲載
  • オウンドメディアの作成

不動産会社の集客手法については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

『不動産会社における集客方法と工夫のポイント』


③運転資金に余裕を持たせる

起業後の運転資金は、余裕を持って用意しておくことが大切です。

不動産会社の起業後、すぐに十分な売り上げがあるとは限りません。顧客を獲得するまでの一定期間を考慮して、十分な運転資金を用意しておくことで、経営に失敗するリスクを低減できます。

起業してから必要になる運転資金には以下が挙げられます。

▼必要になる運転資金

  • 事務所の賃料・光熱費
  • OA機器のリース料金
  • 広告費
  • 人件費(従業員を雇用する場合)
  • 金融機関による融資の返済

なお、十分な運転資金を用意するために、国や地方公共団体による助成金・補助金制度を活用して、開業資金の一部をまかなうのも一つの方法です。

不動産業の起業に活用できる助成金・補助金については、こちらの記事もご覧ください。

 ≫ 『不動産の独立開業に使える支援制度・助成金

 ≫ 『不動産業の開業に必要な資金と活用できる3つの補助金

まとめ

この記事では、将来的に不動産会社の経営者を目指す人に向けて、以下の項目で解説しました。

  • 不動産会社を起業する前に必要な準備
  • 不動産会社の経営者として起業する際のポイント

不動産会社を起業する際は、業務形態の選択をはじめ、開業資金や事務所の設置、従業員の雇用など、さまざまな準備が必要です。

起業後にはこれまで働いていた企業の看板やネットワークが使えなくなるため、独自の人脈形成、新たな集客手法の導入が欠かせません。

また、起業してから一定期間は思うように売り上げが得られないことを考慮して、余裕を持って運転資金を用意しておくことが重要です。

将来的に不動産会社の起業を検討している場合は、今回紹介したポイントを参考にしてみてください。

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