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不動産業の開業に必要な資金と活用できる3つの補助金

不動産業を独立開業する際、懸念点となるのが費用面や顧客開拓です。

特に費用面は、事務所の設置費用や宅建協会への入会金など、開業にあたってさまざまな資金が必要になります。また、事業が軌道に乗るまでの間は、十分な運転資金を用意しておくことも重要です。

こうした費用を自己資金でまかなえない場合には、国や地方自治体が実施する補助金制度を賢く活用することがポイントです。

この記事では、不動産業の開業にかかる費用をはじめ、資金調達の一つとして活用できる3つの補助金について紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.不動産業の開業に必要な費用と項目
  2. 2.不動産業開業に関する補助金とは
  3. 3.開業時に活用できる3つの補助金
    1. 3.1.①IT導入補助金
    2. 3.2.②小規模事業者持続化補助金
    3. 3.3.③事業再構築補助金
  4. 4.まとめ

不動産業の開業に必要な費用と項目

公益社団法人 全日本不動産協会では、不動産業の開業にかかる費用(会社設立の諸費用除く)を以下のように挙げています。

▼不動産業の開業にかかる費用

  • 全日本不動産協会に加入した場合:約400万~1,000万円
  • 全日本不動産協会に加入しなかった場合:約1,110万~1,800万円


不動産業の開業には、事務所の設置をはじめ、登録免許申請料や宅建協会への入会金など、さまざまな費用が必要です。

主な費用項目には、以下が挙げられます。

▼不動産業の開業にかかる費用の項目

費用項目
内容
事務所の設置費用
事務所の賃料・敷金・内装工事費・オフィス家具やOA機器の導入費、通信費など。
営業保証金
不動産業を始める際に供託所に納める供託金。
宅地建物取引業法』第25条で供託が義務付けられている。
弁済業務保証金分担金
宅建協会に加入する場合、営業保証金に代わり弁済業務保証金分担金を納める必要がある。
宅建協会への入会金・年会費
全日本不動産協会・全国宅地建物取引業協会連合会への加入費用。
登録免許申請料
宅地建物取引業の登録を受けるための免許申請料。
そのほかの諸費用
  • 事務用品や自動車などの準備費用
  • 賃料や光熱費、リース料などの維持費
  • 人件費
  • 当面の運転資金 など


費用の詳細については、こちらの記事をご確認ください。

 ≫ 不動産業の開業資金はいくらかかる? 初期費用や運営資金などを解説


(出典:e-Gove法令検索『宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)』/公益社団法人 全日本不動産協会 埼玉県本部『不動産で独立するときに資金はいくら必要?』『開業時に費用がかかる項目一覧』)

不動産業開業に関する補助金とは

前述のとおり、不動産業の開業には数百万〜数千万円の資金が必要です。自己資金で用意できない場合には、起業する人を対象とした補助金制度を利用するのも一つの方法です。

不動産業の開業で利用できる補助金制度は、主に経済産業省、または地方自治体が実施しています。これは、企業の取組みを支援するために、資金の一部を補助することが目的です。

補助金には、金融機関から受ける融資のような返済義務はなく、定められた要件を満たした人・事業者であれば受給できます。

また、公的機関による補助金制度には助成金もあるため、両者の違いについて理解しておくことが重要です。補助金・助成金の違いは、以下のとおりです。

▼不動産業開業に利用できる補助金・助成金制度の違い


補助金
助成金
管轄する省庁
主に経済産業省、または地方自治体
主に厚生労働省、または地方自治体
主な目的
企業における事業の支援・推進
雇用促進や労働環境の改善
利用できる制度例
  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業再構築補助金
  • 人材確保等支援助成金
  • 雇用調整助成金
  • 両立支援等助成金


(出典:経済産業省 中小企業庁 ミラサポplus『制度を探す(制度ナビ)』/独立行政法人 中小企業基盤整備機構『補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。』)

開業時に活用できる3つの補助金

ここからは、不動産業の開業に活用できる3つの補助金を紹介します。


①IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者が生産性の向上を図る際、新たなITツール・ソフトウェアの導入にかかる費用の一部を補助する制度です。

対象となる費用には、ITツール、パッケージソフトの本体費用、クラウドサービス導入時の初期費用などが挙げられます。

通常枠にはA類型・B類型の2種類があり、類型ごとに業務工程や業務種別のプロセス要件を満たす必要があります。

通常枠以外の種類については、経済産業省 中小企業庁 ミラサポplusの『IT導入補助金 A・B類型(通常型)、 C・D類型(低感染リスク型ビジネス枠)の違い』で確認できます。

▼IT導入補助金の概要(通常枠)

対象者
  • 中小企業
  • 小規模事業者等
    (飲食、宿泊、小売・卸、運輸、医療、介護、保育等)
補助金額
  • A類型:30万~150万円未満
  • B類型:150万~450万円以下
補助率
1/2以内
補助対象経費
  • ソフトウェア購入費
  • クラウド利用料(最大1年分)
  • 導入関連費  など


(出典:経済産業省 中小企業庁 ミラサポplus『IT補助金』『IT導入補助金 A・B類型(通常型)、 C・D類型(低感染リスク型ビジネス枠)の違い』/経済産業省 中小企業庁 中小機構『IT導入・DXを検討中の皆様へ』)


②小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者の販路拡大にかかる経費の一部を補助する制度です。販路拡大や生産性の向上の取組みを行った場合に対象となります。

補助の対象となる経費には、Webサイトの制作、チラシの制作、店舗改装費などが挙げられます。作成した経営計画に沿って、販路拡大に向けた取組みを行うことが要件となります。

▼小規模事業者持続化補助金の概要(一般型)

対象者
  • 常時使用する従業員が20人以下の法人
  • 個人事業主
    ※宿泊業・娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下の
     法人・個人事業主
補助金上限額
  • 通常枠:50万円
  • インボイス枠:100万円
  • 賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業支援枠:200万円
補助率

2/3以内

(赤字事業者は3/4以内)


詳しくは、経済産業省 中小企業庁 ミラサポplusの『小規模事業者持続化補助金ページ』で確認できます。

(出典:経済産業省 中小企業庁 ミラサポplus『小規模事業者持続化補助金』)


③事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、新たな分野の事業を始める際や事業再編にかかる経費の一部を補助する制度です。コロナ禍における社会経済の変化に対応するために、新たな分野への挑戦や事業再編を図る企業を支援することを目的としています。

補助の対象となる経費は、新分野展開・事業転換・業態転換などにかかる費用です。具体的には次の項目が挙げられます。

▼補助の対象となる項目

  • システム構築費
  • クラウドサービス利用費
  • 広告宣伝費
  • 技術導入費
  • 運搬費 など

ただし、次の経費は対象外となるため注意が必要です。

▼補助の対象外となる項目

  • 不動産の購入費・仲介手数料
  • 事務所の家賃
  • 自ら所有する建物を第三者に賃貸する賃貸業
  • 電話代 など

受給の可否は、補助事業の対象経費の妥当性、計画の実現性などを審査したうえで決定されます。

▼事業再構築補助金の概要(通常枠)

対象者
日本国内に本社を有する中小企業者等および中堅企業等
補助金額
  • 従業員数20人以下:100万~4,000万円
  • 従業員数21~50人:6,000万円
  • 従業員数51人以上:100万円~8,000万円
補助率
  • 中小企業者等:2/3
    (6,000万円超は1/2)
  • 中堅企業等:1/2
    (4,000万円超は1/3)
補助対象経費
  • 建物費
  • 技術導入費
  • 機械装置・システム構築費(リース料含む)
  • 専門家経費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費 など


なお、事業再構築補助金の申請には、以下の3つの要件を満たす必要があります。

▼事業再構築補助金の申請要件

  • コロナ禍の影響によって売り上げが減少している
  • 新分野展開や業態転換、業種転換などの事業再構築を行う
  • 中小企業診断士や金融機関等と事業計画を策定する

詳しくは、『事業再構築補助金ページ』で確認できます。

(出典:中小企業庁『事業再構築補助金』/経済産業省 中小企業庁 ミラサポplus『中小企業庁担当者に聞く「事業再構築補助金のポイント」』)

まとめ

この記事では、不動産業の開業で活用できる3つの補助金について、以下の項目で解説しました。

  • 不動産業の開業に必要な費用と項目
  • 不動産業開業に関する補助金や助成金の違い
  • 開業時に活用できる3つの補助金

不動産業の開業には、数百万〜数千万円の高額な資金が必要です。開業後の運転資金を確保しておくためにも、補助金を活用して初期費用の負担を抑えることが重要といえます。

不動産業の開業を検討中の方は、今回紹介した補助金を活用できるか、対象者や申請の要件を確認しておくことが重要です。

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