不動産フランチャイズでよくある失敗例とは?成功に導くための4つの対策
不動産業での独立開業を考えている方のなかには、不動産フランチャイズへの加盟を視野に入れている方もいるのではないでしょうか。
不動産フランチャイズへ加盟すると、一から個人で独立するよりも開業しやすいといわれていますが、事業が軌道に乗らずに失敗してしまう方も少なくありません。
不動産フランチャイズでの独立開業を成功させるためには、よくある失敗例を把握したうえで、事前に対策をしておくことが大切です。
この記事では、不動産フランチャイズに加盟して独立開業する際のよくある失敗例とその原因、失敗しないための対策について解説します。
目次[非表示]
- 1.不動産フランチャイズとは
- 2.不動産フランチャイズの4つの失敗例とその原因
- 2.1.①開業後に資金不足となってしまった
- 2.2.②想定していた売り上げが得られなかった
- 2.3.③競合他社に顧客が流れてしまう
- 2.4.④本部との経営方針が合わなかった
- 3.不動産フランチャイズで失敗しないための4つの対策
- 3.1.①資金は余裕を持って準備しておく
- 3.2.②データに基づいた収益予測を立てる
- 3.3.③立地・商圏を確認する
- 3.4.④相性のよいフランチャイズをリサーチする
- 4.まとめ
不動産フランチャイズとは
不動産フランチャイズとは、フランチャイズ・チェーン本部と契約を締結して、加盟店が特定の商標やブランドを利用する権利を得るとともに、経営ノウハウを提供してもらう事業形態です。
加盟店は、これらを受け取る対価として、加盟金や月々のロイヤルティを本部に支払います。
▼不動産フランチャイズの仕組み
画像引用元:中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』
不動産フランチャイズに加盟することで、経営・営業のノウハウや業務システムを利用できるため、スムーズに開業しやすくなります。
また、すでに知名度がある不動産会社の商標・商号を利用できるため、顧客からの信頼を獲得しやすく、集客や売り上げにつなげやすいといったメリットもあります。
このような理由から、不動産業界での経験が少ない方でも独立開業しやすいといわれています。
(出典:中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』)
不動産フランチャイズの4つの失敗例とその原因
独立開業しやすいとされる不動産フランチャイズですが、成功が保証されているわけではありません。ここでは、不動産フランチャイズでよくある失敗例と、その原因について解説します。
①開業後に資金不足となってしまった
不動産フランチャイズのよくある失敗例として、独立開業後に資金不足となり、営業を継続できなくなるケースがあります。
その原因には、開店のための初期費用やランニングコストがかかりすぎてしまったことが考えられます。
また、不動産フランチャイズでは、本部に対してロイヤルティを継続的に支払う必要があるため、手元に残る収益が少なくなり、資金が不足してしまうケースもあります。
(出典:中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』)
②想定していた売り上げが得られなかった
開業前に想定していた売り上げが得られずに、経営が立ち行かなくなることも失敗例として挙げられます。
不動産フランチャイズに加盟すると、経営者研修や従業員教育といった本部からのサポートが受けられます。一方で、その支援に頼り切りになり、自社での経営努力を怠っていると失敗につながるおそれがあります。
また、本部が提供する売り上げ予測の根拠や詳しい算定方法を確認しておらず、現実的でない収益予測を立ててしまうことも原因の一つと考えられます。
③競合他社に顧客が流れてしまう
不動産フランチャイズに加盟して出店したものの、競合他社に顧客が流れてしまい、集客が難しくなるといった失敗例もあります。
これは、出店する近隣地域の状況や競合調査を十分に行わなかったこと、またテリトリー権(※)の有無を確認していなかったことが主な原因といえます。
※加盟店の販売・営業地域や広告宣伝地域などを限定する権利のこと。
(出典:中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』)
④本部との経営方針が合わなかった
本部との経営方針が合わず、フランチャイズでの経営がうまくいかないことがあります。このような失敗は、契約前に経営理念や事業内容を十分に確認していなかったことが原因として考えられます。
不動産フランチャイズに加盟すると、本部との付き合いが続くことになるため、経営方針や事業内容が自分に合っているかといった相性の判断は非常に重要です。
不動産フランチャイズで失敗しないための4つの対策
不動産フランチャイズで失敗しないために、本部とのフランチャイズ契約をよく確認することと、事前準備を綿密に行っておくことが重要です。
具体的な対策として、以下の4つが挙げられます。
①資金は余裕を持って準備しておく
独立開業後の経営資金は余裕を持って準備しておくことが重要です。
不動産フランチャイズでは、初期投資やランニングコストのほかに、フランチャイズ本部へのロイヤルティを毎月支払う必要があります。
本部が定めるロイヤルティの割合や算出方法を確認したうえで、必要経費を洗い出して、最大に見積もっておくことがポイントです。
また、開業にあたって融資を受ける場合は、予測していた売り上げが得られなかった場合に備えて、無理のない投資金額・借入金額を検討することが欠かせません。
(出典:中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』)
②データに基づいた収益予測を立てる
収益予測を立てる際は、具体的なデータに基づいた計算が必要です。
本部から提示される売り上げ予測は、過去の平均値や、ある前提に基づいて算出する数値などであるため、開業後に同じ売り上げを得られるとは限りません。
提示された売り上げ予測については、算出根拠(データ・算出方法)を本部から説明してもらい、妥当性かつ合理性のある数値かどうかを確認する必要があります。
また、これらの予測を踏まえて、売り上げを最小に見積もり、経費を考慮したうえで現実に近い収益予測を立てることが重要です。
(出典:中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』)
③立地・商圏を確認する
不動産フランチャイズに加盟する際は、立地や商圏を確認しておくことが欠かせません。
競争の激しいエリアに出店したり、出店した地域に同一チェーンの店舗が新たに開店したりすると、ほかの不動産会社に顧客が流れてしまい、集客につながらないケースがあります。
出店エリアを決める際は、本部から提示された立地環境・商圏に関する評価を鵜呑みにせず、自らで事前調査を行う必要があります。
また、テリトリー権の有無や商圏保護に関する規約、出店計画などについて確認したうえで、フランチャイズ契約を締結することが重要です。
(出典:中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』)
④相性のよいフランチャイズをリサーチする
経営の失敗を防ぐには、相性のよい不動産フランチャイズをリサーチしておく必要があります。
本部の経営方針や事業内容、サポート制度などを事前にリサーチして、自身の経営計画を実現できるかどうかを確認します。その際、1社だけでなく複数社を比較・検討することがポイントです。
また、本部から提供される経営ノウハウやサポートに頼り切りにならずに、自社で経営体制・営業力を強化するための取組みを行うことも必要です。
まとめ
この記事では、不動産フランチャイズについて以下の内容を解説しました。
- 不動産フランチャイズの概要
- 不動産のフランチャイズの失敗例とその原因
- 独立開業に失敗しないための対策
不動産フランチャイズに加盟すると、本部が保有するノウハウやシステム、知名度などを利用できるため、スムーズに独立開業しやすいといわれています。
しかし、運転資金・収益予測を詳細に見積もっていなかったり、競合他社・本部について十分に調査していなかったりすると、資金不足や集客難などによって失敗してしまうケースがあります。
独立開業に失敗しないためには、余裕を持った資金準備をはじめ、根拠のあるデータに基づいた収益予測を行うこと、立地・商圏の制限やフランチャイズ本部について確認しておくことが重要です。綿密な事前準備とリサーチを行い、不動産フランチャイズでの独立開業を目指してみてはいかがでしょうか。
なお、不動産フランチャイズに加盟するメリット・デメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
≫ 不動産フランチャイズ(FC)で独立開業を成功させるには? 加盟のメリット・デメリット