任意売却取扱主任者の資格取得のメリットとは?
任意売却取扱主任者は、不動産の任意売却における専門家です。任意売却は住宅ローンを組んで不動産を購入した人が何らかの理由で返済できなくなってしまったときに、金融機関の同意を得て住宅を売却することをいいます。
任意売却をスムーズに進めるには、関係機関との折衝や不動産・法律に関する専門知識が必要になるため、任意売却取扱主任者の資格が生かされるでしょう。この記事では、不動産業界において任意売却取扱主任者の資格が有利になるかといった点や、資格を取得するメリットなどを解説します。
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≫ 【資格取得】任意売却取扱主任者とは?資格の概要と業務内容を解説
資格の概要と業務内容を解説任意売却取扱主任者とは?
任意売却取扱主任者とは、一般社団法人である全国任意売却協会が試験を実施している民間資格です。任意売却取扱主任者は名称のとおり、不動産取引における任意売却の手続きを円滑に進めるための知見や知識を備えていることを証明する資格となります。
住宅ローンを組んで住宅を購入した人が、何らかの理由で住宅を売却しなければならなくなったときに、専門家としてサポートをする役割を担います。また、任意売却を円滑に進めるために、金融機関や弁護士などと連携をしながら取引を支援していく立場です。
任意売却取扱主任者の試験は2013 年から行われています。2013年3月の中小企業金融円滑化法の終了や新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響で、住宅ローンの返済が難しくなった人が、競売ではなく債権者との話し合いによって、通常の不動産取引に近い形で住宅を手放す任意売却のニーズが高まっているといえます。しかし、任意売却を進めるには金融機関などとの折衝が必要になるため、一般の方では交渉が難しいといった課題があります。
不動産に関する専門知識とノウハウを備えた任意売却取扱主任者の必要性が強まったことから、受験者が増加している資格です。
任意売却取扱主任者の試験概要
任意売却取扱主任者の試験は、年に1回のペースで毎年2月中旬頃に実施されています。試験は4肢択一問題が40問(各2点)と、記述問題(各10点)が2問の計100点満点で採点が行われ、試験時間は2時間です。
合格基準は総得点の60%以上で、択一問題と記述問題のそれぞれ50%以上となっています(合格点は難易度を考慮して調整される場合があります)。満点を目指す必要はなく、合格ラインに達するように過去問を繰り返し解いて、知識の定着を図ることが大切です。
試験の出題範囲は、全国任意売却協会のホームページに以下のように掲載されています。
任意売却取扱主任者試験の出題範囲
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受験するにあたって注意しておきたいことは、試験に合格をしたからといって、すぐに資格が取得できるわけではない点です。試験合格者は指定講習という約6時間の講習を受ける必要があり、受講後に修了証書と任意売却取扱主任者認定証が発行されます。
試験の合格率は年によって異なりますが、近年では40%程度となっています。ほかの不動産関連の資格と比べると合格率は高めではありますが、実務経験を積んだ人がキャリアアップとして受験する傾向があるため、未経験者の場合は一定の学習時間の確保が必要です。
任意売却取扱主任者の業務内容
任意売却取扱主任者の資格を取得すると、次のような業務に資格を生かせます。
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上記のように、任意売却に関する業務を包括的にサポートできるのが、任意売却取扱主任者の資格の特徴です。資格を保有していなくても、任意売却の支援は行えますが、資格を取得しておくことでスムーズに話を進めやすいといった面はあるでしょう。
任意売却取扱主任者の資格を取得するメリット
任意売却取扱主任者の資格取得を検討する場合、どのようなメリットを得られるのかを事前に把握しておくことが大切です。具体的なメリットについて見ていきましょう。
依頼者や金融機関からの信頼を得られる
資格を取得することによって、依頼者や金融機関からの信頼を得られるというメリットがあります。住宅ローンの返済が難しい状況にある依頼者からすれば、頼りになる専門家の存在は心強いものです。
任意売却についてプロとしての知見と知識を持ち、なおかつ交渉を手助けしてくれる専門家の存在は身近な相談相手として有益でしょう。不動産は依頼者にとって大きな財産であり、売却後の暮らしやお金の面なども相談に乗ってもらえる点は信頼を寄せられるポイントになります。
また、任意売却の交渉を行う相手の金融機関としても、専門知識を備えた任意売却取扱主任者が出てきてくれることで、スムーズに話し合いを進められます。任意売却は債務者と債権者の両方とコミュニケーションを取りながら進めていく必要があるので、双方から信頼を寄せられる資格を得ることで、仕事を進めやすくなるでしょう。
ほかの資格も取得することで、仕事の幅を広げられる
不動産関連の資格として、宅地建物取引士や司法書士、不動産鑑定士などが挙げられます。これらに加えて任意売却取扱主任者の資格を得ることで、仕事の幅を広げられるといったメリットを得られます。
一つの資格でも取り組めることは多いですが、ほかの資格と組み合わせることで、より強力に依頼者をサポートできるでしょう。不動産取引は依頼を受けてから完了するまで数ヶ月、時には一年単位で時間が必要になるケースがあるため、できるだけ包括的に依頼者を支援できるように複数の資格を取得しておくことは、役立つ可能性が高いといえます。
任意売却取扱主任者の資格における注意点
任意売却取扱主任者の資格を取得することでメリットを得られる一方で、いくつか注意しておきたい点もあります。どのような点に気をつければよいかを解説します。
独占業務がない
資格を取得する際に注意しておきたい点として、宅地建物取引士や司法書士などのような独占業務がないことが挙げられます。独占業務がないということは、資格を保有していない人でも、任意売却に関係する業務を行えるということです。
そのため、資格の取得を検討する場合、ほかの資格と組み合わせるなどの工夫が必要になります。
認知度がまだ低い
ほかの不動産関連の資格と比べると、任意売却取扱主任者の資格は2013年に試験が始まったということもあり、認知度の点でまだ低いといえます。しかし、一般的な認知度は低かったとしても、依頼者にとっては任意売却のプロとしての安心感があるため、資格を生かせる機会は多いはずです。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:任意売却取扱主任者とは?
A:一般社団法人である全国任意売却協会が実施している民間資格です。住宅ローンの返済が何らかの理由で難しくなった債務者のサポートを行っていくために、役立つ資格だといえるでしょう。
Q:資格を取得するメリットは?
A:任意売却取扱主任者の資格を取得することで、依頼者や金融機関からの信頼を得やすいといったメリットがあります。任意売却は債務者や債権者とコミュニケーションを取りながら進めていく必要があるので、業務において役立つ機会は多いでしょう。
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