顧客が物件案内で知りたいこと
前回、不動産会社の営業担当者が先生ポジションになって、教える立場になることの重要性についてお伝えしました。
今回は、どんなポイントを顧客に教えることができると成果に繋がりやすいのかという点について、お伝えします。
物件内覧は「この物件を買ってよいかの最終チェック」
以前は物件内覧は「とりあえずどんな物件か見てみよう」という段階で行われていました。
しかし、現在は、建物の外観や内観、劣化状況、周辺環境など、ある程度の情報は内覧をしなくてもスマホで見ることができるようになりました。そのため、物件内覧の目的も以前とは変わってきています。
現在の顧客にとっての物件内覧は「この物件を買ってよいかの最終チェック」という意味合いが強くなっています。営業担当者に求められているのは、物件情報や買ってよいかの判断基準を提示することです。つまり、購入への不安を解消するための情報提供を行うことが求められているということです。
中古住宅ならではの不安を解消する
では、顧客はどのような不安を解消したいと考えているでしょうか?
ポイントは全部で10個ありますが、そのうち今回は特に重要な3つをお伝えします。
ポイント①:床下のシロアリの被害や柱の腐食
大きな腐食があれば、修復することができるのか、強度的には問題がないのかをしっかり確認する必要があります。同時に給排水管の水漏れやサビ等も確認します。
ポイント②:屋根裏の状態
小さな穴や雨漏りの痕などがあれば、専門の会社に依頼し、補修の費用等も事前に調べておきます。
ポイント③:建物の傾き(不陸)
建物の傾きに関しては、水平器で調べます。大きな傾きがあるようなら、事前にお伝えします。
このように、顧客が内覧しても確認できない点を事前に確認しておき、プロとしてアドバイスする必要があります。このような不安を解消することで、この物件を購入してもいいかもと思ってもらえるようになります。
ただ、それ以外にも、顧客によっては購入を決められない理由がある場合があります。
購入を決められない理由はどこにある?
物件はよいと思っても購入に踏み切れない顧客がいる場合、それ以外にどのような懸念事項があるのかを事前に確認しておく必要があります。
しかし、漠然と「なんとなく決められない」と、顧客自身が何に悩んでいるのかが分かっていないことも多いです。
そのため、営業担当者は、顧客に対して傾聴し、質問を繰り返しながら顧客の悩みがどこにあるかを一緒に探していくことが重要です。一番やってはいけないのは、傾聴や質問をせずに物件のセールスや、いま買うべき理由を伝えてしまうことです。
一方的な営業トークを言われると、逆効果で買いたくなくなってしまいます。打合せの8割は顧客に話してもらうというスタンスで、徹底的に顧客の気持ちを理解して分析することに時間を使うことをおすすめします。
顧客は、不動産を購入するために、しっかり勉強をしている方も少なくありません。そういった方たちにお伝えすべきことは、Webサイトや動画では語られていないプロならではの情報です。徹底したヒアリングの上でプロからのアドバイスをすることで、顧客としても「この営業担当者に相談してよかった!」と思ってもらえるようになります。
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