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不動産仲介営業向け!お客様の潜在的ニーズを引き出すヒアリング術

本コラムは不動産賃貸仲介営業における「営業力向上」を目的とした、シリーズコラムです。

第1回から第4回までは、初期対応において顧客満足度を高めるポイントと、LIFULL HOME'Sが不動産会社様向けに提供している「LIFULL HOME'S 接客診断(以下接客診断)」の事例を基に、顧客満足度をあげるために、お客様が求める不動産営業像について考えてきました。

第1回から見る:不動産賃貸仲介業界向け!来店率を高める初期対応の原則とは

第5回は、お客様が求める不動産営業像になるために必要な、具体的な営業スキルについて解説します。まずは、“潜在的ニーズを引き出すヒアリング術”についてです。

本コラムでは、引き続き「顧客視点に立つこと」を意識し、今日から/明日から実践できるイメージを持つこと+相手の立場に寄り添った営業スタイルを身につけましょう。

(参考:LIFULL HOME'S 接客診断について詳しく知りたい方はこちら

目次[非表示]

  1. 1.昨今の不動産業界の現状
  2. 2.お客様の潜在的ニーズを引き出す営業スキル
    1. 2.1.お客様に選ばれる不動産会社・営業担当者になるには
    2. 2.2.自身の営業スタイルを見極める
  3. 3.お客様の潜在ニーズを引き出すトークとは
    1. 3.1.お客様の心をつかむトーク
    2. 3.2.お客様の潜在ニーズを引き出す:欲求レベルをつかむ
    3. 3.3.質問の使い分け
  4. 4.お客様属性別クロージング前の注意事項
  5. 5.お客様の潜在的ニーズを引き出す営業スキルまとめ

昨今の不動産業界の現状

お客様が求める不動産営業像がどういうものかイメージしたうえで、営業スキルに入っていきたいと思います。まず前提として、取り扱い物件でも差別化が難しくなっているのが昨今の不動産賃貸業界です。

フリーレントや仲介手数料半額など、条件面での価格競争は消耗戦になっています。そうなってくると、皆さんが確立していかなければいけないのは、物件以外で、お客様の心をいかにつかむか、です。物件以外というと、その営業力、接客力でしっかりとお客様に選ばれる不動産会社、営業担当者になっていく必要があります。

お客様の潜在的ニーズを引き出す営業スキル

お客様に選ばれる不動産会社・営業担当者になるには

不動産会社の対応で不満だったこととして、よく「契約の意思決定を急かされた」が挙げられます。この「契約の意思決定を急かされた」と思わせている状態は、十分なヒアリングから将来のイメージ共有ができていない証拠です。

そうなると、クロージングも押し付けがましい、悪い印象を与えてしまいます。逆に、良い印象である“選ばれる”とは、最終的にお客様に自発的に選んでいただくことを意味しています。

選ばれる 〇:お客様の意思で選択、納得感のある契約、安心して同意していただく、など
押し付ける ✕:強引に同意を得る、契約させる、 断りづらくする、など

自身の営業スタイルを見極める

下記5つの質問に直感で、はいorいいえで答えてください。

はい、いいえどちらが多いとダメという質問ではありません。皆さんの営業スタイルの傾向を見定める質問になります。

「いいえ」が多かった方→案内人タイプの可能性があります。

例えば、問合せがあった物件に関して案内はするものの、+αの提案ができているか振り返ってみてください。気後れしてなかなかヒアリングできないなど、受け身営業の傾向があります。

「はい」が多かった方→説明型営業タイプの可能性があります。

一方的な説明になっていないか、お客様が欲している情報をお伝えできているか振り返ってみてください。ヒアリングが重要なのは、しっかりとお客様のニーズを把握するためです。十分なヒアリングができていないと、お客様の潜在的なニーズが拾えません。お客様に対して興味を持ち、しっかりとお客様の属性や、ライフスタイルを認識したうえで、情報提供ができると良い印象になります。

お客様の潜在ニーズを引き出すトークとは

上記は、潜在的なニーズを引き出すトークの一例を挙げています。ポイントは、

・感覚的な要望は必ず定量的に落とし込む

例えば「何分でも大丈夫です」といった定量化されていない部分は、必ず突っ込んで聞くようにしてください。その際に意識するのは、事実→考え→感情の流れでヒアリングをしていくことです。「何分ですか」といきなり考えを聞くのではなく、「ちなみに今お住まいの物件は何分ですか」と事実から聞くと、お客様は答えやすくなります。

その他、「ちょっと」や「もう少し」といった感覚的な要望も必ず数値定量的に落とし込みましょう。そうすることで、お客様の潜在的なニーズを引き出しやすいトークにつながります。

事実・考え・感情については第2回を振り返り:事例から学ぶ! 顧客満足度を高める営業手法とは?

お客様の心をつかむトーク

物件以外で、お客様の心をいかにつかむかが重要になってくるとお伝えしましたが、ヒアリングトークで押さえておくべきポイントを6つ解説します。

  • 質問で欲求レベルをつかむ 
  • 質問の使い分け 
  • テストクロージング 
  • 一方的に伝えないこと 
  • 決められない理由を解消する 
  • 思い込みはやめる

お客様の潜在ニーズを引き出す:欲求レベルをつかむ

「契約意思を急かされる」と感じられないように、欲求レベルを確認することが重要です。意識する点は2つです。

  • どの段階なのか把握 
  • 段階に合ったアプローチ

どの段階なのか把握 
お客様の欲求レベルが今どの段階なのかをしっかり把握します。いい物件があれば、住み替えたいな、引越ししたいなといった状態は、まだまだ欲求レベルが低い段階です。そこを高めていくためには、来店の目的、問合せの目的をヒアリングしていくことで、引越ししたい気持ちから、引越ししなくては!という気持ちを醸成していくためのトークになります。


段階にあったアプローチ
①引越ししようか
現在(今の住まいの「不」)から未来(住み替えたい物件の話)へつなげていくと、自然とヒアリングができます。引越しによって今よりももっと充実した生活を送れるイメージを与える会話を心がける

➁引越ししたい
具体的な引越し条件から理由をヒアリングし、他社で気になっている物件があれば 教えてもらうなど、“他社消し” も併せて行う。

③引越しする
本人の決意が固まっていても、意思決定者が別にいる場合もあるため、お客様の環境や状況に対しても質問をして、状況把握をする。

④引越ししなくては
物件が決まっている、または時期が決まっている場合は満足していただけるようにスムーズに紹介から契約まで行う段取りをしておく。

質問の使い分け

質問の使い分けについて参考にしていただきたいポイントをお伝えします。

人間関係に関する質問は比較的しやすいかと思います。

第3回の友好の部分でも出てきましたが、人間関係の話を重ねることで、相互理解が進みます。共通の趣味が見つかったり、休日の過ごし方で共通点を見つけたり、相互理解が進んだりすると友好が積み重ねやすくなります。

とはいえ、皆さんがヒアリングしたいのは、≪ニーズ≫はないでしょうか。

しかし、人間関係が構築されていない状態で、ニーズの質問ばかりしてしまうと、心理的ハードルが高くなり、結果としてヒアリングができないということが起きてしまいます。そのため、人間関係の質問と、ニーズに関する質問というのを使い分けることがポイントになってきます。

お客様属性別クロージング前の注意事項

お客様の属性はさまざまです。クロージング前に注意・確認しておくべき事項をお伝えします。下記図をご覧ください。

例えば、学生であれば、決裁者がご両親の場合があります。また費用負担の面では、仕送りがあるのか、アルバイトで支払うことができるのかといった点を踏まえ、決裁者であるご両親に納得いただく説明ができるかを事前に確認しておく必要があります。カップルや夫婦でお伝えしたい点は、両方の意見必ずくみ取ることです。

よくあるのはどちらか一方の意見だけ聞いてクロージングをしてしまい、契約に至らなかった…ということです。例えば、旦那さんばかりにヒアリング・提案をしていたけれど、決裁権は奥さんだった、などということもあります。

単身の方は、必要書類の準備がすぐにはできなかったりします。初期対応の段階で、契約を早く進めたい場合は必要書類をまずご用意ください、といった情報提供が先にできているとスムーズに進みます。

お子様のいる家族は、生活の中心がお子様になります。お子様が過ごしやすい地域、治安の良い地域であるか、といった点や、保育園や小学校の学区などを気にされる方が多いので、クロージング前にしっかりとヒアリングをしておく必要があります。このあたりも将来のイメージ共有につながるところなので、ぜひ覚えておいてください。

お客様の潜在的ニーズを引き出す営業スキルまとめ

営業スキルとして、いくつかのポイントを挙げてきましたが、そこでキーワードとなっているのが≪潜在的ニーズの引き出し≫です。ではなぜ、お客様の潜在的ニーズを引き出すことが大事なのかというと、顧客満足度が上がりやすくなるからです。顧客満足度が上がることで、成約率の向上だけでなく、リピート獲得や紹介にもつながるため、継続的に業績を伸ばすことができます。

本コラムでお伝えしたヒアリングのポイントを意識し、お客様対応をしてみてはいかがでしょうか。理解するだけでなく、実践にうつすことが大切です。実践を繰り返すことで、よりスムーズに潜在的ニーズを引き出すヒアリングが身につくのではないでしょうか。

一人ではできているかわからない、という場合は、ぜひ周りを巻き込み積極的にフィードバックをもらうようにしましょう。見えていない改善点が見えてくるはずです。

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Business 編集部
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