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賃貸借契約における“覚書”とは?記載内容と作成時のポイント

不動産仲介営業において、顧客との賃貸借契約の仲介を行う際、契約書とともに作成する文書に“覚書(おぼえがき)”があります。

賃貸借契約に関する認識のずれや、賃貸人(オーナー)と賃借人のトラブルを防ぐためには、覚書を作成して保管しておくことが求められます。

ただし、覚書は賃貸借契約書とは役割が異なるため、違いや記載内容について理解を深めておくことが重要です。

この記事では、賃貸借契約の際に作成する覚書の記載内容や作成時のポイントについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.覚書とは
  2. 2.賃貸借契約の覚書に記載する内容
    1. 2.1.①表題
    2. 2.2.②前文
    3. 2.3.③合意内容
    4. 2.4.④署名・捺印・日付
  3. 3.覚書を作成する際のポイント
    1. 3.1.①合意内容を明確に示す
    2. 3.2.②合意事項の確認項目を入れる
  4. 4.まとめ

覚書とは

覚書とは、契約者の双方が合意のうえで契約を締結したことを証明する書面です。賃貸借契約においては、契約書に付随する文書として用いられます。相手との取決め内容を記録することで、双方の認識の齟齬(そご)を防ぐ役割があります。

また、賃料の値上げや賃貸人の変更など、過去に締結した賃貸借契約書の内容を変更する際にも、変更箇所のみを記載した覚書を作成することが一般的です。

覚書は、名称だけで見ると契約書ではありませんが、賃貸借契約書と同様に法的効力を持つ書面とされています。

不動産仲介営業を行う際は、賃貸借契約書の作成に加えて、契約者間の取り決め内容や変更内容を記載した覚書を作成して、契約上のトラブルを防ぐことが重要です。

覚書と賃貸借契約書の違いは以下のとおりです。

▼覚書と賃貸借契約書の違い


会社設立費用
会社設立費用
作成ケース
  • 賃貸借契約の締結時
  • 契約内容の変更時
賃貸借契約の締結時
役割
  • 契約者同士の合意確認
  • 契約内容の変更
  • 契約内容・条件の証明
  • 取引の円滑化
法的効力
あり
あり

賃貸借契約の覚書に記載する内容

賃貸借契約の覚書を作成する際は、主に次の内容を盛り込む必要があります。ここでは、例とともに4つの内容を紹介します。

 ①   表題
 ②   前文
 ③   合意内容
 ④   署名・捺印・日付


①表題

書面の最上部には、表題(タイトル)をつけます。表題は、簡潔に記載することもできますが、何についての覚書かを明確に示すのが望ましいといえます。

表題のつけ方の例は以下のとおりです。

▼表題の例

  • 覚書
  • 賃貸借契約に関する覚書
  • 賃貸借契約についての覚書 など


②前文

表題の下には、合意内容を明確に示すために、“いつ・誰が・何の契約で合意をしたのか”という概要を前文に記載します。

前文に記載する内容と記載例は以下のとおりです。

▼前文の項目・内容例

項目
内容
契約の当事者
  • 甲:○○不動産株式会社
  • 乙:東京 花子
契約締結年月日
2022年11月20日
賃貸借契約の内容
賃借人の名義変更
合意内容
契約時の補足内容や変更内容

▼記載例

甲:○○不動産株式会社と、乙:東京 花子は、両当事者間で締結された2022年11月20日付の賃貸借契約に関して、以下のとおり合意する。


③合意内容

覚書には、合意に至った内容を具体的に記載する必要があります。契約時や、契約締結後に契約内容に変更がある場合など、内容に応じて合意内容を記載します。

記載内容と例は以下のとおりです。

▼記載内容例

項目
記載例
賃借人の名義
名義人を現行の○○から新規の△△に変更する
契約条件
  • 現行のとおりとする
  • 保証金は、新規名義人の△△に引き継ぐ
契約期間
  • 現行と同一の5年間とする
  • 契約期間満了後は自動更新とする
変更の効力発生日
前条の△△の変更は、○年○月○日より適用する


④署名・捺印・日付

覚書の最後には、当事者の署名・捺印欄を設けて、署名・捺印した日付を記載します。

契約者の署名・捺印欄は、覚書に法的効力を持たせるために必要な項目です。契約者が法人の場合には、法人名と会社の住所、代表取締役の氏名を記載します。

▼記載例

日付:2022年12月10日

甲)住所:東京都 ○○ ○○…

 ○○不動産株式会社 代表○○ ○○(氏名) 【印】


乙:住所:東京都 △△ △△…

 東京 花子 【印】

なお、覚書は2部作成して、契約者本人がそれぞれ署名・捺印を行い、一通ずつ保管しておくようにします。

覚書を作成する際のポイント

賃貸借契約の覚書を作成する際は、文言の記載方法に気をつける必要があります。ここからは、覚書を作成する際のポイントについて解説します。


①合意内容を明確に示す

契約者間で齟齬が生じないようにするために、合意内容を明確に記載することが重要です。

甲と乙といった当事者を明確に示すとともに、誰が読んでも理解できるように具体性を持たせることがポイントです。

▼具体例

  • 甲を○○不動産株式会社とする、乙を東京 花子とする
  • 賃貸借契約に定める賃借人○○を△△に変更する
  • 契約期間は5年間とし、契約期間満了後には再更新について協議する



②合意事項の確認項目を入れる

覚書には、契約者間で定めた合意事項を確認したとする項目を追加することも重要なポイントです。

覚書の作成に関して合意を得ていない場合には、相手に不信感を与えたり、契約後にトラブルにつながったりするおそれがあります。

以下のような事項を設けることで、当事者間の合意のもと、覚書が作成・締結されたことを証明できるようになります。

▼合意事項の記載例

本覚書の記載内容について相違がないことを確認し、甲乙合意するものとする


まとめ

この記事では、賃貸借契約の覚書について以下の内容を解説しました。

  • 覚書とは
  • 賃貸借契約の覚書に記載する内容
  • 覚書を作成する際のポイント

賃貸借契約における覚書は、賃貸借契約書に付随する文書として作成され、契約者の双方が合意したことを証明する役割を持ちます。

不動産仲介会社では、契約者間の認識の齟齬をなくしてトラブルを防ぐために、契約時の取り決め内容や、変更内容を記載した覚書を作成しておくことが重要です。

賃貸借契約書については、こちらの記事でも解説しています。
 ≫ 賃貸借契約書を交わしたあとに家賃変更はできる?

なお、不動産仲介業における反響営業については、こちらの記事をご確認ください。
 ≫ 不動産の反響営業とは? メリットや手法、コツなどを解説


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