不動産取引における媒介・仲介の違いとは?特徴と媒介契約の3つの種類を解説
不動産仲介業における代表的な取引として“媒介”と“仲介”があります。いずれも契約者間の取引を成立させることを指しますが、不動産用語においては、両者は区別して扱われています。
不動産仲介業に携わっている担当者のなかには、媒介と仲介の定義や違いについて詳しく理解したいという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、不動産仲介業における媒介と仲介の定義をはじめ、両者の違い、媒介契約の3つの種類について解説します。
媒介と仲介の違い
不動産取引の媒介と仲介は、不動産用語として使用されるケースが異なります。
媒介とは
媒介とは、契約者間の取引・交渉を仲立ちすることを指しており、宅地建物取引業法の用語として使用されています。
また、媒介契約とは、不動産売買や賃貸借の取引において、不動産会社と売主・貸主が契約を締結することを指します。
媒介契約を締結した不動産会社は、売主・貸主の要望を踏まえて、買主・借主を探して取引を成立させるための販売活動やサポートを行います。
仲介とは
仲介とは、2者間の仲立ちをして取引・交渉を行うことです。
不動産取引においては、売主・貸主または買主・借主からの依頼を受けて、売買契約や賃貸借契約の取引を仲立ちすることを指します。
主に売主・貸主または買主・借主が、不動産取引のサポートを不動産会社に依頼する際に用いられています。
両者の違い
媒介は、売主・貸主と媒介契約を結んだ物件を扱うのに対して、仲介は、当事者いずれかの依頼を受けて契約締結をサポートするといった広域的な意味合いがあります。つまり、媒介契約は仲介の一部に含まれるということになります。
不動産取引における両者の例としては、以下が挙げられます。
▼不動産取引の例
項目 |
詳細 |
---|---|
媒介 |
|
仲介 |
|
いずれの場合も、契約が成立した際には、媒介契約を交わした売主・貸主、または仲介を依頼された人から、成果報酬として仲介手数料を受け取ることが可能です。
媒介契約の3つの種類
不動産会社が売主・貸主と交わす媒介契約には、3つの種類があります。
売主・貸主による自己発見取引の可否や契約期間、レインズへの登録義務、業務の報告義務などが異なるため注意が必要です。
①一般媒介
一般媒介とは、売主・貸主が複数の不動産会社と媒介契約を交わす方法です。
▼一般媒介契約の特徴
項目 |
詳細 |
---|---|
不動産会社の複数契約 |
可 |
自己発見取引 |
可 |
媒介契約期間 |
指定なし |
レインズへの登録義務 |
なし(任意) |
報告義務 |
なし(任意) |
一般媒介契約を交わすと、複数の不動産会社で一斉に販売活動を行うため、競争性が高まり、より好条件かつスピーディな契約へとつながりやすくなります。
ただし、ほかの不動産会社や売主・貸主が、取引相手となる買主・借主を見つけた場合には、仲介手数料は得られません。
②専任媒介
専任媒介とは、売主・貸主が一社の不動産会社のみと媒介契約を交わす方法です。
▼専任媒介契約の特徴
項目 |
詳細 |
---|---|
不動産会社の複数契約 |
不可 |
自己発見取引 |
可 |
媒介契約期間 |
最長3ヶ月 |
レインズへの登録義務 |
あり(7日以内) |
報告義務 |
あり(2週間に1回以上) |
自社のみで販売活動を行えるため、競合他社に買主・借主を先に見つけられてしまうことを防げます。
ただし、専任媒介では媒介契約期間が定められているため、契約期間満了までに取引成立できなかった場合には、契約終了あるいは再契約が必要となります。
③専属専任媒介
専属専任媒介とは、一社の不動産会社のみと媒介契約を交わして、なおかつ売主・貸主による自己発見取引もできない契約方法です。
▼専属専任媒介の特徴
項目 |
詳細 |
---|---|
不動産会社の複数契約 |
不可 |
自己発見取引 |
不可 |
媒介契約期間 |
最長3ヶ月 |
レインズへの登録義務 |
あり(5日以内) |
報告義務 |
あり(1週間に1回以上) |
専任媒介よりも不動産会社への依存度が高くなるため、競合他社に先決されたり、売主・貸主が直接取引したりするのを防げます。
ただし、専任媒介と同様、一定の媒介契約期間が定められており、期間満了後は契約終了か再契約が必要です。また、報告義務やレインズへの登録義務については、専任媒介よりも厳しく規定されています。
まとめ
この記事では、不動産取引における媒介と仲介について、以下の内容を解説しました。
- 媒介と仲介の定義
- 媒介と仲介の違い
- 媒介契約の3つの種類
媒介と仲介は、契約の当事者同士の間に入り、売買契約または賃貸借契約を仲立ちする点では同じ意味がありますが、使用される取引のケースが異なります。
仲介は、売主・貸主または買主・借主の依頼を受けて、売買・賃貸借契約の締結をサポートします。一方の媒介は、不動産売却を希望する売主・貸主と媒介契約を交わして、特定の物件に対して販売活動を行ったり、買主・借主との取引を成立させるサポートを行ったりすることです。仲介のほうが広域的な意味合いを持ち、媒介契約は仲介の一部であると考えられます。
また、売主と交わす媒介契約には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類あり、それぞれ自己発見取引の可否やレインズへの登録義務などが異なります。
不動産仲介業務を行う際は、媒介と仲介の意味を理解したうえで、依頼者が希望する取引をサポートすることが大切です。
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なお、売買契約を締結するポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。