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【宅建業法改正】インスペクション説明の義務化とメリット・デメリット

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近年、少子高齢化に伴う空き家の増加を背景に、建て替えやリフォームなどによる既存住宅の活用が推進されています。

そうしたなか、既存住宅の売買においては、劣化状況や性能について不安を抱える人もいることから、“インスペクション”と呼ばれる専門家による住宅検査のニーズが高まっています。

不動産仲介会社では、既存住宅の売買を行う顧客に対して、インスペクション制度について説明することが義務化されています。

契約者同士が安心して取引を行い、引き渡し後のトラブルを防ぐためにも、義務化に関する法律や、メリット・デメリットを理解しておくことが重要です。

本記事では、インスペクション説明の義務化の内容と、インスペクション説明を実施するメリット・デメリットを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.インスペクション説明の義務化とは
  2. 2.インスペクション説明の義務
    1. 2.1.①あっせん可否の告知
    2. 2.2.②重要事項説明の追加
    3. 2.3.③契約書面(37条書面)への記載
  3. 3.インスペクション説明を実施するメリット・デメリット
    1. 3.1.売主側
    2. 3.2.買主側
    3. 3.3.不動産仲介会社側
  4. 4.まとめ

インスペクション説明の義務化とは

2018年4月1日の宅地建物取引業法の改正によって、不動産仲介会社に対するインスペクション説明が義務化されました。

インスペクション(建物状況調査)では、専門的な知見を有する人が、建物の劣化や不具合の状況について、目視・計測などによって調査を行います。ホームインスペクションとも呼ばれることもあります。

既存住宅の売買において、買主は住宅の質や性能について不安を抱えています。実際に、売買時に建物の品質・状態について確認せずに取引を行い、引き渡し後にシロアリ被害や雨漏りなどの瑕疵(かし)が発見されてトラブルに至ったケースも存在します。

瑕疵トラブルを防ぎ、売主・買主が安心して取引できるようにするには、売買契約締結前にインスペクションの活用を促す必要があります。

このような背景から、法改正によってインスペクションについての新たな義務が設けられました。

不動産仲介会社が既存住宅の売買仲介を行う際は、売主または買主に対してインスペクション制度の説明と、希望者へのあっせんを行う必要があります。

なお、インスペクションを実施する対象となる範囲は以下のとおりです。

▼インスペクションの対象部位の例

画像引用元:国土交通省『改正宅地建物取引業法の施行について

(出典:国土交通省『改正宅地建物取引業法の施行について』『既存住宅インスペクション・ガイドライン』)

インスペクション説明の義務

不動産仲介会社に対して義務づけられたインスペクション説明では、以下の3つの項目を実施する必要があります。


①あっせん可否の告知

媒介契約の締結時には、売主・買主に対してインスペクション制度を説明して、実施事業者をあっせんできるかどうかについて告知することが必要です。

事業者のあっせんを行う場合は、希望者に対して媒介契約書面にあっせんの有無を記載して、実施事業者の情報提供を行います。

また、売主・買主が実施事業者と円滑にやり取りができるように、不動産仲介会社が事業者を手配することも求められます。

なお、買主側に実施事業者をあっせんする場合は、売主に対してインスペクションの承諾を得なければなりません。

(参照:国土交通省『改正宅地建物取引業法の施行について』)


②重要事項説明の追加

不動産仲介会社は、重要事項説明書にインスペクションに関する内容を記載して、買主に対して説明を行う義務があります。

重要事項説明書に追加する項目は以下のとおりです。

▼重要事項説明書に追加する項目

  • インスペクション実施の有無
  • インスペクションの結果の概要
  • 建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存状況

これらのうち、“建物の建築・維持保全の状況に関する書類”については、新築時の検査済証や既存住宅性能評価書、耐震基準適合証明書などが該当します。

(参照:国土交通省『改正宅地建物取引業法の施行について』)


③契約書面(37条書面)への記載

不動産売買契約時に交付する契約書面(37条書面)には、建物の構造耐力上主要な部分の状況について、当事者の双方が確認したことを記載する義務があります。

売主・買主の双方が既存住宅の品質・状態について事前に確認したうえで契約を交わすことで、円滑な取引とトラブルの防止につながります。

なお、インスペクションを実施しない場合には、建物の構造耐力上主要な部分の状況について、双方が確認した事項は“なし”と記載することが必要です。

(参照:国土交通省『改正宅地建物取引業法の施行について』)

インスペクション説明を実施するメリット・デメリット

インスペクションの説明が義務化されることで、どのような影響があるのでしょうか。ここでは、売主・買主・不動産仲介会社のメリット・デメリットについて解説します。


売主側

売主側のメリット・デメリットには以下があります。

項目
メリット
デメリット
内容
  • 瑕疵担保責任に関するリスクを回避できる
  • 品質・性能についての証明・アピールができる
  • 高額な補修費が必要になる可能性がある
  • 実施費用の負担がある(売主が負担する場合)
  • 調査範囲や補修内容によっては時間がかかる


買主側

買主側には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

項目
メリット
デメリット
内容
  • 引き渡し後のトラブルを防止できる
  • 建物の状態を確認してから取引するため安心感がある
  • 購入後の補修やリフォームなどの計画を立てやすい
  • 買主側の費用負担が発生する場合がある
  • インスペクションを実施している間に他者に物件を購入される可能性がある


不動産仲介会社側

不動産仲介会社にとっても、インスペクション説明の義務化によるメリット・デメリットがあります。

項目
メリット
デメリット
内容
  • 既存住宅の売買市場が活性化して、売り上げ向上が期待できる
  • 引き渡し後のクレームを防止できる
  • 信頼や安心感につながり、顧客の満足度が向上する
  • インスペクションの結果に応じた価格交渉が行いやすくなる
  • 実施事業者の手配や日程調整などに手間がかかる
  • 結果によっては取引が中止になる可能性がある

まとめ

この記事では、インスペクション説明の義務化について、以下の内容を解説しました。

  • インスペクション説明の義務化について
  • 不動産仲介会社に対する義務
  • インスペクション説明を実施するメリット・デメリット

既存住宅の売買を円滑に行い、引き渡し後の瑕疵トラブルを防ぐために、法改正によって不動産仲介会社にインスペクション説明が義務づけられました。

売買取引の仲介を行う際は、媒介契約時や重要事項説明時、売買契約時にインスペクション説明を行うことが求められます。

義務化によって、インスペクションの実施促進や瑕疵をめぐるトラブル回避につながることが期待できるため、売主・買主・不動産仲介会社にとってもメリットがあると考えられます。

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なお、不動産業に関する賃貸住宅管理業法については、こちらの記事で解説しています。併せてご一読ください。

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