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売却物件の獲得方法と売主との関係構築方法

はじめまして。南総合研究所の南と申します。

今回は、売買仲介会社における最新の売却物件の獲得方法をご紹介します。なによりも、エンドユーザー向けの不動産仲介会社にとって、一番重要なことは、「売物件の獲得」です。売物件を獲得することで、広告掲載を実施でき、購入検討者の反響を獲得することもできますし、当然、売却することができれば、手数料として収益を得ることができます。多くの不動産会社が、「購入検討ユーザーの獲得」よりも「売却物件の獲得」を優先していますが、今後もこの流れは続いていくでしょう。

私自身、これまで複数の不動産会社の売却物件獲得の活動をお手伝いしてきました。昔は、チラシ投函や紹介獲得のみでしたが、ここ数年の売却物件の獲得方法は、大きく変化しています。不動産会社によっては、最近のマーケティング手法を取り入れ、うまく案件獲得ができているところもあります。

そこで、今回は売却物件の獲得方法をまとめてみたいと思います。どの方法を選択するかは、その会社次第ですが、まず売却物件獲得の手法を網羅的に理解していただき、そのなかから「どのカードを切るべきか」を選択していただければと思います。

また、実際に「売却物件を獲得した後の売主とのコミニュケーション方法」もお伝えします。実際に商談に至ったものの、他社を優先されてしまった、また売却検討者が売りに出すのをやめてしまった、そうしたケースも多くあります。実際に、商談成功率が高い営業メンバーとそうでない営業メンバーでは、やはり具体的なコミニュケーションの取り方に差があるのも事実です。このあたりの売却検討者とのコミニュケーションについての注意点もまとめてみたいと思います。

売却物件の獲得方法として、以下の方法があげられます。

チラシ投函
査定ポータルサイトの登録
自社査定サイトからの獲得
LPなどの自社サイトからの獲得
SNSツールを駆使した獲得
紹介からの獲得


​​​​​​​1.チラシ投函

先程の述べたように物件獲得において、以前はチラシ投函が多くの不動産会社のなかで主流の方法でした。しかし、最近では大手不動産会社をはじめ、チラシ投函をやめる会社も多く、WEBマーケティングを駆使して売却物件を獲得する不動産会社が増加しています。広告効果の観点からも、チラシ一本で売却獲得を図るのは、なかなか難易度が高いかもしれません。

ただ、興味深いのは「獲得効果の高いチラシ」と「獲得効果の低いチラシ」に、明確な差があることです。「効果的なチラシ」は、

  • わかりやすい自社の営業活動の強みを3点ほど打ち出している
  • 不動産会社の詳細情報が見える化できている
  • 担当者のプロフィールが記載されている
  • デザインに品がある

このあたりをおさえているチラシが、売却物件獲得効果の高いチラシになります。

「自社の営業活動の強み」というところでは、たとえば地域密着の強みであることやスピーディーな対応などを、わかりやすくしっかり打ち出していること。また「不動産会社の見える化」では、店舗の所在地や、スタッフの人数など不動産会社の中身を打ち出していること。そして「担当者のプロフィール」をしっかりと記載していることが重要になります。

「デザインに品がある」というところは、!マークを多用しないようにしたり、チラシの文字を必要以上に大きくしないようにし、すっきりとしたデザインを心がけたほうが良いでしょう。

2.査定ポータルサイトの登録

査定ポータルサイトは、獲得単価はそれなりに高いものの、獲得するパターンを身につけておくことで、効果的に売却物件を獲得することができます。

重要なポイントとして、

  • 迅速な返信対応
  • 充実したテンプレート(上記のチラシと同様にいかに会社の強みをアピールできるか)
  • ロジカルな査定回答

が、該当します。

特にロジカルな査定回答では、競合物件の価格、成約事例をどこまでわかりやすく提示して説得感を持たせるか、が重要になります。多くの査定ツールもありますので、いろいろ調べて導入を検討してみても良いでしょう。

この1、2の方法よりも、より高い確度で売却物件を獲得できる方法が、

3.自社査定サイトからの獲得
4.LPなどの自社サイトからの獲得
5.SNSツールを駆使した獲得

になります。いずれも自社独自のサービスになりますね。獲得の母数を伸ばすことは、難しいですが、一旦、ある程度の母数を獲得すると非常に強い武器になります。当然のことながら、自社のサービスサイトやLPを立ち上げたら、それで「完了」というわけにはいきません。

5のSNSでの周知を徹底し、3や4の自社サイトに誘導していく。または、リスティング広告などに予算を充てることが重要になります。

SNSで売却物件を獲得している不動産会社の一例をご紹介すると、Instagramでの定期的に物件の売却方法など発信をし、その後、LINEでのコミニュケーションから定期的な情報配信を行います。またそこから、売却検討者には、オンラインでの相談会の実施などを実施し、確度の高い顧客化を目指しています。

またオウンドメディアなどを立ち上げ、物件売却のノウハウなどを記事化し、定期的に発信することで、さらなる見込み顧客の獲得を図っています。そして、見込み顧客は、しっかりとリスト化し、定期的なメルマガの配信などを行い、顧客接点を維持し続けるような取り組みを行います。

このように自社独自の売却検討者の顧客獲得は、今やひとつのサイトを立ち上げるだけではなく、SNSやオウンドメディアを駆使した「WEBマーケティング」の要素が重要になってきています。実際に、このあたりのさまざまなツールを駆使して、売却物件を獲得している不動産会社は、まだそこまで多くは存在していません。

しかし、しっかりと獲得戦略を組み、総合的な集客施策を行うと大きな効果が生まれますので、社内で検討してみても良いかもしれません。とはいえ、実際に社内でなかなかそうしたノウハウが無い不動産会社も多いでしょう。

そうした会社は、専門の方の意見を聞いてみても良いかもしれません。マーケティング専門の方の話を聞くだけで、多くの物件獲得のヒントを得ることができます。

ちなみに、興味深いのは、こうした「自社サイトや自社査定サイト、またSNSツールを使った獲得方法」でも重要なポイントは、上記チラシのポイントの

  • わかりやすい営業の強みを3点ほど打ち出している
  • 不動産会社が見える化できている

になります。売却物件の獲得のキモとなる部分は、時代を経てもあまり変わらないかもしれません。一般の売却検討の方は、とにかく「信頼できる不動産会社」であるかどうかをとても重視しています。情報発信をしながら、しっかりと自社の特徴を打ち出すことを忘れてはいけません。


6.紹介からの獲得

これまで取引のあったエンドユーザーからの紹介、そして士業の方からの紹介も大きな売却物件獲得の手法になります。強い不動産会社は、強力な紹介ルートを持っています。重要なことは、

  • ユーザーの定期的なアプローチ
  • 士業、金融機関の方との中長期的な関係構築

になります。
ユーザーとは、定期的にアプローチをし続けることを忘れてはいけません。当然のことながら、ユーザーが「知り合いを紹介できる状態」になるためには、その間口を作っておく必要があります。取引のあったユーザーにメルマガの配信や、定期的なコミニュケーションをし続ける(しつこくしない程度に)ことが重要になります。

またお知り合いの士業の方も、かなり重要な紹介顧客になり得ますので、定期的にコミニュケーションを取っておいたほうが良いでしょう。

以上が主流となる売却物件の獲得方法になります。ひとつひとつは、とても細かく奥が深いので、説明しきれていないところもありますが、まず、「どの方法で獲得するのか」をしっかりと社内で検討していくことが重要になります。

とはいえ、上記に述べたように反響を獲得した後でも、実際の商談で売却をお願いされないこともあります。

高い確率で専任獲得できている営業メンバーとそうではない営業メンバーの違いは、

  • 顧客と売却後のイメージを共有できているか
  • 提案内容が起承転結になっているか
  • 課題のヒアリングとその解決方法は準備できているか
  • テストクロージングがされているか

このあたりが違いになります。
 
▼顧客と売却後のイメージを共有できているか
売却物件を獲得したいがために、いきなり売り出し価格の話をすると、顧客は不安になってしまいます。売却理由をしっかりとヒアリングし、そして売却後の資金状態や生活状態をお互いに共有することで「売却検討者とゴール設定」ができます。逆に言えば、下限の売却価格の情報もこのヒアリングによりキャッチすることができるので、戦略的に売却計画を立てることができます。

▼提案内容が起承転結になっているか
物件の内覧に行って、なんとなく商談を始めて・・・、ではなく、事前にトークスクリプトを立てることで、商談をコントロールすることができます。商談のヒアリングシートと共に、「レジュメ」を作成することで、商談に「締まり」が生まれます。

▼課題のヒアリングとその解決方法は準備できているか
売却検討者の方の共通の悩みとして「売却時期」「売却後の住まい」「手続き方法」、そして当然のことながら「売却価格の妥当性」が挙げられます。このあたりを「ヒアリングして、そこで初めて考察して提案する」のではなく、「事前に懸念事項を想定しておいて、解決方法を準備しておく」ことで、一気に信頼が高まります。事前資料だけでなく、想定される課題に対しての回答を準備することで、他社との違いを打ち出すことができます。

▼テストクロージングがされているか
専任を取るために、いきなりクロージングをするよりも「〇〇の条件でしたら専任で任せて頂くことはできますか?」のようなテストクロージングを実施することも重要です。このあたりのタイミングを間違えてしまうと不信感を与えてしまうので、しっかりとヒアリングをしたうえで、条件の整理を行い、テストクロージングをすることが重要です。


以上のように売却物件獲得の手法と面談での注意点をまとめてみました。

特に獲得手法は、よりマーケティングの要素が強くなっています。しっかりと時流に乗った対策を打たなければいけません。そして商談では、何よりも「準備」が重要になります。改めて自社の獲得フローを見直し、商談時の準備をしっかりと整えていただければと思います。

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株式会社南総合研究所 南 智仁
株式会社南総合研究所 南 智仁
1978年生まれ。不動産会社に勤務後、大手ポータルサイトに入社。退社後、株式会社南総合研究所を2018年に設立。大手から中小不動産会社様向けに幅広くコンサルタント支援を実施。支援業務として、経営戦略の策定から実行支援。またクライアント独自の不動産業務改善、オリジナル研修等を提供。特に賃貸仲介業の売上向上支援や賃貸管理業務の生産性向上支援は、クライアントから高い評価を得ている。

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