入居説明会の進め方|管理会社が伝えるべき4つのポイントと3つのツール

入居説明会(入居時オリエンテーション)は、入居後のトラブルや困り事を減らすために、管理会社が入居者に対して実施すべき重要な業務です。しかし、実際には「説明したつもり」の内容が入居者に十分伝わらず、結果として問合せや対応の手間が増えてしまうケースも少なくありません。
この記事では、入居説明会に関して管理会社が必ず押さえておきたいポイントと、説明を確実に伝えるための実践的なツールを解説します。
入居者満足度を高めながら管理業務の効率化を図りたい不動産管理会社の方は、ぜひ参考にしてください。
入居説明会(入居時オリエンテーション)とは?
入居説明会とは、入居後のトラブルを防ぎ、問合せを減らすために、管理会社が入居者に事前説明を行う場です。単なる契約手続きの説明ではなく、入居後の管理業務を円滑に進めるための重要な初期対応といえます。
入居説明会では、入居のしおりなどを活用してさまざまなリスクを説明し、認識をそろえることに努めます。
入居説明会(入居時オリエンテーション)を実施する理由
入居後のトラブルの多くが「事前の説明不足」から生じています。入居者は初めてその物件に住むということもあり、管理会社としては説明したつもりでも、実際には十分に伝わっていないケースが少なくありません。
こうした認識の違いは、次のような場面で表面化しやすくなります。
- 生活音やゴミ出しなど、日常ルールに関する問合せが増える
- 「聞いていない」「知らなかった」という説明不足の指摘が出る
- 契約内容の受け取り方をめぐり、管理会社と入居者の認識がずれる
- 解約や退去時に、条件や費用をめぐる行き違いが生じる
入居説明会は、管理会社と入居者の間のこうした認識の違いを入居時点で防ぐための貴重な機会といえるでしょう。
入居説明会(入居時オリエンテーション)で管理会社が必ず伝えるべき4つのポイント
入居後トラブルを減らすには、入居時に「何を」「どこまで」伝えるかが重要です。ここでは、入居説明会で管理会社が必ず伝えるべき4つのポイントを解説します。
設備トラブルや緊急時の対応に関するポイント
入居後に発生しやすい設備不良や緊急時の連絡については、連絡先と対応範囲を明確に共有することが重要です。初動対応が遅れると、入居者が自己判断で専門会社を手配し、費用負担をめぐる行き違いに発展する可能性があります。
具体的には、水漏れや給湯器の不具合、鍵のトラブルが起きた際は、管理会社または指定の緊急対応窓口に連絡するルールを入居時に周知しましょう。併せて、対応可能な時間帯や曜日、対応外となるケース、営業時間外や休日の連絡先も必ず共有します。
また、入居者による自己手配は原則として認められないことを伝えておくことで、後日の精算トラブルを防げます。「入居のしおり」にトラブル時の連絡手順を図で整理して掲載しておくと、説明内容を理解してもらいやすいでしょう。
入居後のトラブルにつながりやすい生活面のポイント
生活面の説明で重要なのは、抽象的な注意ではなく具体例で伝えることです。「禁止」とだけ伝えても行動がイメージできなければ、認識のズレが残りやすくなります。
特に伝えておきたい内容は、次のとおりです。
- 生活音に関する注意点洗濯機や掃除機の夜間使用など、音が出やすい行動を時間帯と併せて具体的に示します。
- ゴミ出し分別ルール分別方法・収集日・指定場所を明確に伝え、自己判断を防ぎます。
- 共用部の使い方廊下・エントランス・駐輪場などについて、放置や私物設置などのNG行動例を挙げて説明します。
また、トラブルが起きた場合は入居者同士で直接話し合わず、必ず管理会社に連絡することを伝えておくことも重要です。事前に窓口を明確にしておけば、感情的な言い合いを防げます。
契約内容と禁止事項に関する重要ポイント
誤解されやすい契約条項については、入居時にあらためて重点的に確認しておくことが重要です。契約書に記載されていても、内容が正しく理解されていないケースが少なくないためです。
特に次の項目は、口頭説明と資料の両方で丁寧に伝えましょう。
- ペット飼育の可否や条件
- 室内・共用部での喫煙ルール
- 転貸や第三者使用の禁止
- 住居以外での用途制限
併せて、違反があった場合には、次のような対応を行う可能性があることも事前に共有しておくことが大切です。
- 是正指導が行われること
- 原状回復や追加費用の負担が生じる可能性があること
- 内容や状況によっては契約解除に至る場合があること
さらに、内容によっては管理会社だけで判断できず、貸主に確認したうえで対応する場合があることもあらかじめ伝えておくと安心です。
解約や退去時にトラブルになりやすい手続きのポイント
解約や退去の手続きについても、入居時にあらかじめ説明しておくことが大切です。伝えるタイミングが遅れるほど行き違いが起きやすく、管理会社の対応負担が大きくなります。
入居説明会では、次のような点を必ず伝えておきましょう。
- いつまでに解約の連絡が必要か
- 違約金が発生する条件があるか
- フリーレントを利用した場合、返還が必要になるケースがあるか
また、原状回復については国土交通省のガイドラインを基に、「どこまでが入居者の負担で、どこからが貸主の負担になるのか」という考え方を共有しておくことが重要です。
さらに、退去時に立ち会いを行うかどうか、敷金の精算がいつ頃になるのかといった流れも伝えておくと安心につながります。
入居説明会(入居時オリエンテーション)で活用したい3つの伝達ツール

入居時の説明を確実に伝えるには、口頭だけに頼らず、伝達手段を工夫することが重要です。ここでは、入居者の理解度を高め、説明内容の行き違いを防ぐために有効な3つの伝達ツールを紹介します。
動画やQRコードを活用した入居時説明ツール
設備の使い方や緊急時の対応は、文章だけで伝えるよりも動画のほうが理解されやすい傾向があります。操作手順や連絡の流れを視覚的に確認できれば、実際の場面でも迷わず行動しやすくなるでしょう。
たとえば、給湯器の操作方法や止水栓の位置、水漏れ発生時の初動対応などを短い動画にまとめてアップロードし、入居のしおりにそれぞれの動画をひもづけたQRコードを掲載します。入居者は必要なタイミングでスマートフォンから確認できるため、聞き逃しによる問合せを防ぎやすくなります。
説明内容を動画で統一すれば、担当者ごとのばらつきも起こりません。結果として、同じ内容の問合せ対応が減り、管理業務全体の効率化につながります。
紙とデジタルを併用した入居のしおり・説明資料ツール
入居のしおりは、紙だけでなくデジタルでも提供することで効果が高まります。それぞれに役割を持たせて活用することがポイントです。
- 紙:入居時にその場で確認してもらうための資料
- デジタル:入居後に必要なタイミングで確認するための資料
紙のしおりは入居時に目を通してもらいやすい一方で、入居後は適切に保管されずに紛失してしまうケースも少なくありません。そこで、紙のしおりに加え、詳しい内容を確認できるPDFなどのデジタル資料を併用すると、入居者が後から必要に応じて検索・確認できるため、説明内容の見落としを防ぎやすくなります。
また、説明内容を資料として残しておくことは、管理会社が事前に説明を行ったことを示す記録にもなります。
「理解度チェック表」による確認・記録ツール
説明内容を確実に伝えるためには、入居者がどこまで理解したかを確認する仕組みが欠かせません。理解度チェック表を活用すれば、次のような内容を項目ごとに整理し「確認した事項」として署名をもらうことができます。
- 設備トラブル時の対応
- 生活ルール
- 契約内容
- 解約時の手続き
これにより、「聞いていない」「知らなかった」といった認識の行き違いを事前に防ぎやすくなります。
理解度チェック表は、管理会社と入居者の認識をそろえ、説明内容を記録として残すための有効なツールです。
まとめ
入居説明会の成果は、伝え方によって大きく左右されます。動画やQRコード、紙とデジタルを併用した入居のしおり、理解度チェック表を取り入れることで、説明の抜けや伝え漏れを防ぎやすくなります。その結果、同じ内容の問合せが減り、管理業務の負担軽減にもつながります。
さらに、入居時に緊急時の連絡先や対応ルールまで含めて周知しておくことで入居者の安心感が高まり、管理品質の向上も期待できるでしょう。









