不動産営業の属人化を防ぐには? ノウハウを蓄積する仕組みづくり
不動産営業の仕事は業務範囲が多岐にわたるため、知らず知らずのうちにその人がいなければ業務が回らないといった「属人化」に陥る恐れがあります。事業を成長させていくためには、属人化の課題と向き合っていかなければ、業務のさまざまな場面で支障が出る可能性があるので注意しましょう。
働き方や業務効率の見直しを図っていくためには、業務の属人化を解消することによって、どのようなメリットが得られるのかをよく理解しておく必要があります。この記事では、不動産営業における属人化の防止や、業務のノウハウを蓄積していく仕組みづくりを解説します。
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目次[非表示]
- 1.業務が属人化することの問題点
- 2.不動産営業が属人化してしまう原因
- 3.属人化を防ぐことで得られるメリット
- 3.1.従業員のモチベーションが高められる
- 3.2.従業員の専門性が磨かれる
- 3.3.チームとしての力が増して、顧客からの信頼につながる
- 4.業務を属人化しないための方法
- 4.1.業務フローの見直し
- 4.2.業務の標準化、マニュアル化、ITツールの導入
- 4.3.業務を分散化する
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業務が属人化することの問題点
業務の属人化において気をつけなければならないことは、すぐに問題が生じるわけではないという点です。現状はうまく組織が回っているように見えても、実は特定の部署や従業員に過度な負担がかかっているケースもあるでしょう。
ここでは、業務が属人化することによって、どのような問題が発生してしまうのかを解説します。
業務の引き継ぎに支障が出てしまう
業務の属人化が進んでしまうと、業務の引き継ぎに支障が出てしまうことがあります。たとえば、担当者が名刺を個別で管理していたり、担当者ごとに別々のExcelファイルで情報を管理したりしているときなどが挙げられます。
特定の担当者からしか顧客に連絡ができない状態になってしまうと、その担当者が休暇を取ったり、退職をしたりしたときに連絡そのものが行えず、取引が流れてしまう恐れがあるでしょう。
チーム内でのノウハウが蓄積されない
業務の属人化が進んでしまうと、チーム内でノウハウが蓄積されません。ハイパフォーマンスの担当者のノウハウが共有されないことは、チーム全体の損失につながるでしょう。
このようなチームの場合、ハイパフォーマーがチームから抜けてしまうと、途端に売上が下がってしまうことがあります。
能力の高い従業員ほど業務負担が増してしまい、離職につながりやすくなる
属人化とは、その人でなければ業務が回らない状態を表すものであるため、能力が高い従業員ほど業務負担が増してしまう傾向があります。属人化されている組織では、一部の従業員や部署に過度な負担が生じてしまうため、そのままの状態を放置しておくと離職につながりやすくなってしまいます。
離職率が高い様子が見られるときには、まず業務が属人化していないかをチェックすることが大事だといえるでしょう。
不動産営業が属人化してしまう原因
業務の属人化の課題を解消するには、そもそも何が原因で属人化が引き起こされているのかを正しく把握しておく必要があります。考えられる原因について見ていきましょう。
不動産営業のプロセスが標準化されていない
業務の属人化が起こってしまう原因として、不動産営業のプロセスが標準化されていない点が考えられます。アプローチやヒアリング、クロージングといった各営業プロセスの基準を設けて、誰が取り組んでも同じ業務の進め方になるよう工夫をする必要があります。
特にハイパフォーマーやベテラン従業員の営業活動の進め方を参考に基準をつくれば、具体的にどのように営業活動を進めていけば、成約につながるかが見えてくるはずです。
情報共有やノウハウを蓄積する体制が整っていない
社内において情報共有を行う体制が整っていなければ、業務が属人化しやすくなるといえます。業務に関する膨大な情報を蓄積するには、ITツールなどをうまく活用して、誰もが必要なときに情報にアクセスできる環境を整えておくことが重要です。
また、ITツールを導入していてもチーム内で情報を共有していくという雰囲気が醸成されていなければ、スムーズに情報共有されない場合もあるでしょう。情報共有の必要性を繰り返し伝えていくなどして、従業員の意識を変えていくことも大切です。
適正な人事評価がなされていない
業務の属人化は組織の風土や報酬制度などが原因で引き起こされる場合もあります。成果主義が根づいている組織の場合、自分が抱えている顧客やノウハウを他のメンバーと共有したくないといった意識が働いてしまいがちです。
結果としてうまく情報共有がなされずに、チームとしてのパフォーマンスは低下してしまいます。そのため、属人化の流れを変えていくには人事評価制度の見直しも含めて検討していく必要があるでしょう。
属人化を防ぐことで得られるメリット
業務の属人化を防いでいくためには、属人化を防止することによって得られるメリットを従業員にも、しっかりと伝えていく必要があります。どのようなメリットがあるのかについて解説します。
従業員のモチベーションが高められる
業務の属人化を防いでいけば、従業員のモチベーションアップにつながるでしょう。業務を進めるうえで余裕を持てるようになるため、ハイパフォーマンスの仕事ぶりを発揮してくれることが期待できます。
日常の雑務に追われることなく、本来取り組むべき業務に集中できるため、仕事に対するやりがいを実感できるはずです。
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従業員の専門性が磨かれる
属人化を防ぐことによって、高いパフォーマンスをあげる従業員のノウハウを学べます。自分で習得するには多くの時間を必要とするものであっても、チーム全体で情報共有が行われることによって、短い期間で専門性の高い業務にも取り組めるようになるはずです。
チームとしての力が増して、顧客からの信頼につながる
業務の属人化を防げば、個人というよりチーム全体でのパフォーマンスが向上するため、取引先などのステークホルダーからの信頼につながっていくでしょう。安定的に仕事の成果を出していけるからこそ、強い信頼を寄せてもらえるといえます。
業務を属人化しないための方法
業務を属人化しないための取組みは、組織をあげて行っていく必要があります。具体的な方法について紹介します。
業務フローの見直し
業務の属人化を防ぐための組織をつくっていくには、まず現在の業務フローを見直すことが大切です。業務全体の手順を見直して、どこがボトルネックになっているのかを発見することが重要だといえます。
同時に、担当者に対してヒアリングを実施し、業務フローを見える化していく流れを考えてみましょう。
業務の標準化、マニュアル化、ITツールの導入
業務フローを見える化できたら、次にそれぞれの業務プロセスを標準化し、マニュアルとして整備する必要があります。マニュアルを作成することによって、他のメンバーともノウハウを共有できるようになります。
また、マニュアルの作成には時間や労力がかかるので、必要に応じてITツールを導入するなどして業務の効率化を図ってみましょう。
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業務を分散化する
業務の属人化を防ぐには、業務を分散化することが重要です。Googleドライブなど、無料で利用できるITツールを活用することで、適切な業務量になるように調整してみましょう。
クラウドを上手に活用すれば、場所や時間を選ばずに必要な情報にアクセスできます。業務を効率化する一つの方法として活用してみてください。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:業務の属人化が起こるとどんな問題が起こる?
A:業務の引き継ぎがうまくいかなかったり、チーム内での情報共有が上手にできなかったりします。また、一部の従業員に業務の負担が偏り、離職につながる恐れもあるでしょう。
Q:業務の属人化を防ぐには?
A:これまでの業務フローを見直したうえで、マニュアルの整備を図っていく必要があります。Googleドライブなどを活用して、業務の分散化も進めてみましょう。
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