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粗大ごみや不法投棄の対処法は? 放置した場合のリスクと予防策

粗大ごみや不法投棄の対処法は? 放置した場合のリスクと予防策

管理を受託している賃貸物件に粗大ごみが放置されており、困っている方もいるのではないでしょうか。粗大ごみを処分する際には自治体に手数料を支払う必要がありますが、残念ながら手数料を支払わずに放置する入居者も存在します。

賃貸管理会社にとって、放置されている粗大ごみをどのように処分するか、また、どのようにして放置を防ぐかは重要な課題です。本来であれば粗大ごみの所有者が処分すべきですが、最終的には大家や賃貸管理会社が処分せざるを得ないケースがあるためです。

この記事では、放置されている粗大ごみへの対処法と、放置を未然に防ぐ方法などを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.敷地内に放置された粗大ごみの対処法と防止対策
    1. 1.1.入居者が放置している場合
    2. 1.2.既に退去した入居者が放置していった場合
    3. 1.3.外部からの不法投棄の場合
  2. 2.賃貸管理会社が粗大ごみを放置し続けるリスク
    1. 2.1.不動産オーナーからの信頼を失い賃貸管理契約を打ち切られる
    2. 2.2.入居者からのクレームを受ける可能性がある
    3. 2.3.入居希望者が内見した際の印象が悪くなる
    4. 2.4.撤去するための費用負担を強いられる
  3. 3.まとめ

敷地内に放置された粗大ごみの対処法と防止対策

多くの自治体では「一辺が30センチメートル以上のごみ」を粗大ごみとして扱っています。管理を行っている賃貸物件の敷地内にこのような粗大ごみが放置されていると、住環境が悪化するだけでなく、入居者からのクレームにもつながりかねません。

以下で、粗大ごみが放置されている場合の対処法と予防策を解説します。

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粗大ごみの基準、処分費用は自治体により異なります。またエアコン、テレビ、洗濯機、冷蔵庫は家電リサイクル法に沿った処分が必要となります


入居者が放置している場合

粗大ごみを放置しているのが入居者であることを特定できている場合、当該の入居者に処分を求めます。「ほかの入居者の迷惑になるから処分するように」「ルールを守らずに粗大ごみを捨てるのは不法投棄にあたる」などと説明し、早急に処分する必要がある旨を伝えましょう。

該当の入居者が粗大ごみの捨て方についてわかっていない場合、正しい捨て方を伝える必要があります。特に、外国人入居者や初めて一人暮らしをする入居者の場合、ごみの捨て方を理解できていないケースが考えられるでしょう。

粗大ごみを放置している入居者が特定できない場合には、粗大ごみに対して「◯日までにに撤去しなければ、廃棄物処理法違反として通報します」といった警告文を貼り付ける方法があります。

また、監視カメラを設置して粗大ごみを放置しづらい状況を整備すれば、入居者による粗大ごみの放置を未然に防ぐ効果が期待できるでしょう。

既に退去した入居者が放置していった場合

粗大ごみを放置した入居者がすでに退去している場合でも、本来であればその元入居者が処分する必要があります。しかし、元入居者となかなか連絡が取れず、泣く泣く大家や賃貸管理会社が処分する事態になりやすいのが実情です。

退去者による粗大ごみの放置を未然に防ぐためには、退去の連絡を受けた際に、ごみを適切に処分する必要があることを伝えるとよいでしょう。

賃貸物件から退去する際には、賃借人に原状回復義務があります。原状回復義務とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」を指します。

粗大ごみを放置したままの状態は、原状回復義務を果たしているとはいえません。そのため、入居時にサインする契約書に、退去に際して粗大ごみを処分する場合のルールを定めておくことが有効です。

たとえば、粗大ごみを放置したまま退去した事実が判明した場合には、粗大ごみの処分にかかる費用を敷金から差し引く旨を明文化しておくと、抑止につながります。

外部からの不法投棄の場合

入居者ではなく、外部の人間が粗大ごみを持ち込んで放置するケースもあります。このような不法投棄は犯罪行為に該当するため、行政(自治体の環境課や清掃事業課、保健所など)か警察に相談しましょう。

状況を放置するとさらに不法投棄が増える可能性があるため、速やかに相談することが大切です。監視カメラの録画映像がある場合は警察に提供し、調査を求めるとよいでしょう。不法投棄をした人物を特定できれば、撤去の要求や損害賠償請求を行えます。

外部からの不法投棄を未然に防ぐためには、物件に複数の防犯カメラを設置し、所定のごみ捨て場に入居者しか入れないようにする対応が考えられます。

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防犯カメラの設置、防犯カメラを設置していることをポスターなどを掲示して知らせることも不法投棄の抑止になります

賃貸管理会社が粗大ごみを放置し続けるリスク

本来であれば、粗大ごみは放置している(した)者が処分すべきであり、賃貸管理会社が手数料を支払って処分する必要はありません。

とはいえ、粗大ごみを放置していると大家や入居者からの信頼を失ってしまう恐れがあるため注意が必要です。以下で、賃貸管理会社が粗大ごみを放置し続けるリスクを解説します。

不動産オーナーからの信頼を失い賃貸管理契約を打ち切られる

粗大ごみを放置すると、大家に賃貸管理会社としての業務遂行能力を疑われてしまう恐れがあります。信頼を失った結果、賃貸管理契約の契約を打ち切られてしまえば、収益悪化につながりかねません。

また、粗大ごみが放置されていると、外観が悪くなるだけでなく、現在の入居者からの印象も悪くなってしまい、空室率の上昇につながるリスクも想定されます。

多くの大家は「安定的な家賃収入を得たい」という考えを持っているでしょう。そのため、粗大ごみの放置が発生した場合に素早く対応してくれる賃貸管理会社に契約を乗り換えられてしまう可能性が考えられるのです。

入居者からのクレームを受ける可能性がある

入居者からの問合せ対応は、賃貸管理会社が請け負う大切な業務の一つです。粗大ごみが長期にわたって放置されていると、通行の妨げになったり害虫の発生につながったりなど、入居者や近隣住民に迷惑をかけてしまいます。

入居者からすると、生活環境の悪化は住まいの満足度を下げる大きな要因です。そのため、粗大ごみを放置していると、入居者から「粗大ごみを早く撤去してほしい」という旨の要望やクレームを受ける可能性が考えられるでしょう。

クレーム対応は生産性がなく、収益にもつながらないため、極力避けるべき業務だといえます。労力と時間を浪費しないためにも、クレームにならないよう事前の対応が重要です。

入居希望者が内見した際の印象が悪くなる

入居希望者が物件の内覧を行う際に放置されている粗大ごみがあると、印象が悪くなる恐れがあります。

具体的には「モラルが低い入居者がいるかもしれない」「賃貸管理会社の業務がずさんかもしれない」と思われる可能性が高いでしょう。入居希望者に「ここでは安心して生活できない」という印象を与えてしまうと、入居に至りません。

その結果、空室が埋まらないことで大家の希望を満たせず、賃貸管理契約の打ち切りにつながってしまうリスクがあります。

撤去するための費用負担を強いられる

粗大ごみの放置に関しては、最終的に大家や賃貸管理会社が撤去を強いられるケースが多く見られるのが実情です。粗大ごみを撤去・処分する際には手数料が発生するため、費用負担を強いられることになります。

本来であれば負担する必要がない費用を負担するのは、非常にもったいないことです。粗大ごみの放置が発生してしまった場合には、その後二度と発生しないような体制や環境作りが欠かせません。

大家との信頼関係を維持し、自社の利益を損ねないためにも、粗大ごみが放置されてしまう状況をそのままにしないようにしましょう。

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不法投棄に関するポスターの例

まとめ

賃貸管理会社にとって、粗大ごみの放置はいつ起こるかわからないトラブルです。放置された粗大ごみに対処しないと、入居者の住環境を損ねてしまうだけでなく、大家との信頼関係が失われるリスクもあります。

粗大ごみの放置が発生した場合には、二度と発生しないような対策を行いましょう。また、粗大ごみの放置を未然に防ぐためには、監視カメラの増設や賃貸借契約書に文言を付け加えるなど、抑止力を高めることが大切です。

必要に応じて、行政や警察の協力を仰ぐことも検討してみてください。

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柴田 充輝
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。保有資格はFP1級・社会保険労務士・行政書士・宅建士。金融メディアや不動産メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆経験がある。自身でも株式投資や不動産投資を行い、実体験に基づく質の高い情報の提供と、読者にとってわかりやすい執筆を心がけている。本業のかたわら、FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。

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