どっちが効率的?不動産売却求むチラシと一括査定サービスのコスト比較
売買仲介を行う不動産会社としては、売主様との接点を増やし、媒介契約を増やしていくことは重要です。しかし、売却を考えている売主様とどう出会うか?でお悩みの会社も多いと思います。
そこで今回は、媒介契約に繋げるため売主様と出会うための方法である、チラシと一括査定サービスについてコストと費用対効果を検証します。
目次[非表示]
- 1. 不動産売却求むチラシとは
- 2.一括査定サービスとは
- 3.費用対効果の比較
- 3.1.ポスティングの費用対効果
- 3.2.新聞折り込みチラシの費用対効果
- 3.3.新聞折り込みチラシの費用対効果
- 4.まとめ
不動産売却求むチラシとは
不動産売却求むチラシとは、不動産会社が売主様を集客する際に作成するチラシのことです。「売主様求む」「売主募集」「売却募集」などの文言で、家の売却を検討している人に届けるためにどの不動産会社も工夫していることと思います。
また一方で、WEBによる一括査定サービスという方法で売主様を集める会社も増えてきています。そこで、今回は、不動産売却求むチラシと一括査定サービスのコスト比較をし、どちらが効率的なのか?について解説していきます。
売却求むチラシの配布方法としては、主に次の3つの方法があります。
①ポスティングで実施する
②新聞折り込みチラシで実施する
③DM等で実施する
まずは、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
ポスティングで実施する場合のメリット・デメリット
ポスティングによるチラシ配布は、営業担当者などの社員や、外注によって、1軒1軒のポストにチラシを入れていく方法で行います。
▼ポスティングのメリット
①不特定多数の人に届く
②潜在的な顧客にアプローチできる
③定期的に実施することで覚えてもらえる
▼ポスティングのデメリット
①見込み客でない人にも撒いてしまうことになる
②すぐに捨てられてしまう可能性が高い
③ポスティング禁止のところに入れてしまうリスクがある
ポスティングは比較的コストも安く導入しやすい印象はあります。不特定多数のお宅にチラシが入るため、いままで売却を考えていなかった方などの潜在顧客にダイレクトでアプローチできるため、潜在顧客の掘り起こしに役立ちます。
チラシを見ることで「うちも売却しようか?」「うちも売れるのかな?」といったニーズを引き出し、最初の問合せ先として連絡をいただけるようになるかもしれません。
そういった意味では、見込み客が他社に行く前にいち早く出会いたい不動産会社にはポスティングが向いていると言えます。
しかし、見込み客ではない家などにも配布をされてしまうため、反響率という面においては少し難があるかもしれません。そのため、ある程度資金にゆとりがあり、会社のブランディングをする目的で使用していくというのも一つの戦略です。
新聞折り込みチラシで実施する場合メリット・デメリット
新聞折り込みによるチラシ配布は、新聞折り込み事業者に依頼をして、対象エリアの新聞にチラシを入れていく方法です。
▼新聞折り込みのメリット
①新聞を購読している客層に確実に届く
②潜在的な顧客にアプローチできる(ポスティング同様)
③定期的に実施することで覚えてもらえる(ポスティング同様)
▼新聞折り込みのデメリット
①新聞購読層以外の人には届かない
②都心など新聞が多い場合は、複数紙に折り込みが必要
③大手のチラシと競合してしまう可能性がある
新聞折り込みチラシは、新聞購読者層に確実に届くというメリットがあります。新聞購読者層は主に50代以上の、家の売却に繋がりやすい顧客層と一致するため、不動産の売却求むチラシを入れるのは相性がよいと言えます。
ポスティング同様、潜在顧客にアプローチすることができるため、見込み客の獲得には繋がると言えます。
ただ、東京のように新聞社の数が多い場合、同じエリアであってもどの新聞社に折り込むべきかの選定をしっかりとする必要があります。地方であれば、強い新聞社が限られてくるため出稿先をある程度選定できますが、都市部の場合は複数の新聞社に折り込まないと多くの世帯に届けられない可能性が出てしまいます。
また、新聞折り込みチラシの場合、他社の出稿と重なってしまう可能性もあり、ブランド力のある大手と競合した場合に埋もれてしまうリスクもあります。
そのため、どうしたら選ばれるか?を考えたブランディング戦略をしっかりと立ててチラシ出稿をしていくことをお勧めします。
DM等で実施する場合のメリット・デメリット
DMによるチラシ配布は、自社の既存顧客リストや、名簿販売会社からのリスト購入によりダイレクトメールを送るという方法です。
▼DM等のメリット
①過去に問合せや購入をした人に送付することで、休眠顧客の掘り起こしが可能
②見込み客を選定して送付ができるため反響率がポスティングなどと比べると高い
③いま見込み客リストが無くてもリストを購入すれば送付できる
(リスト購入についての注意点は以下に記載)
▼DM等のデメリット
①現在リストが無いとDMは活用できない
②リスト購入に費用がかかる
③リストの質に成果が大きく左右される
DMは自社の過去顧客や見込み客のリストから対象者を抽出して行うことで、より確度の高い見込み客に対してダイレクトでアプローチすることができます。そのため、反響がとれる確率は、ポスティングや新聞折り込みよりも上がります。
このDM送付の場合は、仮に不動産会社側にDMの送り先がなくても、名簿販売会社などから送付先を購入して送ることで、自社の顧客リストが無くても、ダイレクトメールを送ることも可能です。それによって自社と接点のなかった人と新たな接点を作って見込み客開拓をしていくこともできるようになります。
しかし、購入したリストに対してDMを送付する際は、個人情報保護法に留意する必要があり、送付によって自社にとってリスクもあるため、慎重に対応する必要があります。
また、DMはどんな人に送付するかで成果が大きく変わります。そのため、自社のリスト精査や、購入するリストの吟味を丁寧に行うことが成功の秘訣となります。
一括査定サービスとは
不動産の一括査定サービスとは、家の査定をしたい顧客がWEBサイトに情報を登録すると、近隣の不動産会社に査定依頼の連絡が入るサービスです。近年は多くの不動産会社がこの一括査定サービスに登録し、査定依頼を受けるようになってきました。
では、この不動産の一括査定サービスは、ポスティング、新聞折り込み、DMと比べてどのような違いがあるのでしょうか。
一括査定サービスのメリット・デメリット
▼一括査定サービスのメリット
①登録したエリアで査定をしたいと考えている見込み客に直接連絡ができる
②自社の顧客リストがなくても、知名度がなくても始められる
③ニーズを持った見込み客と出会えるので受注確度が高い
④月々10,000円程度から自社の広告予算に応じて活用することができる
▼一括査定サービスのデメリット
①1件の査定依頼に対しての課金制のため件数が多いとその分コストがかかる
②見込み客は競合の不動産会社にも同様に連絡をするため査定時の競争になる
③単に家の価値を知りたいだけの問合せも混じっている
一括査定サービスは簡単に導入できるため、利用する不動産会社が増えてきています。
実際に査定をしたいと思っている見込み客からの問合せであるため、ポスティング、新聞折り込み、DMよりも受注確度は高いと言えます。
料金体系としては、成功報酬型が多く、査定依頼1件につき〇〇円という料金になっており、成果が出せる確率が比較的高いと考えられています。
しかし、査定をしたい見込み客の中には「家を売るつもりはないけど、今の家の価値を知りたい」という方も含まれているため、査定をしても媒介契約に繋がらない可能性もあります。
また、机上査定だけで訪問査定をさせてくれない見込み客もいるため、査定書を送るだけで終わってしまうこともあります。
また、一度に複数の不動産会社に査定依頼の連絡が入るため、査定時に競合して勝てなければ媒介契約が取れない可能性があり、迅速かつ的確な査定対応をすることが望まれます。
一括査定サービスからの受注を成功させるためには、いかに訪問査定に繋げるか、いかに査定時に選ばれるかといった不動産会社にとっての差別化をどれだけ行えるかがカギになります。
費用対効果の比較
ポスティングの費用対効果
ポスティングにかかる費用は
①チラシデザイン費
②印刷費
③配布費用
に分類されます。
▼一般的な相場
チラシデザイン費 |
20,000~60,000円 |
印刷費 |
1,000部で4,000円程度 |
配布費用 |
1枚あたり4円~10円 |
自社で印刷して配布する場合は、配布費用のところが社員の人件費となります。人材に余裕があり、隙間時間で配布するのであれば自社配布の方がコストが安く上がる可能性がありあます。
一方で、短期間で確実に配布したい場合はポスティング会社に依頼する方がよいでしょう。また、配布するエリアを詳細に希望する(〇〇から半径〇km以内等)場合や、配布する期間を限定する時は、ポスティングをする会社によっては追加費用がかかることがあります。
このポスティングに対する一般的な反響は、
配布枚数に対する反響 |
5,000枚~10,000枚に1件 |
受注に繋がる確率 |
20,000枚~40,000枚に1件 |
新聞折り込みチラシの費用対効果
新聞折り込みにかかる費用は、チラシと同じく
①チラシデザイン費
②印刷費
③配布費用
に分類されます。
▼一般的な相場
新聞折り込みチラシの費用対効果
新聞折り込みにかかる費用は、チラシと同じく
①チラシデザイン費
②印刷費
③配布費用
に分類されます。
▼一般的な相場
チラシデザイン費 |
20,000~60,000円 |
印刷費 |
1,000部で4,000円程度 |
配布費用 |
|
新聞折り込みチラシに関しては、各新聞の発行部数によって料金が変わるため、自社の配布予定エリアの新聞の発行部数を確認することをお勧めします。料金的にはポスティングと新聞折り込みでは大きな違いはありません。
この新聞折り込みチラシに対する一般的な反響は、
配布枚数に対する反響 |
5,000枚~10,000枚に1件 |
受注に繋がる確率 |
20,000枚に1件 |
DMにかかる費用は、
①チラシデザイン費
②印刷費
③送付費用
④リスト購入費
に分類されます。
▼一般的な相場
DMにかかる費用は、
①チラシデザイン費
②印刷費
③送付費用
④リスト購入費
に分類されます。
▼一般的な相場
チラシデザイン費 |
20,000~60,000円 |
印刷費 |
1,000部で4,000円程度 |
送付費用 |
1通50円~ |
リスト購入費 |
1件5円~50円 |
DM発送については、あなたの会社が顧客リストを保有しているか否かでもコストが大きく変わります。また、ハガキサイズで出すのか、チラシサイズで出すのかによっても送付費用が大きく変わるため、注意が必要です。
このDM発送に対する一般的な反響は、
送付枚数に対する反響 |
5,000枚~10,000枚に1件~3件 |
受注に繋がる確率 |
5,000枚~10,000枚に1件~3件 |
一括査定サービスにかかる費用は、
①査定依頼の成功報酬
のみであることが一般的です。
▼一般的な相場
査定依頼 |
1件10,000円~15,000円 |
一括査定サービスは、査定依頼1件につき〇円といった成功報酬型であることから、より濃い見込み客とダイレクトで会うことができるのが強みと言えます。確実に目先の媒介契約を獲得したいという場合は、この一括査定サービスを使うことがよいでしょう。
この一括査定サービスに対する一般的な反響は、
反響数 |
月5件~(月予算による) |
受注に繋がる確率 |
反響数に対して5%~20% |
一括査定サービスは、不動産会社ごとの月の予算や、設定エリア、利用媒体数に応じて、月々の反響数をコントロールできる点が最大魅力です。小規模の不動産会社の場合、最初は月5件~10件程度の反響を目指す会社が多いようです。
その査定依頼からの媒介契約受注率は5%~20%と差がありますが、こちらは電話アポや査定時の戦略や、営業力によって大きく差が出ています。媒介契約受注率が上がらない場合は、自社の営業戦略の見直しをすることをお勧めします。
まとめ
ここまで売主様と媒介契約を獲得するための集客手段とその費用対効果について説明をしてきました。では、あなたの不動産会社は、ポスティング、新聞折り込み、DM、一括査定サービスのどれが向いているでしょうか?
これは、「絶対これがいい」という選択肢がある訳ではなく、自分の不動産会社はどれが合うかを考えてより合うものを選択する必要があります。では、あなたの会社はどの方法がよいのか、選び方の基準について解説します。
紙媒体を利用するのに向いている不動産会社とは?
紙媒体を利用するのに向いている不動産会社は以下のタイプです。
①知名度がある
②資金力に余裕がある
③従業員の人数が多い
④過去顧客リスト、見込み客リストがある
紙媒体の特徴としては、中堅企業や大企業が会社のブランド力向上や認知の定着といったテレビCMにも近い広報的な価値だということです。
活用すること自体は大切ですが、中小企業やスタートアップのベンチャー企業の場合はこちらに注力しすぎない方がよいかもしれません。
一括査定サービスを利用するのに向いている不動産会社とは?
一括査定サービスを利用するのに向いている不動産会社は以下のタイプです。
①開業したて・中小規模である
②集客費用をなるべく早く回収したい
③従業員が忙しく余裕がない
④過去顧客リスト、見込み客リストが少ない
一括査定サービスは、今月来月の媒介契約を獲得したい集客目的で活用するには向いていると言えます。中小企業やベンチャー企業は、まずはこの一括査定サービスをフル活用し、ここでの媒介契約受注率を上げるために改善&強化していくことで、より効率よく売り上げを上げることができるようになります。
いかがでしたでしょうか。
集客で大切なのは、自社に合う方法、見込み客に合う方法を選ぶことですから、ぜひ今回の内容を参考に、自社にとっての良い集客方法を試してみてください。