バーチャルホームステージングの費用は? リアルとの比較や注意点を徹底解説

物件の売却期間を短縮し、成約率を高める施策としてホームステージングがあります。「ホームステージング白書2024」(一般社団法人日本ホームステージング協会)では実施した物件の約7割で成約までの期間が短縮したというデータが公表されており、売却活動における有効性が高く評価されています。
しかし、実物の家具や小物を搬入するホームステージングは費用負担が大きく、すべての物件に導入するのは容易ではありません。居住中物件においては、生活感の払拭や売主への配慮といった実務的なハードルも存在します。
そこで近年、初期費用を大幅に抑えつつ魅力的な広告を展開できるバーチャルホームステージングが営業ツールとして活用されています。
本記事では、リアルとバーチャルにおけるホームステージングの費用相場や違いを比較し、仲介会社がバーチャル手法を活用する実務上のメリットや注意点を解説します。
ホームステージングの費用相場|リアルとバーチャルの違い
ホームステージングは物件の魅力を引き出し、早期売却を促す手法として非常に有効な手段である一方、導入にあたっては費用の問題がつきまといます。ここでは、実物の家具を配置するリアルな手法と、画像加工によるバーチャルな手法の費用相場の違いを解説します。
リアルなホームステージングの費用相場は10万〜20万円
実物の家具や小物を物件に搬入するリアルなホームステージングの費用相場は10万~20万円程度です。
費用の主な内訳は次のとおりです。
- プランニング費用
- 家具・インテリアレンタル費用
- 搬入・搬出費
- 設置・撤去費
- 管理費(期間中の保守など)
大手仲介会社などでは、専任媒介契約の締結や一定以上の査定価格であることを条件に、売主に無料で提供するケースもあります。ただし、対象は高額物件などに限定されやすく、すべての受託物件に導入することは難しいのが現状です。
バーチャルホームステージングなら数千円から導入可能
撮影した室内写真に家具や小物をCGで合成するバーチャルホームステージングは、1枚あたり数百円~1万円程度と、リアルな手法に比べて大幅に費用を抑えられます。物理的な家具の購入やレンタルが不要なため、初期費用を数千円程度に収めることも可能です。
また、物件が売れ残った場合の家具の延長レンタル料や撤去時の運搬費といった費用もかかりません。予算の都合でこれまで導入を見送っていた価格帯の物件にも、手軽に活用できます。
バーチャルホームステージングを活用する3つのメリット
仲介会社がバーチャルホームステージングを導入することには、コスト削減だけでなく実務や営業面でも利点があります。ここでは、反響獲得や業務効率化につながるメリットを3つ解説します。
居住中物件の反響増を期待できる
AIの画像編集機能などを活用して既存の家具を削除することで、居住中物件の反響増を期待できます。
居住中の物件は売主の家具や日用品が写り込みやすく、購入検討者が新生活をイメージしにくい傾向があります。かといって、売主に片付けや家具の撤去を依頼するのは、心理的・物理的な負担が大きく現実的ではありません。
バーチャルホームステージングを使えば、プライバシーを守りながら、画面上でリアルな生活感を消去できます。きれいな室内写真を掲載することで、ポータルサイトの物件一覧でクリックされやすくなり、問合せ増加が期待できます。
スピーディーに広告公開できる
媒介の受託から広告公開までの期間を短縮できる点も、バーチャル手法の強味です。実物の家具が不要なため、リアルなホームステージングで必要な、物件に合わせた家具の選定や専門会社の手配、搬入・設置の調整などを省けます。
バーチャルであれば、撮影した写真を画像加工会社に提供し修正を依頼するだけで完了するため、早ければ即日、遅くても数日程度でポータルサイトに公開できます。不動産売買で反響を獲得しやすい販売開始のタイミングを逃さず、迅速に市場に流通させることが可能です。
専任媒介の獲得に活用できる
バーチャルホームステージングは導入費用が安価なため、媒介契約の締結前でも仲介会社の負担でサービスを提供できます。この点を活かし、査定競合の場で他社との差別化を図る武器としての活用が可能です。
売却を検討している顧客に対して魅力的な広告画像を提示することで、早期売却への積極的な姿勢をアピールできます。特に居住中の物件では、「生活感のある室内を不特定多数の人が閲覧するネット上に公開したくない」と考える売主も多いため、片付けの手間をかけずにきれいな状態で売り出せる提案は、大きな訴求ポイントになり得ます。
売主の心理的負担を軽減しつつ明確な付加価値を提供することで、専任媒介の獲得率向上につながるでしょう。
バーチャルホームステージングの課題
バーチャルホームステージングの課題として、インターネット上の画像と実際の物件との間に生じるギャップがあります。
デジタル技術でどれほど魅力的な家具を配置したり生活感を消したりしても、実際の室内は空室か、生活感があふれる状態のままです。そのため、内見に訪れた購入検討者が「ネットで見た印象と全然違う」「生活感が強くて自分が暮らすイメージが湧かない」と成約への意欲を失う可能性があります。
このギャップを埋めるための対策として、内見時に以下のような対応を行うと有効です。
- タブレットやスマートフォンでCG画像を見せながら案内する
- 画像と同じ配置で小物を置くなど、簡単な演出を加える
購入検討者に「このような家具を置くと、このように使えます」と視覚的に補足することで、購買意欲を維持しやすくなります。
このように、ネット上の画像でより多くの反響を集め、内見ではタブレットなどで生活イメージを具体化させるという流れを丁寧に進めることで、成約率向上につながります。
バーチャルホームステージングを広告掲載するときの注意点

広告表示は「宅地建物取引業法(誇大広告の禁止)」や、景品表示法の規定に基づき認定された「不動産の表示に関する公正競争規約」の対象となります。
バーチャルホームステージングの画像についても、ポータルサイトや広告に掲載する際は、法令順守が不可欠です。
ここでは、適正な広告運用を行うための注意点を解説します。
景品表示法に基づく注釈を明記する
バーチャルホームステージングの画像を掲載する場合、消費者が実際の物件状態を誤認しないよう、必ず画像付近に明確な注釈を記載する必要があります。
具体的には、以下のような文言を容易に確認できる位置に記載します。
- ※この画像はCGによるバーチャルステージング画像です
- ※実際の物件とは異なります
- ※配置されている家具や調度品は販売価格に含まれません
主要なポータルサイトでも、CG画像を使用する際の注記やコメント記載がルールとして規定されています。加工前の現況写真も併せて掲載するなど、消費者が物件を正しく判断できるよう、誠実な情報開示を心がけましょう。
おとり広告になるような過度な画像加工は避ける
見栄えを良くするための適度な画像加工は有効ですが、実態と大きくかけ離れた過度な加工は厳禁です。許容される範囲とNGな加工の例を以下に整理します。
■ 許容される加工の例
・明るさやホワイトバランスの調整
・居住中物件の既存家具の消去
・CGによる家具やインテリアの配置
■ おとり広告・誇大広告となるNGな加工の例
・パースを極端に歪めて部屋を実際より広く見せる
・存在しない眺望を窓の外に合成する
・壁のひび割れなど物件の瑕疵を消して隠す
・実際にはないシステムキッチンなどの設備を追加する
建物の構造や設備、広さそのものを改変するような画像の掲載は、おとり広告や虚偽表示と見なされる危険性が高い行為です。顧客からの信頼を失う原因にもなるため、生活イメージを補助する範囲での利用にとどめる必要があります。
なお、おとり広告による違反に対しては、宅建業法上の業務停止・免許取り消し処分があり得るほか、懲役・罰金の定めもあります。また、景品表示法上の措置命令が出され、命令に従わない場合には、懲役・罰金などの罰則を受けることもあります。
まとめ
リアルなホームステージングは成約期間の短縮や成約率の向上に効果的ですが、費用や手間の面でハードルがあり、すべての物件に導入するのは容易ではありません。一方、バーチャルホームステージングであれば、数千円という低コストで手軽に物件の魅力を高めることができます。
居住中物件の生活感をAIで消去できる機能は、ポータルサイトでの反響向上や専任媒介の獲得のための有効な営業ツールになります。景品表示法などの広告ルールを順守したうえで、内見時のギャップ対策を講じることで、仲介業務の生産性と成約率の向上に役立つはずです。
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