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不動産鑑定士の年収、難易度は? 将来性と登録までの手順

不動産鑑定士の年収、難易度は? 将来性と登録までの手順

不動産に関する資格はさまざまありますが、不動産鑑定士はなかでも高難易度かつ希少性の高い資格として知られています。一方、仕事内容や収入についてはあまり広く知られておらず、どのような職種であるのかを理解している方はそれほど多くありません。
 
今回は不動産鑑定士という資格について、収入や難易度、将来性などの観点から詳しく見ていきましょう。 

目次[非表示]

  1. 1.年収は会社勤務か、独立かによって異なる
    1. 1.1.不動産鑑定士の平均年収は754万円
  2. 2.不動産鑑定士の資格を取得する難易度
  3. 3.不動産鑑定士になるまでの流れ
    1. 3.1.2段階選抜式の試験に合格する
      1. 3.1.1.■短答式試験の内容
      2. 3.1.2.■論文式試験の内容
    2. 3.2.実務修習を受ける
    3. 3.3.不動産鑑定士として登録する
  4. 4.独学でも合格できる?試験の合格に必要な勉強時間
  5. 5.不動産鑑定士の将来性は? ダブルライセンスに向いている資格も紹介
    1. 5.1.不動産鑑定士の将来性
    2. 5.2.ダブルライセンスに向いている資格

年収は会社勤務か、独立かによって異なる

不動産鑑定士としての働き方には、企業などに勤めながら仕事をする「勤務鑑定士」と、自ら事業を立ち上げる「独立鑑定士」の2種類があります。働き方によって収入も異なるので、一概に不動産鑑定士の年収を表現することはできませんが、勤務鑑定士の収入については統計データが出されています。

不動産鑑定士の平均年収は754万円

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」より、職種別の統計データのうち最新(2019年)のデータを参照すると、不動産鑑定士の平均月収は49万300円とされています。ここに賞与や特別給与額など166万2,300円を含めると、平均年収は754万5,900円となります(平均年齢46.6歳、平均勤続年数7.5年)。

 それに対して、給与所得者全体の平均年収は443万円(国税庁「民間給与実態統計調査 令和3年分」)とされているため、平均を大きく上回る水準と判断することができるでしょう。一方、独立鑑定士については個人差が大きいことから、特に統計データは出されていません。

営業力に優れる鑑定士は年間数千万円単位の売上を稼ぐケースもありますが、うまく稼働できなければ勤務鑑定士の収入を下回る可能性も十分にあり得ます。

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不動産鑑定士は、不動産鑑定業、不動産業、そのほか金融業がコンサルティング業など、さまざまな業種で活躍しています

不動産鑑定士の資格を取得する難易度

不動産鑑定士は、不動産に関する資格のなかでも合格のハードルが高い資格の一つとして知られています。参考までに令和4年度不動産鑑定士試験の合格率を参照すると、短答式試験は36.3%、論文式試験は16.4%となっており、決して高くはないことが分かります。

また、メジャーな資格と比べると受験者数も限られており、ハイレベルな層が中心となるため、単純な合格率で難易度を推し測ることはできません。後ほど必要とされる学習時間についてもご紹介しますが、文系の資格としては、司法書士や会計士、税理士と並ぶ難関資格といえるでしょう。

不動産鑑定士になるまでの流れ

不動産鑑定士になるまでには、どのようなプロセスが必要になるのでしょうか。ここでは、資格の取得から登録までの流れを見ていきましょう。

2段階選抜式の試験に合格する

なお、論文式試験に落ちてしまった場合でも、その後2年間は短答式試験をパスすることが可能です。

■短答式試験の内容

短答式試験は「不動産に関する行政法規」と「不動産の鑑定評価に関する理論」の2つの科目があり、試験時間はそれぞれ2時間ずつとなっています。名称は短答式となっていますが、出題形式はマークシート方式の択一式です。

とはいえ、対策が楽というわけではなく、それぞれ幅広い知識が求められるため、十分な学習時間が必要となります。

■論文式試験の内容

論文式試験は、以下のように合計5科目分の試験が3日に分けて行われます。

日程
試験時間
試験科目
1日目

2時間

民法

2時間

経済学

2日目


2時間

会計学

2時間

不動産の鑑定評価に関する理論

3日目

2時間
不動産の鑑定評価に関する理論
2時間
不動産の鑑定評価に関する理論(演習)

実務修習を受ける

試験に合格した後は、国土交通大臣の登録を受けた実務修習機関において、一定期間行われる実務修習を受ける必要があります。実務修習には「実地演習」と「基本演習」の2つがあり、それぞれについて指定された団体や会場で受けることとなります。

なお、修習期間は1年コース、2年コースの2種類から選ぶことが可能です。

不動産鑑定士として登録する

実務修習が修了し、国土交通大臣の確認を受けると、不動産鑑定士名簿に登録をすることができます。登録には以下の書類をそろえ、地方整備局に申請を行う必要があります。

  • 履歴書
  • 証書の写し(以下のいずれか※)

不動産鑑定士試験第三次試験の合格証書
不動産鑑定士試験の合格証書及び実務修習の修了証
不動産鑑定士試験第二次試験の合格証書及び実務修習の修了証

  • 登記されていないことの証明書
  • 身分証明書
  • 誓約書
  • 住民票の抄本もしくはそれに代わる書面

※二次試験、三次試験制度は現在廃止

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出典:国土交通省不動産鑑定士パンフレット 試験概要や最新の情報は国土交通省のホームページを参照してください

参考:国土交通省 不動産鑑定士試験

独学でも合格できる?試験の合格に必要な勉強時間

個人差はありますが、不動産鑑定士の合格には約2,500時間程度の学習が必要とされています。短答式試験の対策に800~1,200時間程度、論文式試験の対策に1,200~3,000時間程度の学習が目安とされており、司法書士や税理士といった難関資格と同程度の努力が求められるでしょう。

参考までに、1日あたりの勉強時間に計算し直すと、2年で合格を目指すなら毎日3~4時間程度の学習が必要となります。独学での合格も不可能ではありませんが、長期戦になるため、仕事をしている方にとってはハードルが高い面もあるでしょう。

独学で勉強のペースを保つのが難しい場合は、予備校などのスクールを利用するのも一つの方法です。

 ≫ 不動産鑑定士として独立するには? 成功するために必要な準備

不動産鑑定士の将来性は? ダブルライセンスに向いている資格も紹介

最後に、不動産鑑定士を目指すうえで知っておきたいポイントとして、「将来性」と「相性の良い資格」の2つの観点について見ていきましょう。

不動産鑑定士の将来性

現代はデジタル分野の急速な発展により、多くの仕事がAIにとって代わられてしまう可能性があるとされる複雑な時代です。不動産鑑定士も例外ではなく、AIによって高度な不動産鑑定書が作成できる未来は、決して非現実的な予想ではなくなりました。

しかし、不動産鑑定士は希少性が高い資格であり、きちんと登録までのプロセスを踏めばまだ多くの活躍の機会が残されていると考えられています。高齢化にともない、相続を中心とした仕事のマーケットは今後も拡大していくと見られているため、需要の増加も期待できるでしょう。

そのため、これから受験を検討する方は、懸念点とメリットの両面を見ながら丁寧に判断することが重要です。

ダブルライセンスに向いている資格

不動産鑑定士は、同じ不動産分野のメジャーな資格である宅建士との相性に優れているとされています。宅建士は売買や賃貸の仲介業務を取り扱う専門職であり、不動産鑑定士の資格を持っていれば、鑑定から売買・賃貸までを一貫して担えるようになるのが強みです。

公認会計士の場合は、担当した企業が所有する不動産の価値を算定する場合や、監査する法人が不動産会社である場合などに、不動産鑑定士の経験が直接的に役立つでしょう。


●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:不動産鑑定の収入はどのくらい?
A:
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2019年)によれば、勤務不動産鑑定士の平均年収は754万5,900円とされています。これは、全職種の平均給与所得(443万円/国税庁「民間給与実態統計結果(令和3年分)」)を大きく上回ります。 なお、独立する場合は収入に大きく差が生まれるので、この限りではありません。

Q:不動産鑑定士になるには?
A:
不動産鑑定士になるには、まず年1回行われる試験に合格する必要があります。試験は短答式と論文式の二段階方式になっており、学習時間の目安は両方合わせて2,500時間程度とされています。

合格後は所定の機関で実務修習を受け、その旨について国土交通大臣の確認を得て、登録申請を行い、初めて不動産鑑定士として登録できます。

Q:不動産鑑定士と相性のいい資格は?
A:
メジャーな資格としては、宅建士との相性に優れているとされています。また、税理士や公認会計士といった企業との接点が多い資格とのダブルライセンスが実現できれば、ビジネスチャンスを大きく広げられます。


 ≫ 不動産鑑定士が独立しやすい理由と成功へ導くポイント

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