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“コロナ明け”で大きく変化する住宅流通市場 2024年はどうなる?

“コロナ明け”で大きく変化する住宅流通市場 2024年はどうなる?

LIFULL HOME’S総研の中山です。
今回は、2023年の住宅流通市場の総括と2024年のマーケットのエポック・メイキングな制度変更について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.価格の高騰が続いても需要がついてきた2023年の住宅流通市場
  2. 2.2024年4月から始まる省エネ性能表示制度がユーザー意識を劇的に変える⁉

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価格の高騰が続いても需要がついてきた2023年の住宅流通市場

2023年の住宅流通市場は、一言で総括するなら“本格稼働&好調な一年”であったと言えるでしょう。5月に新型コロナウイルス感染症の分類が2類から5類に移行したことを契機として、本格的に“コロナ後”がスタートし、移動の自由、マスク着用の自由など経済活動も含めて一気に社会が活性化した印象があります。

住宅流通市場も春先の繁忙期から流通件数が増加し、価格の上昇も各都市圏の中心部で顕著になりました。流通件数の拡大はコロナ禍で住み替えを躊躇していた多くのユーザーが動き始めたことを意味しており、価格の上昇は、新築住宅の価格上昇を受けた強気の値付けが増えたことによるものです。2023年の中古マンションの首都圏平均価格は4,324万円へと前年比9.0%上昇、東京23区では5,456万円へと前年比4.3%上昇しています。

新築住宅は、東京都の新築マンション価格が平均で1億円を突破するなど急激な価格上昇を示しており、この価格上昇に連動して居住ニーズが新築から徐々に中古に、また居住エリアについても都心&近郊から準近郊&郊外へとシフトする現象が発生しました。

新築価格が上昇しただけではニーズが中古または郊外にシフトすることはないのですが、その価格の上昇が急激であったこと、またテレワーク実施率も依然として高いこと(都内の従業員数300人以上の企業では2023年11月現在で70.4%)から、より自由な居住エリア選択が可能になったこともあって、このような現象が顕著になりました。

なかなか所得が伸びない状況なのに、円安で生活必需品、エネルギー関連価格が大幅に上昇し、消費者物価指数も10月には107.1ポイントに上昇していますから、生活コストの維持・削減を考えれば、住宅がより安価なものへ、安価なエリアへとシフトするのは当然です。

それでも中古住宅に対する需要は落ちることはなかったのですが、それを支えていたのが住宅ローンの超低金利推移です。長期金利は7月に方針を見直し、1%までの金利上昇を容認する決定をしたことを契機として、連動する住宅ローン固定金利も上昇し始め、一時は適用金利が2.0%程度まで上昇しました(現状はやや低下)。

一方の変動金利は連動する短期金利が依然としてマイナスに誘導されているため、適用金利は0.4%前後で安定推移しており、現状では変動と固定で借り入れるユーザーの割合が9:1まで偏っています。

この超低金利によって、流通価格が多少上昇しても毎月のローン返済額はわずかに増えるだけなので、住宅需要を支え、市場の活性化をサポートしたのです。

2024年4月から始まる省エネ性能表示制度がユーザー意識を劇的に変える⁉

流通市場の回復が鮮明になった2023年でしたが、2024年は住宅流通において劇的な変化が発生します。それが4月から始まる「省エネ性能表示制度」です。正確には売主・貸主およびサブリース事業者が表示制度の対象で、仲介事業者は対象ではありませんが、物件の差別化を図り、求めに応じてユーザーに情報を提供すべき仲介事業者は事実上の対象といってもよいでしょう。

また新築住宅については努力義務、中古住宅は推奨とされているものの、新築は勧告などの措置がありますから義務化されているのと同じです。LIFULL HOME’Sでも表示ラベルが掲載できるよう物件掲載サイトの改修を実施中です。

この表示制度によって何が明らかになるのかというと、主に①エネルギー消費性能(6段階:太陽光発電自家消費分含む)②断熱性能(7段階)③年間光熱費の目安 です。

この制度が始まると、誰の目にも住宅性能の良否と年間光熱費の目安が可視化されますから、この新たな情報と、住宅の価格および駅までの距離や築年数、広さなどとを比較して購入に向けて検討されるようになることは疑いようがありません。

つまりこれまでほとんど考慮されていなかった年間の光熱費を通じて住宅の“コスパ”が見える化され、住宅としての“商品価値”の判断材料となり得るので、ユーザーの省エネ性能に対する意識が一気に高まる可能性があるのです。

そうなると、表示ラベルを提供していない事業者もしくは住宅については新しい制度に対応していないことに起因して売りにくくなることも考えられますし、表示内容がきちんと説明されなければそれはそれで住宅購入に向けての心理的なハードルとなることでしょう。

この「省エネ住宅表示制度」にどのように対応するのか(しないのか)は、現状では奨励レベルですから温度差があるものと思われますが、少なくともユーザー目線で考えた際に接客の場面でどのように説明するのかをイメージしておく必要はあるでしょう。

2024年の住宅流通市場は、「省エネ住宅表示制度」の開始によって市況が大きく変わる可能性があります。ぜひ、今すぐ情報収集に取り組んでください。

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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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